ヒルカニヤの虎



 指と指の間をすり抜ける

土曜は会社行事で山歩き。全身が筋肉痛のうえ顔面が日焼けで痛い。ていうか私行かなくていいんじゃないの。福利厚生的に。
夕方からセンパイKさんと北浜〜天満市場をぶらぶら飲み歩く。Kさんの彼氏さん(30代後半)がキヨシロー追悼に東京まで遠征中とのことで、私たち世代だと告別式まで行くような人はいるかなあという縁起でもない話に。私にとってロックスターはただひとりだけどあの人は死んだら新聞に載ってもうそれでいいと思うし、小沢君はある意味では鬼籍の人だし、現役のミュージシャンでそこまで入れこんだ人ってほかにいない。K「じゃあやっぱりお笑いでしょ」私「でも世代ど真ん中のワチャチャ芸人は告別式行くほどの思い入れないですよ」K「世代じゃないけどダウンタウンは?」私「......。」K「ってなんでもう涙目!?」ううううだってコンビは両方一緒に死ぬわけじゃないし、考えただけで目から鼻水が。バー「まぼろし」でラム飲みながらバナナマンについても想像して泣く。情緒が不安定です。

日曜は朝から京都で研究会で、昼からそのまま京都の某ホテルで仕事。会議開始がナチュラルに1時間遅れの見込みで、今ネットブックでこの日記を書いておるわけです。なんかもう動じなくなっちゃったな...。夜の飲み会参加が可能か、問題はそこだけだ。

ライセンスVol.Talk#6、今回はおもしろかった!なにはさておきいのもっさんの理不尽ギレ。ライセンスのトークの8割はいのもっさんのボルテージにかかっているとあらためて思う。この人は本当に歩くトラブルメーカーです。っていうか世間的にはとてつもない非常識なのに、子どもの駄々を許してしまう精神が働く不思議。30分以上ジャイアンの理不尽節が炸裂していた。藤原さんはやっぱりピン芸もがんばったほうがいいと思います。後半の親族話もほのぼのとしていいトーク。家帰ってもう1回みて書きます。さすがにここ(ホテルロビー)で見る根性はない。

地上波もいろいろ流し見てるんですけど、とりあえずアメトーークは新しかった夢芸人。来週は相方大好き芸人ってことで、おぎやはぎが出るならバナナマンもみたかったぜ。そしてまた出たオードリー。なんかほかの番組でも見たような...志村どうぶつ園?かな?いまの露出度はいっときのチュートリアルより脈絡なくてひどいと思う。せめて今年のM-1までは、消費されきってしまうなと願います。M-1で去年よりもっと面白い漫才が見られたらいいなあ。それだけ。
あとはビーバップハイヒールの外人軍団がおもしろすぎることと、タモリ倶楽部でひさびさに見た華丸大吉に懐かしさすら覚えたこと、そんなもんかな。

気付けばもうすぐバナナマンの夏が来る。大事なことだけを見失わなければそれでいいんだ。

2009年05月10日(日)



