My life as a cat
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2017年07月26日(水) ミュンちゃん天国へ

母の仕事が休みで家族でランチに出かける約束だったが、朝実家からミュンちゃんがもう危ないという連絡がありキャンセルとなった。10時過ぎ、死んだという連絡があった。母が徐々に硬く冷たくなっていく体をずっと抱いていたそうだが、ちょっと何かを取りに外へ出て帰ってきたら息絶えていたそうだ。昨日までふつうにしていたし、死に際もさほど苦しそうではなかったというので、こういうのを老衰というのだろう。そこで産み落とされたのか棄てられたのか、小さな黒猫3匹土手で鳴いていたところを小さな子供を連れた女の人に拾われた。1匹はどこかに行ってしまい、2匹残った。どなたか黒猫1匹いりませんか、というスーパーマーケットの貼り紙をたまたま黒猫を事故で亡くして傷心だったわたしが見かけてうちに来たのだった。成猫になっても子猫のように小さかったが、避妊手術前に大きな白猫が家に来るようになり、やがて2匹の子供を産んだ。黒猫と白猫の子供は白に黒ぶちとグレイの縞模様だった。黒ぶちは母の友達にもらわれていき、縞模様は一緒にいる。この子はなにがどうしたのか、全く誰にも心を許さない不思議な子だ。辛うじて家族のことは"嫌いじゃない"くらいな雰囲気で家出したりはしないのだが。ミュンちゃんは生き物がとにかく大好きで、中でも母は格別でトイレにもお風呂にも常に母の首によじ登って着いていった。母はミュンちゃんが認知症のようになってちゃんとトイレで用を足せなくなってからも嫌な顔ひとつせず"当然"のようにオムツを変えて、毛づくろいできなくなった体を毎晩お風呂で洗ってあげていた。だから母がお休みの日を選んで死んだのかもしれない。16年よく生きてくれた、ありがとうと言いたい。遺体は庭に埋めるというので、その魂は庭仕事をする母に寄り添えることだろう。

明日はクロエちゃんの誕生日だ。


2017年07月24日(月) シシリアンな食卓

夏休み。同僚たちはみんな里帰りや旅行にでてしまった。農婦のひとりが、自分の留守中好きなだけ食べていい、と言い残していったので、彼女の農園の野菜を美味しくいただいている。わたしのほうはビザのことで忙しくて怠けていたのでハーブくらいしか収穫できるものがない。彼女の農園からきゅうりとシシリアン・ルージュという品種の真っ赤なトマトを、自分の農園からバジルと紫蘇を収穫してきた。1ヵ月前に収穫を終えたたまねぎやにんにくもあるからランチは完璧。紫蘇のジェノベーゼ風とパンツァネッラを作った。デザートにはクレマ・カラメッラを。牛乳と卵と砂糖だけ。オーブンで1時間もかけてじわじわと蒸し焼きにした。まったくエコじゃないが、こうすることですごくしっとり濃厚になる。生クリームを入れればもっと簡単に濃厚になるじゃないかというが、それはまた違う。これは材料3つで作るのが一番美味いと思う。

クロエちゃんを連れて狂犬病のワクチンを打ちに病院へ行った。暑い中バックパックを背負って歩くほうも、バックパックに入るほうもそれはそれは大変。帰宅した時にはふたりともハァハァいって倒れそうだった。それなのに!だ。成田空港の検疫に電話して新事実が発覚した。

「EUのルールでは狂犬病のワクチンはマイクロチップを入れた後でなければなりません」

フランス大使館のウェブサイトには狂犬病のワクチンとマイクロチップが必要とだけ書かれていて順序までは指定されていない。だからまずワクチンを先に打ってきたのだが、今日の仕事は徒労に終わるのか。打った後、クロエちゃんがぶるぶると震えだして、心配で仕方がなかった。できればもう二度とやりたくない。自分のビザがひと段落したと思ったらクロエちゃんの手続きも複雑。フランスに無事到着できた暁にはしばらく地中海を眺めてぼんやりしていたい。


2017年07月20日(木) 共に朽ちてゆく物

引っ越しの準備で荒れた部屋で41歳の誕生日を迎えた。鏡に映るわたしは18歳の時にカルヴァン・クラインで買った半袖で膝丈のデニム・ワンピースを着ている。10代の頃から一生使えるような良質な物ばかり欲しがっていたのだから、今もその服を着ているということは不思議ではない。安い服を沢山買って毎日、毎年違う装いをすることよりも、一枚の良質な服を着続けるほうがクールだと思っていた。そしてその考え方は今も同じだ。見た目も精神もあまり変化を感じない。唯一認識している老化現象は即座に自分の年齢が思い出せないことくらいか。

数年前、手帳に書いた。

「40歳までに人生に必要な物を全部揃える」

余生は物の購入やそれにかかるお金のことに気を取られたりしないで、身近な人々とおしゃべりをし、美味しいごはんを食べるためによく働き、森や海をたくさん歩きたい。そうやって流れる時間の中ですでに手になじんだものと共に朽ちていきたい。

人が「何歳までに結婚したい」とか「何歳までに自分の家を持ちたい」とか決めるのとベースのアイディアは同じだ。

生活に必要なものを精査して書き出した。

食料1週間分
下着1週間分
鉄のフライパン 大小 1個ずつ

・・・

という具合に。破損したらその分だけ買って補充する。道で偶然素敵な物と出会って欲しくなることもある。でもその時はこれを入手する代わりに手持ちの物を手放せるかと考える。じっとじっと考えていると、たいていの"ひとめぼれ"は単なる目新しい物に沸いた一瞬の浮気心だったと気付く。

