カゼノトオリミチ
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2013年04月26日(金) キラメキ


南風吹いて
花びらが震える

新緑は
まぶしすぎて
太陽に
ウィンクしてみせる

花たちは
せかされるように咲き

駅へ向かう
人々の足は
少しだけ軽くなる

私はこの季節の
キラメキが
苦手でもある

心トキメク
自分のテンションを
支えているのが
重たくて



あの光あふれる
みどりの世界に
出てゆけば

とたんに
初夏に呑まれ
踊りつかれて
しまうから

部屋の中から
キラメク季節を
ながめていよう

南風に吹かれ
遠くから届く歓声を
聴いている

心うきたつ季節

心はそれを
望んだり
疲れたり









2013年04月24日(水) 南風

そうだこうやって

いつでも風に

吹かれていたのだろう

隣にだれがいようと

また ひとりの午後にも

こうやって

自分の仕事をしていたのだ

ただ坦々と




ただ坦々と

私も生きればいいのだ

これから

雨が降ろうと

南風が吹こうと

ヒメオドリコソウは

そこに咲いている

それ程には

潔さはないけれど

私はとりあえず

思考のスイッチを

まずは切ることだ







2013年04月19日(金) みどりにそまる


顔を出した
スズランと

同じ目線に
しゃがんでる

みどりのなかに
しゃがんでいる

みどりのものたちは
知らん顔して
わたしをつつむ

そしてみどりに
わたしも染まる

灰色の春の日

湿った空気が
カラダにしみこみ

土のニオイを
カラダにうつして

みどりに
とけてしまいたい

あの葉のかげの
薄暗いむこう側で

静かに息を
ひそめていたい

春がゆくのを
見守っていたい









2013年04月10日(水) 陽だまりにて


植物にふれているとき

心がゆるみ

無心になっている

へんくつな心を

はるのかぜがつつむ

なんてなんて

なんてやさしいのだろ

このまま この

陽だまりに

とけてゆけたら



冬から春へ

春から初夏へ

ヒトの言葉を

言わぬ者たちは

季節とともに

ワタシをつつみ

癒し 

そして戒める

ありがとう









2013年04月06日(土) 春は春




静かだ
気温が上がり

植物たちは
ムクムクと
てんでに
手をひろげ

太陽は
惜しみなく照り

春がだまって
すぎて行く

昼下がり
ただ
ナノハナの匂いだけ

木も花も誰も何も
しゃべらない

街の空気が
膨らんでゆく

春は淡々と
春のまま

春を待とうと
春のことなど

忘れていようと




2013年04月03日(水) ながぐつ


雨が私を包み込み

カサの上で

メロディはじく



灰色のコンクリの壁に

アジサイの子

もう目覚めたの

ハイ 春が来たので



長靴がスキだな

つぶやきは行く宛てなく

雨粒にくるまれて

連れ帰り


あたたかな

ミルクコーヒーの

湖面をふうっと

ころがって

白い湯気と消えゆく










natu