舌の色はピンク
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2009年12月18日(金) 悪の義務

いつものように電車に乗っていて
目の前の座席の男性が気になった。
彼は肉付きのいい巨体に加え足を開くなどして
たっぷり占有面積を広げており、
そのため7人掛け座席には6人しか座れていない状況だった。
僕はこうしたデリカシーのなさに対しては
執拗に陰湿に責め立てたいので
文庫本越しに彼を睨みつけたりしていた。
割とじっと睨みつけていた。
睨みつけていた、そして気がついた。
この男、綺麗なまつ毛をしている。

本当に綺麗なまつ毛をしている。
俯瞰からの観察につき肌に浮くまつ毛は立体感を帯びて
短髪巨躯の彼の顔面に少女漫画さながらの描線を引き
(…いるか?)(……この男にまつ毛、いるか?)
と僕の心中に感想を与えながら
しかしそれでいて圧倒的に憎めない優雅さを放っていたのだった。

…悪役でいろと。
僕の生活の主人公は僕で、
男はこの物語の悪役として現れたはずなのに、ぶれるなと。
キャラクターデザインを練ってから登場しろと。
あんな綺麗なまつ毛されたら悪役はこっちになってしまうと。
落ち込んだよ。


れどれ |MAIL