 たんぼのむこうのむこうのむこうに

きのう半覚醒で書いたライブ感想を下げたい=捻り出し日記。
あ、いつのまにやら30,000PVで、誠にありがとうございます。

GWで録りためてたお笑い番組総括
・やりすぎコージー:お笑い新御三家=オードリーとはんにゃとフルーツポンチ。なんかこの並びは違和感ある。というかノンスタがかわいそうになる。オードリーがさすがのトーク得点率の高さ。これ放送時は梅田にいて元相方のワンセグで見せてもらってたんですけど、春日のパンク話で傍迷惑なぐらい噴いた。若林はできる子。
・リンカーン:そのとき歴史が動いたコーナーで渡辺鐘登場。あとは覚えてない...
・○○な話:設楽さんが反応薄かったせいで2回押しで話してたのは何だっけ。ロッシーみたいな子どもが欲しい女子の気持ち、わかるぞ。有吉へのつっこみ「家か!」(設楽&松本)。松嶋のトイプードルの毛並み→浜ちょんの髪の毛のさわりごこちの飛躍がようわかりませんが、松本が近年まれにみる笑い方をしてたのでよかったです。
・科学くん:ライセンスゲストで昆虫バカ。奈良のガキ全開のいのもっさんと昆虫に引きまくりの藤原さん、よい対称。なんかもうライセンスに関してはムダな老婆心で、普通のお笑い芸人としての役割が果たせているか、ライセンス初見の視聴者にとって面白いのか、という非常に失礼なラインでハラハラしてしまう。客観視できてないな〜。でもコオロギ相撲で出演権を得ていたので、次もあると期待しています。
・ドッキリ大賞:おお、音楽なつかし。復活したら対象はお笑い芸人で。仕掛け人も芸人で。ブラマヨのキャラのおもしろさは桁が違うなあ。そしてまたもやオードリーとはんにゃ、本当に超売れっ子ですね。ノンスタの屈折をみた(大阪に帰してあげて!)。ここ数ヶ月でロンハーはじめ春日のドッキリをいくつも見た気がしますが、数年前のバナナマン日村より頻度高いかもしれん。今回のはいいドッキリ、相方の窮地に全財産を投げ出す超吝嗇家。...すごくいい話のはずなのに、言いなり感が漂っていたのはなんでかな。春日に主体性がないのか、カワウソ若林が強権すぎるのか、どっち?髭男爵山田→アジアン馬場園がえぐくて超おもしろかった。はんにゃはPVって...。やはりはんにゃの人気の秘密がわからない。
・あらびき団:ラフコンが完全に事故った。シソンヌが今の形態に辿り着いた経緯を知りたいです。劇団祭り。アラレちゃんに乗ってあげたカメラさん。BBゴロー今回はおつな寿司六本木店。アップダウン竹森のマジ歌「幼馴染み」結婚指輪のエピソードが気持ち悪い。キュートンはジェンガのほうで、幸せなら手を叩こう。VTRと意味を大学ノートに書いて提出してください。
・子育てプレイ:小山田さんステキに怒る。もうそろそろ「赤ちゃんの親を探す」という本線に戻ってもいいのでは...。1年くらい放映してくれるなら今のままでいいんですけども。

あー身体しんどい。日曜まではたぶん沈むと思います。

2009年05月08日(金)



 ただ単純に 好きなだけさ 好きなだけさ

ライセンス単独行ってきた!
ほんとうにありがとうございます(東に向かって五体投地)。

以下反転で感想です。ながいよ。カメラ入ってたのでたぶんDVDになる、はずなので未見の方はご覧にならないほうがよいかと。



総括;グッジョブマツコDX。マツコからの花、みんな写真撮りすぎ!
4年半(5年?)ぶりのくせにひじょーにバカでライセンスらしく、ゲラゲラ笑ってるうちに終わっちゃった。吉本らしいよいライブでした。即席感がすごい。数日前にラーメンズを見てた分、じつはけっこう心配してたけど杞憂だった。ああまでタイプが違うと潔いです。コントのストーリーとかオチには触れないようにしますよ(というかあんまりオチ覚えてない)。
順番間違ってたりブリッジ違ったら教えていただけると幸いです。忙しいだろうに、よく9本もコント書き下ろして練習したね。

開演前のアナウンス:ライセンス2人で。クソ丁寧なんだけど井本さん語尾が「〜この野郎」。ふはっ、ライセンスだ!

OP:スタイリッシュでちょっとびっくり。ライセンスロゴのパーツ(中の矢印と外枠)を別々に持ったタキシードのお二人がまず幕前に出て、引っ込んだら同じスタイルの影絵の映写。どちらかが大きくなったり小さくなったり、最後は互いが投げて放った二つのロゴがくるくるっと回転して合体。これ文で書くとわかりにくいけどかっちょよかったんですよ。会場ちょっと「おおっ」てなった。

ブリッジ1:まだライブやってないけどライブでしゃべってる体で。録音されたトークなんですけど、これがメタに働いてて非常によかった。コントで何やってても第三者がフォローしてるみたいな俯瞰の構造になる。客席へのコール&ウェーブの要求、あったまってもないのに誰もやりませんそんなの。そんなわけで1本目のコント。舞台セットに乗っかった2人が前に押し出されてくる。

旅行代理店:チャラい代理店店員(藤原)とスーツ姿の客(井本)。赤外線通信。すれ違いコントからの本領発揮、いのもっさんの「オイ!」が生で聞けて感無量です。「店長呼べ」も。声量半端やないな。たぶん言われたほうはマジで怖い。藤原さんの無駄な演技力がいかんなく発揮されていた。しゃくりあげ泣きからの客席乱入。オチは忘れた(堂々)

