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★★☆☆☆/魔狼王烈風伝 ----- 【 2004年05月31日(月) 】
作者:沢田 翔
出版:メディアワークス
月刊電撃コミック ガオ!連載終了済



【現在発売中(?) 古本屋で見つけるのすら難しいかも・・・】
魔狼王烈風伝 全10巻
魔狼王風雲伝 全2巻(こっちは角川書店)
どうも風雲伝から烈風伝に移ったらしいです。私が読んだのは烈風伝ですが。



『銀河戦国群雄伝ライ』が目的でガオ!を呼んでみたら烈風伝の外伝がやっていて、そこでハマりました。
途中『ガオ!』で呼んでいる漫画数も減ってきたし、雑誌を買うのも金の無駄になってきたのでコミックス派となったのですが、6巻くらいでこの漫画への興味は一度冷めてしまいました。
その後最近になって、『そういえば魔狼王、どうなったかなあ』と思ったら、もうとっっっっくの昔に連載終了していたようで(汗)、なんとなく続きが読みたくなって根性で全巻を探しました。
そのついでに風雲伝も見つけたんですが、烈風伝の2巻までとほとんど変わらなかったです。

で、全巻集めた魔狼王ですが・・・。
面白いんだけど、終盤に入ると物凄い早さで物語が進んでいくんです(汗)
もう『ガオ!』は読んでないので知らないけど、作者に何かあったのかなあ・・・。
明らかに「最初はこんな設定考えてなかったんじゃないか?」と思える部分が終盤になってチラホラと・・・。

特に風雅が双子の兄である死門とデキていたっていうのは、なんかオカシイ気がしました。
序盤で主人公である魔狼王・焔は、反逆者の死門を殺したんですけど、その死を知った風雅は驚いただけで焔を恨みもしなかったし、死門に関してはもうそこで終わりだと思ってました。
愛し合ってたなら、ちらっとでも恨むだろうし、物語中で風雅が死門を想ったりするだろうに、そんな描写が全く無いまま進んでいき、終盤で死門が敵の手によって生き返り、風雅と再会して、そこで2人の関係が恋人であったと明らかに・・・。
その設定を最初から考えていたとしても、あまりにも遅すぎる気がします。
風雅と死門の関係が明らかになった時点でコッチは驚いているのに、驚きから冷めないうちに、死門が風雅を殺す→直後に死門が我に返り自分の行いに動揺→怒った此土が出てきて死門を攻撃→死門が最後に「風雅、すまない」とか呟いて死亡、という怒涛の勢いで展開されるストーリーに付いていくのがやっとです。

あと、此土が風雅に惹かれてきているってのも終盤に出してきたけれど、それも出す必要は無かったような気がします。
風雅を殺した死門を、今度は此土が殺したわけだけど、此土が死門を殺した理由は嫉妬というより、兄を最後まで信じていた風雅を結局殺してしまった事に対する怒りのように感じられます。
惹かれさせる必要は全く無かったわけよね。
風雅が死んでから、此土は風雅について全くしゃべってないし。

更に、計都のセリフもおかしいところがありました。
敵との戦いで精神を攻撃された猿候王を助ける為、この王の精神に入り込んだわけだけど、精神の中にいた猿候王は子供の姿をしていて、王となるまで共に暮らしていた母親に会いたいと泣いている姿を見ます。
そこまでは良いんですが、この王を説得する計都のセリフに全く説得力がありません。
母親に会いたい、王なんて止めると言う子供(猿候王)に、計都は「王になってから嫌な事ばかりでしたか?」とか聞くんです。
これもまだ良いんですが、計都の問いを否定して自分の国を大好きだと言う王に、「あなたはもう猿候の王です。こんな所で泣いてたらダメ」って言うわけです。
それってつまり、母親より国を選べってことですよね。
母親なんて忘れてさっさと戻りなさいと言っているのと同じ事なのに、このセリフが完全に正論として成立してしまっているんです。
猿候王も何故かアッサリ納得して、計都と共に精神から戻ってくる・・・ってことで戦闘は勝利らしい。
うわぁ、やったね!・・・・なんて思えるわけありません。
なぜ王は計都のあの説得で納得したんだろう・・・。



正直、面白いのは中盤まで。
作者に何かあったのかもしれないけど、本当はもっと続くはずの作品だったんじゃないかと思います。
中盤までは主人公以外にもスポットが当たっていたけれど、終盤は早く最終回まで行こうと必死になっているように見えました。
だから矛盾も生じてしまっています。

