カゼノトオリミチ
もくじ過去未来


2013年05月28日(火) 高いところで月と




風に飛んでいくんだよ

破片となって

でも

たましいはそのままで



ハンカチ

ノート

身体のどこか

そして そして

髪の毛さえも



カミサマが吹かせる

五月の風にのって

飛んでいくんだよ



今夜 たましいは

高いところに

のぼったお月と

寄り添って

それを見送る



サヨナラ

アリガト

そして 君も

旅立つんだね





2013年05月22日(水) 風が




今夜の風は涼しいね

その荷物を ここへ

おろしてもいいよ


誰の声だろう

なんだか 少し泣けた


理不尽さも 腹立たしさも

他人からみれば

大木のさやさやと

ひらめく葉のたった一枚


そんなものさと

いま 風が頬をかすめていった

その背中に 急いで

ありがとうと呟いた


少し笑えた

たぶん




2013年05月18日(土) お日様と雲




自分で自分に

ファイト、ファイト、


初夏のキラキラ

お日様と雲

まぶしすぎて

思わず日陰へ逃げ込んだ


手先が止まる

固まる かたまる…


ファイト、ファイト、

立て立て 立つんだ

立て立て と


声は

水の中でもがくように

にぶく響く


いっそこのまま

水に流れて

浮きながら

青い空を眺めようか


ゆっくりゆっくり

チカラを抜いて


耳元で

静かに静かな

水の流れる

ささやき聞いて



2013年05月15日(水) 沈黙の道




この道はいつもそうだ

この道は沈黙の道

昼も夜も

見知らぬ何かが漂う道


平屋の古家を

五月の木々が包み込み

歴史は葉陰に息を潜め

時のネジをたんたんと

巻き続ける


赤いばらの茂みたちも

時の記憶を隠し

その正体を

明かそうとはしない


垣根の向こうから

誰一人

のぞき込む事はなく

昼も夜も 緑に包まれ

この世を拒絶しつつ

密かに息をしている





2013年05月14日(火) ご破算




言葉がここにたくさんある

日の目を見ない

言葉が部屋にあふれている

頭の中に

でもこれらはこのまま

初夏のこの風に

飛ばしてしまおう

頭の中での算段は

必要のない積み木遊びで

やがて日が暮れれば

ビールと共に

流して消えてゆく

通りから響く

子供たちの歓声に

今日のくだらない全ての思考が

あっけなくもかき消され

ご破算になる




natu