ブリッジ2:「全っ然噛めへんかったな」等の強気のフリートーク※あくまで予想の。客席は笑いすぎて失神続出とのことで、うんそれはない。

愛の奇跡:モノローグから明転した瞬間でストーリーが読めたぜ。まったく自慢になりません(※一(かず)ちゃんと付き合ってたけど若い貴ちゃんはじじいの一ちゃんと別れて若い女と結婚することに。女の父親に挨拶しに行ったらそこには一ちゃんが)。藤原さんのおネエ言葉パート1。「この泥棒猫!」がこれほど似合う男が当代におろうか。設定はドロドロ後ろ暗いのにノリが体育会系で、やっぱりバカ感性は大事です。えっ、ていうか親父がネコなの…?これはオチ覚えてる(あまりにも酷かったから)。

ブリッジ3:前のコントで失神した客が復活してまた失神したそうです。こんなに人間って笑えるんだ、というくらい笑い声を聞いた藤原さん※あくまで予想の。

打たれ強い男:短めのびっくり系。タイトルまんま。どれだけ撃たれても堪えない(気付かない)藤原さん。何発だったかな、8発?舞台上とはいえちょっと怖い。これもオチ飛んでます。

ブリッジ4:金かかりすぎたコント。「お前払えや」→「解散や!」だったかしら、この辺の流れがあいまいです。藤原さんの「解散や!」に大笑いするもっさんでフェイドアウトしていった気がする…

最期の一言:交通事故に会った健一(藤原)とその友達(井本)。セルヌンティウスじゃなくてセリヌンティウスじゃろ?「健一〜!」の声量に再び驚く。いのもっさん腹から声出る人だったんだね。ちなみにこれは基本いのもっさんへの無茶ぶりコントです。練習では毎回違うものまねと一発ギャグやってて、本番でなぜあれなんだ…。できれば大画面で全力顔を見たかった。寝転がって瀕死の藤原さん、客席から顔逸らして痙攣笑い。わきがのショックがでかすぎて←個人的ツボ

ブリッジ5:藤原さんが頼まれもしないボビーオロゴンのものまね。うん、うまいですよネ。ここでピンクのうさぎさんから「井本さんの好きなおでんの具はなんですか?」「2回死ね」の流れだったのかな。好きなおでんの具は卵。藤原さんは卵と言いつつ結局大根。心底いらない情報です。

恐怖の館:これちょっと新しくて好きだったなあ。藤原さん声だけでお化け屋敷(廃病院設定)のナビ。いのもっさんが一人でスモークのなかびびりながらお化け屋敷。ナビが至極丁寧に恐怖を軽減してくれる。お化け役バイトの人間関係とか全部バラす。せっかくいろいろできる設定なのだからオチでもうひとひねり!けっきょく藤原さんも普通の従業員だったのね。藤原さんだけガチのほうが好みですけど、全体のトーンに合わせたのかしらん。

ブリッジ6:ここで本物の芸能人に…でマツコデラックスのコメント。会場の歓声たるやそれはもう。まぎれて聞こえにくかったけどマツコつかみでさらっと「藤原ちゃん自慰行為してる?」つったよな…。もうピー音入りまくりで、2丁目のエグ味全開でした。いやでも全体的に愛あるコメントだよね。女は本当におかまキャラが好きなんだな。藤原さん鳥肌立てながら次のコント。

校長先生のお話:ハゲ散らかった校長先生(井本)と教頭(藤原)の生徒受け奮闘。校長の頭が小さいので、エアリーだか無造作だかでいじられてもあんまり見えないんだよ。教頭の校長フューチャリングがヤマ。藤原さんの練習の成果発表会です。

ブリッジ7:このへん多分気を失ってました。わーまったくおぼえていない!