1巻で魔狼王は混沌王に「都合のいいことだな。炎帝が必要になったので一度追放した俺を呼び戻したわけだ」とか言ってたけど、最終巻で魔狼王としての記憶が戻った焔は水城に「魔狼王はお前のために出て行ったんだ」みたいな事を言います。
要するに追放されたわけじゃなくて、自分から出て行ったというわけですね。

更に1巻で魔狼王はこうも言っています。
「残念ながら俺は炎帝を持っていない。現世界に堕とされた時に分離されたのだろう」とか言っていたけど、最終巻で焔は「魔狼王は現世界に下りて記憶を封じ、炎帝を西新宿に封印した」みたいなセリフを言います。
要するに自分で封印したってわけで。

こりゃもう、完っっっ全な矛盾ですよね・・・(汗)

更に1巻の最初で三神器を奪った人物も結局分からずじまい。
同じく1巻に出ていた設定「満月にムチャクチャ強くなる焔」も、3か4巻ほどに出てくる焔の獣人化も意味ナシ。
未那姫が明衣について「懐かしい」と言っていた意味もナシ。
明衣が焔を拾って、そこからどうやって2人で生活していったのか、説明まったくナシ(明衣の親が昔いたんだとしたら、焔を拾って良いとは言わないだろうし、いないのだとしたら幼い女の子が一人暮らしなんておかしいし、何らかの説明があると思っていたんだけど・・・)。
これらは伏線だと思っていたんだけどね・・・。

謎を多く残し、矛盾を沢山出して連載終了されてしまったので、★は2つです・・・。
★★★★★/「FATAL ERROR」シリーズ ----- 【 2004年05月30日(日) 】
作:新堂奈槻/画:押上美猫
出版:新書館
季刊・小説ウィングスにて連載中



【現在発売中】
FATAL ERROR 1 -復活-
FATAL ERROR 2 -異端-
FATAL ERROR 3 -契約-
FATAL ERROR 4 -信仰・上-
FATAL ERROR 5 -信仰・下-

【現在連載中(らしい)】
FATAL ERROR -悪夢-



押上先生が挿絵を描いているとの事だったので、なんとなく1冊目を手にとってみたのがキッカケです。
凄く面白かったので、その場でハマりましたv
主要キャラである一朗、宏貴、要のやり取りがとても面白いんですvv

主人公である松本一朗は大学生。
心優しく、背も高く、顔も良いのだが、超ブラコンな上にメチャぶっ飛んだ性格の持ち主。
けれど優しく背の高いハンサムである一朗にかかれば、それもまた魅力となる(笑)

一朗の義弟・宏貴は交通事故で死んだものの、『邪霊』と呼ばれる天の神に肉体を乗っ取られて別人として復活。
邪霊・宏貴は最初、一朗を鬱陶しがっていたものの、人間であった本物の宏貴の魂が邪霊と同化しているため、一朗を傷つけると人間・宏貴の魂にも影響があるらしく、魂が同化している邪霊・宏貴の精神もダメージを受けて力が落ちてしまう。
そのため一朗を守り、一朗と共にいる邪霊・宏貴だが、どうも人間・宏貴の心とは関係なく、彼の心も一朗に惹かれているらしい。

一朗の親友・要は拝み屋をやっているが、その正体は『鬼』と呼ばれる地の神。
死んだ人間に降臨する邪霊と違い、鬼は記憶を持ったまま人間に転生するらしく、要ももちろんそのように転生して、幼い頃に一朗と出会う。
新しくモノを記憶するたびに古い記憶が抜け落ちるらしいが、前世で友達だった人間に裏切られたというようなショックな事はなんとなく覚えているらしく、一朗に嫌われる事を怖がっている。
が、一朗は結局なにもかも受け入れてくれたので、『良い友達』だった一朗の評価が『絶対失いたくない親友』へと変化する。

天と地の戦いに巻き込まれていく一朗と、それを守ろうとする宏貴と要・・・っていう感じの物語なのだけれども、ハッキリ言って精神的に最強なのは一朗です。
宏貴と要は、メチャクチャ一朗に頭が上がらないので(笑)

とにかく面白いです!!
季刊で連載されているので文庫が出るのは遅いですが、小説ウィングスの中でコレ以外に興味のある作品が無いので季刊雑誌を買う気も無いし、我慢して待っています(苦笑)

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