2006年09月27日(水)...空き時間

 渡り廊下から校内を眺めて居た。昼食を採ろうと移動するひとの群れが、午後の陽射しに照らされてきらきら輝いている。しん、とした廊下に時折響くエレベータのモータ音が、世界を保っていた。

2006年09月26日(火)...新学期

 緊張がぐっ、と胃を攀じ登って、食んだ空気が舌の上でかさかさと枯れてゆくのが解った。腕で創った囲いに顔を埋めて、深呼吸を繰り返す。吸い込む度に増加する酸素が脳味噌を侵食して、眼の前がちかちかした。

2006年09月25日(月)...登校日

 久々の快速は少し煙草の匂いがして、初々しさの失われたスーツ姿に溢れる遣る瀬無さが、お昼時の陽射しの中に揺らいでいた。
 休暇中に育まれた澱んだ空気が、知らず知らずに染み付いている気がして、居た堪れない気分がする。

2006年09月18日(月)...秋晴れ

 環状線を車が走り抜けてゆく。茫然と天を仰ぎながら、こんなにもきらきらと忙しい世界に、空っぽの予定を思った。堂島川に沿って歩く。左右に立ち並ぶオフィスビルに曇り空が映って、時折差し込む陽射しに秋を憶えた。
 綺麗だと口に出して、同時に少しだけ憎らしくもあることに気付く。何ひとつの繋がりも無く、上映される日常を客席で眺めるだけの隔絶が、途轍も無く心に響いた。水に浚われたなら、何処に流れつくのだろう。

2006年09月07日(木)...透明

 転々と、ただ待つだけの生活に馴染んで毎日を浪費している。繁華街の一角に在るドトールの、幾度と無く繰り返し注文したアイスココアと親しみが湧く程に眺めた店員の接客模様は、午前中を塗り潰すには充分の目まぐるしさが在った。正午に近付いた街を目的も行き先も無く、只管に歩く。同じ時刻、同じ場所、見慣れた客引。此処で叫んだところで誰も眼に留めないだろう、そんな確信が心臓を射抜いて自分がぺらぺらと薄れてゆくのが解った。

2006年09月04日(月)...維持

 明日を手折らない様に、今此の瞬間さえも全神経を集中させて呼吸を保って居る。緊張と疲労で雁字搦めの今日を、ただ遣り過ごすことだけを考えて、10時間が経とうとしていた。

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