最強戦隊ストロンジャー:おおうダウンタウン!テンションあがる。これはもうダウンタウンでしかないですよ!ヒーロー戦隊ものの矛盾と老いの驕り。おもしろうて、やがてかなしき。この方向性を継ぐのはライセンスしかいないのじゃないか。グリーンかイエローのどっちかが死んでも、遺されたほうはひとりでショーやるんだろうかとか、そういう余韻余情がみえる。これとても大事。

ブリッジ8:この後のコントをやりたくない井本さん。だって真ん中もオチも決まっていないから。本当に意味も何もないから。でも「ライセンスの真骨頂」と周りに言われたらしい。藤原さんもトイレ行きたい人はこのコントで行ってくださいとのことで。あ、もしかして…?と客席の期待高まる。

あいつ:ライセンス真骨頂きた!マッサージの変態です。ほらあのアフロの。「マー」の。田所さんと並んで好きな藤原キャラで、これは素直に手を打ってよろこんだ。アフロがでかくなりました。舞台は今回スポーツジム。なにひとつ体操はしませんでしたけど。いのもっさんは前のようにびびって逃げ回る(+笑い死に)よりはこのコントへの拒否感が強かったようです。途中、三角座りで「もういやや」「これやる価値ある!?」って正当に叫んでた。藤原さんやっぱり年齢も年齢なので、正坐からの立ち上がりも逆四つん這い(あれ何ていう体勢なんだろう)もなくてちょっと残念。かわりにNSCの子らが同じ格好させられる。本当に脇毛を抜いていた藤原さん。バカだ!ものすごいバカだ!「オチおもんないねん!」っていうオチのコントを初めて見た。

ブリッジ9:「な?」「そうなるやろ?」そうですね。では最後のコント。

警備員:私はどちらかというとこの系統のコントが真骨頂だと思っています。2人とも普段は(1人1人であれば)まっとうでありえたのに、2人の相乗効果でバカやってるうちに知らず川を越えてしまう。世の常識や善悪の境界を超えてから気付いて、2人で顔見合せて舌出して、迷わず彼岸に逃げ去る。どちらかが此岸に戻ってくる、あるいは2人で戻ることはないんだ。
このコント感想がいちばんコント自体とかけ離れてるんですけど(※警備員が根性あるかないかで意地張り合って美術品ぶちこわして逃げるだけのコントだからね)、これだけでもう東京行った価値があったなあと思います。私の中でけっこう長い間ナゾだった答えが出た気がする。「カッコーの巣の上で」のラストに納得いかなかった藤原ならどうしたか?「生きたまま連れ出して、いずれ自分も正気でなくなる」のが私なりの答え。

カーテンコール(?):ラーメンズのアンコール猛攻やバナナマンのフリートークで慣れてるので、あっさりしすぎてて拍子ぬけた。えっ終わり?フリートークもうちょっとやってほしかったかな…いやいや、でもお疲れですよね。マツコからの花の飾りは陰毛。
帰りに手渡されたアンケートが超手書きでした。時間なかったのかマンパワーが足りないのか、どっち?


いや〜それにしても強行軍だった。
4日の朝に家出て仕事して夕方梅田で元相方とご飯食べて、そのまま夜行バスに乗り込んで5日早朝に新宿着。ネットカフェで身づくろいして(なんて便利な世の中になったんだ)、池袋でモーニング食ってサンシャイン国際水族館で深海展示を見る。特別展示は5月10日までだったんですよ。ザラビクニン見たいじゃないの。1時間以上もジャリと一緒に並んで見た結果、深海ブースせま!と思いました。ラブカとミツクリザメの剥製展示が残念じゃった。どっちもまだ小さい個体で、ジオラマに配置されてしまうと目立たない。あと入り口すぐに展示されてたリュウグウノツカイもわりと人に気づかれないまま素通りされていた。ザラビクニンは水槽が結露しちゃってほとんどみえてなかったしなあ。でも今年1月に発売されたDVD「深海の世界」の上映があってよかった。ここぞと液晶最前列に陣取ってガン見しました。結果、あのDVDは買わなくてよい。クラゲと最近流行のチムニー(海底火山みたいなの)with白エビはあんまり興味ない。要は深海魚が見たいんだよ。
あ、水族館として珍しいなと思ったのは、イカとタコの展示があった点。特にイカは珍しい気がする。例によって世界大型淡水魚の巨大水槽に貼り付いてピラルクーとアロワナとキャットテールフィッシュの動画をとりまくる。子供の頭って本当に邪魔な位置にあるよな(最低)。しかしこの水族館も鳥類と哺乳類が充実しすぎです。都会になるほどちゃんぽん度上がるよね。魚をもっとがんばれよ!!あ、そうそうカワウソがいたんですけど、‘じゃないほう芸人’ホープのオードリー若林に顔面そっくりだった。グッズとガチャガチャがあんまりなかったけど、リュウグウノツカイとあんこうとオニキンメのマスコットがあったので許しました。完成度はひどかった。
午後、国会図書館で調べもの。カウンターのおっさんの仕事の遅さに心底苛立つ。サービス業!
で、上記ライブみてまた恐怖の深夜バスで帰阪です。そのまま実家の法事出て、午後から会社。かつてないほど朦朧としている今。今年のGWは結局1日として休めていませんが、面白かったんでよしとしよう。