この人生のひとつのプロジェクトはベッドを購入した時に完結したという実感を得た。

それからすぐに引越しが決まった。全てをコンテナに詰めて持って行くことにした。見積り額は膨れ上がった。ベッドかキャットタワーを諦めればもう少し安くなると引越し業者はアドバイスしてくれたが、この中年の人間と猫は自分の匂いの染みついた物をあっさり棄てて新しい生活に入っていくほどの身軽な精神を持ち合わせていない。結局は引越し業者が見るに見かねて金額を値引きしてくれるという形になった。

今日は会社へ行き、荒れた家に帰り、農園で摘んだ紫蘇でジェノベーゼ風のソースを作り、段ボールの隙間でパスタを食べた。自分へのプレゼントは3日前に焼いたパウンド・ケーキ(いつもは1僂らいの厚さにスライスする)を好きなだけ分厚くスライスして食べること。フランスから宅配で届いたプレゼントの小さなキャンドル・ポットは中に新しい家のキーが入っていた。

"普通の日"だと思った。そして普通の日ほど尊いものはないとも。食欲旺盛でぺろりとパスタを平らげ、いつもより分厚いパウンド・ケーキにフォークを刺しながらニヤリとするような。健康な体と平穏な心をもってまたひとつ年齢を重ねられたことにしみじみ感謝した。


2017年07月13日(木) フランスのビジタービザの申請

はじめに

会社での激務の傍ら夜な夜などのビザを申請するかというリサーチに半月、ビザ申請のためのリサーチと書類収集に2か月かけてやっと手にしたビザ。エージェントにお金を払い代行してもらうというのもひとつの手だとも終わってみた今思う。そんな思いが脳裏に過った時にはすでに苦労を重ねて8割がたの書類が揃ったところだった。しかし専門家に頼ることなくやり遂げたということで、これから先直面するかもしれない困難にも立ち向かえるだろうという自信を得たことは確かだ。ビザの申請で一度却下されると次の入国が危ぶまれるというのはどこの国でも共通のことだろう。だから絶対にしくじりたくなかった。石橋を叩いて渡るようにネットで拾える情報の隅々まで読み漁り、慎重に書類収集を進めていった。

ここに書くのは"わたしの理解"であり、"わたしの体験"だ。正しいとは限らないので他の記事も沢山読んでリサーチを重ね最終的には自分で判断してほしい。

もくじ

1.どのビザを申請するのか

2.ビジタービザの提出書類と記載方法

3.長期滞在ビザ申請用紙(英語版)の記載方法

4.大使館でのビザ申請

5.申請からパスポート受領まで

6.スケジュールとまとめ(雑記)


2017年07月08日(土) ママのトマト


農園では夏野菜がすくすくと育ってきた。きゅうりは"食べ放題"かというくらい毎日誰かがくれる。小腹が空くときゅうりに味噌をつけて齧ってみたりする。ハーブは雑草かというくらいもさもさしてるので適当に摘んで色んな料理に入れている。

歩き始めて喋り始めたばかりの男の子がいる隣家は毎日庭のトマトを巡って騒々しい。

「ママのトマトもいじゃダメって言ったでしょ!」

「青いのもいだらもう食べられないんだから!」

「なんでそうやってもいでポイするの!」

トマトもいではその辺に転がして、みたいのがこの年頃の子供には最高に楽しい遊びに違いない。怒られては泣いて、翌日またやる。

窓の外でルーティンワークのごとく律儀に毎日繰り返される親子の怒声とその後の泣き声を聞きながら、小声でクロエちゃんと話す。

「学習能力はクロエちゃんのほうが上だね〜。1回怒られたら1週間くらいはやらないもんね〜」

「ミャオ〜ン」

親ばかぶりはいい勝負なのだった。

完熟のトマトを使って「トラーパニ風にんにくのパスタ」を作った。見た目の地味さとは裏腹に味は絶品。アーモンド、にんにく、トマト、バジル、そしてオリーブオイルをフードプロセッサーにかけ、茹ったパスタを和えるだけ。材料のシンプルさからは想像もつかない複雑な美味さ。和えたばかりもうまいけど、沢山作って翌日また食べてもいい。

デザートはパイナップルのティラミス。フィンガー・ビスケットの代わりに普通のビスケットを、マスカルポーネ・チーズの代わりに、普通のクリームチーズを使うのが自己流。ふわっとしたのよりぼてっとしたティラミスが好きだ。パイナップルとチーズの相性は抜群。

* * * *

今日、大使館からパスポートが郵送で返却されてきた。どきどきしながら封を切ると、現地の移民局用の書類が目に入った。あっ、取れた?とはやる気持ちを抑えながらパスポートを開くとあった、ビザ。書類作成に苦労しただけに受験勉強して希望の学校に受かったみたいな心境だ。こうしてフランスへの引っ越しが決まった。

ビザ申請についてのリサーチで感じたこと。大使館のウェブサイトだけでは不十分だ。ここで一番役立ったのは個人の日記やBLOGだった。わたしももし取得に成功したらこれから苦労する人のためにアップロードしようとメモを残してきた。ひとつの体験談として誰かの役にたてばいいな。これは追々過去の適当な日付のところに差し込んで行こうと思う。


Michelina |MAIL