2009年05月07日(木)



 忘れかけた本当は忘れたくない

ちょ、ライセンスがラーメンズに追いつかれる…!
慌ててラーメンズ〆日記です。
だってぜんぜん別物だからね、脳内で同居させるのはいやなのです。


後日思い出したら書き換える。忘れないための個別コントメモ。
■塔の始まり、黒い箱が4つ。その上でブリキの人形のよに不動の片桐仁と小林賢太郎。ここで初めて「ラーメンズ本公演だ!」と鳥肌が立つ。1つめのコントは箱を積み木のように使って、言葉とパズルで組み立てるコバケンお得意のあの感じ。喋らずカチコチのロボットたちのあいだに関係=やりとりが生まれることで、だんだん2人はニンゲンらしくなっていく。ファーストタッチで頭しばいてたので(しかもその後ブラシ)、おやおやベタでくる?足場である箱が動くこと、箱の外に立っても死なないこと。そこに天から無理難題(?)が降る。器用にできるけど感情表現の乏しいロボットと、できないけど感情表現ゆたかなロボット。コバケンの無機質感と欠落感は笑いと悲壮のキワをすり抜けるのだ。やっぱりちょっと痛い。ピアノのオチがよかった。
■厨房の2人。部屋ではパーティーが行われていて、その準備をするコバケンと、ほとんど傍観して手遊びにあやとりをする片桐さん。コバケンはシャンパンタワーを壊し、ロールケーキを壊し(アンモナイト...)、くす玉割を失敗する。その合間に2人あやとり。あやとりを知らない人に言葉だけでどう伝えるか。
■クリムゾンメサイア!ビバ子どもの想像力!このコントはたかしと父さん、ギリジン、ジョッキーの流れですね。非常によかった。不透明な会話みたいに対話方式で入ったからどうなるかと思ったら、後半怒濤の片桐仁フリースタイルで。片桐さん1人3役やってんのに、余裕すら感じられた。こういうコントでコバケンがつっこみ、というのがとても新鮮。語感の比較から一気に女宇宙盗賊に飛べるのが片桐仁ですよね。ラピュータネタなどもありつつ。青銅の魔人。これもう一回見たいよー。
■ハイウェストコント。そうとしか言いようがない。これはさ、語呂でおもしろがるコントのはずなんですよ。でも見た目が破壊的すぎてだめだー!なんでちょっとナナメってるんだ。最初STUDYのQA系?と思ったら小林さん自らモアハイウェストで出てきました。なんなのそれ反則だろ。いちばんナンセンスでくだらないコント。隣で先輩Fが笑いすぎてマジ泣きしていた。やめろよ恥ずかしいから!
■ルームシェアする塔マニア。なんか「器用で不器用な男」が卑屈になったみたい(つるちゃんじゃないほう)。なんか...思い出すだにこのコントは変なコントだ。小林の心情が行動に一切つながっていかない。内向的な僕とつるちゃんはずっとここで仲良く塔を愛好していたいんだ!→キャンプに行くつるちゃんをだましてつるちゃんのかわりにキャンプに行ってやろう!...って、おかしいよ。行動になるとヘンに屈曲する。ALICEの感じ、すごくいやな感じ。このコントは順番逆に作ったんじゃないかなあ。片桐に化けた小林を片桐本人が演じる、というイリュージョンがやりたかったんだと思う。だってそうじゃないと動機の設定がまったく腑に落ちない。でもなんとなく小林さんは(まだ)これ入れないとだめだったんだろうなという気もする。もう1回見ないとわからないコントでした。もやもや。
■京都タワーに恋する五重塔と侵入者のコント。は、実はあんまり覚えておらず。なんか組み立て方は特撮的な飛躍なんだけど、ぜんぶ頭で考えた感じがしてしまって(クリムゾンメサイアの逆)。君の頂、僕がいただき!は最高にきしょくわるかったです。
■塔の終わり。今までのキャラクターが扉の向こうに走馬灯のように流れていくのはよかった。ちょっと構造的にCLASSICの感じで。


あーこれで心置きなくライセンス単独ライブが見れる!切り替え切り替え。

2009年05月02日(土)



 せつなーい人間

ラーメンズ‘TOWER’みた!

チケットとってくれた東京の先輩Fと新神戸オリエンタル劇場待ち合わせ。定時退社で全力疾走したため息も絶え絶えでしたが、何とか開演ギリギリで間に合いました。ひさびさに会ったFと「もし開演に間に合わなかったら舞台上に脱糞も辞さない」とか話してるうちに開演。なんだか構えたりする間がなかった。
2年前の本公演‘TEXT’はそれこそ悲壮なまでの期待と不安と感動をもって臨みました。今回は予習もせずタイトルの意味も考えず、フラットなところからスコーンと世界に入っていけた。結果、非常にしあわせな時間でした。ゲラゲラ笑えるベタな笑いが多かったし、ラーメンズでは初めて「こねくりまわさなくていいカモ」と思えた。
なので以下はすべて蛇足です。おもしろかった、でいいじゃない。
相変わらず見た人にしかわからない備忘録、一応ネタばれなので隠しています。長いよー。


ラーメンズ第17回公演‘TOWER’
改行も見直しもない備忘録です。
あーもう1回みたい!山口とかチケット余ってねえかな。
遊びをせんとや生まれけむ。雰囲気が原点回帰で、なんだかとても楽しげ。でもテーマはやっぱり全コント相互不理解で貫かれている。TEXTのとき、言語のベクトルはもうだめだろうと思った。言葉では「銀河鉄道の夜のような夜」からどこにもいけない。TEXTは「言語による不完全なコミュニケーションと、それに頼りきっている人間(=自分)」の開示で終わっていたと思うんですね。TOWERでは、相互不理解をふまえたうえで「一緒に」なにかに挑んでいる。お互いにわからない者どうし、何かの目的のためにわかりあおうと踏み出している。これって構造的には止揚の逆だよね。コミュニケーションそのものを目的としなくなった、というよりは、コミュニケーションを自然にとるために別に目的を作ったんだ。これは小林賢太郎の大きな変化だと思う。希望かどうかはわからない。今回の本公演はちょっと雀の感じがしたんです。雀にはまだあからさまな劣等感はなかったけれど。TOWERでは自分の劣等感を受け入れているように思う。小林賢太郎の表現がめんどくさいのは、相互不理解(コミュニケーション不全)と、あるひとりの人間への劣等感とが分かちがたく結びついてしまっているから。劣等感を受け入れた小林賢太郎は、遊びを通じて片桐仁に「やりかた」を教えてもらっている。自分の優越を誇示しながら、ぎこちなく関係を紡ぎながら、親を見上げる子どものように。彼が他者に求めるものはもしや、保護と許しなのかしらん。でもそれとあまり関係ないクリムゾンメサイアが一番おもしろかったっていうね。
通して思ったのは、片桐さんうまくなったなあ!ということ。声の表現力が段違い。客席の笑いとかぶらない間のとりかたもうまいし、昔よく感じた「しんどそうな演技」が全然なかった(=「ハズし笑い」がなくなった)。片桐さんの舞台見てないのでどんな経験を積んでこられたかは存じませんが、うん、うまいっていうより強く大きくなった。小林賢太郎は相も変わらず腹立つほどうまいのですが(空間をつくりだすマイムは完璧だし、発声は劇場のいちばん遠くまでつやつやの音の粒がとんでいく)、片桐さんはそういう次元ではないなあ。入れ物の性能の良し悪しを超えている。



やっぱりものすごいクオリティの高さですよ。
大笑いもするし全力でバカやってるんだけど、結局のところ形に破綻がない。
考えた人の脳みその高尚さがよくわかる。そこに隠したものの悲壮さもわかる。
そこはあんまりわかりたくないけども。
あ、そうそう幕間がいちいちよかった。
あとフライヤーが凝ってます。どうやってナナメに裁断したんだろ?

個々のコント感想まで入れると長過ぎるので、いったん切る。

2009年05月01日(金)
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