陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2011年01月31日(月)      晦日正月

今年の正月もいよいよ 『みそか』 となりました。
そんな今日、午前中用足しに外出して昼前に戻ると市場
にお蕎麦が一人前余っていました。ちょっとした手違いで
お客様にお出しできなかった分であるとか。もうすっかり
伸びていましたが、手ずから打ったかわいい麺たちをみす
みす廃棄するには忍びなく、私がお昼にいただきました。

 とは言え、私はノビた麺は好物です
 から仕方無しに食べたわけではなく、
 いっそ喜び勇んで貰い受けました。
 画像ではわかりにくいですが、この
 お蕎麦、全体が箸で持ち上がるほど
 時間が経っています。寒かったので
 かけのつゆを拵え、利尻のとろ昆布
 を乗せて食べました。言うまでも無く
 美味でした。いかんせんお蕎麦の香り
 は乏しくなってしまいますが、きちん
 と打った麺は時間が経っても旨いです。
 一昔前のお蕎麦屋は出前が当たり前
であったため、そういったお店の職人さんたちは時間が経っ
ても美味しいお蕎麦を打ったのだそうです。具体的にどの
ようにしたかは不明ですが、職人の意地を見る思いです。

立春を目の前に控え、寒の時季も終わりかと思うと喜ばし
い限りですが、北陸では記録的な大雪が続き、関東では
乾燥した日が続いています。火事、流感等々悪いニュース
も多々聞こえてきます。どうぞ皆様、火の元と、インフル
エンザの予防には何卒ご留意願います。

のびもりそば

のびかけそば





2011年01月29日(土)      まきもの

1月も終わりに近づき、節分が迫るにしたがってスーパーや
コンビニエンスの店頭には 『恵方巻』 なる太巻き寿司の
宣伝が多くなります。上方では一般的な風習らしいですが、
関東でも浸透しつつあり、バレンタイン同様又もやメーカー
の策略に嵌って付和雷同に巻寿司にかぶりつく奴らが関東
でも増えるのかと思うとその阿呆加減に呆れるばかりです。
仕舞いにはお好みの太巻きが簡単に作れる玩具まで登場し、
ここまでくれぁもう、笑い飛ばすほかありますまい。

 こちらがその太巻きメーカーその名も
 『ふとまきまっきー』 ネーミングは実に
 ポップで愉快です。先に発売されて好評
 を博した海苔巻きメーカー 『まきまきまっ
 きー』 の姉妹機種のようで、解説をよく
 読んでみるとこの玩具実に楽しそうです。
 5cm、3cm、1cmと3種類の太さが作れ、
 カラフルな二重巻きや、動物の顔も作れ
ちゃいます。惜しむらくは、長さが10cm止まりというところ、
恵方巻所謂 『丸かぶり寿司』 にはちと寸足らずですな。

関東生まれで、麺類以外には保守本流を自負する私はあくま
で豆撒きのみに徹し、ものも言わずに太巻きを一息に喰らう
などという見るからに間抜けな風習は金輪際取り入れること
はありますまい。然しながら上方の皆々様が大切にしている
風習を嗤うつもりもありません。どうぞご存分にぶっとい奴
をばっくりとくわえて、一家の無病息災をお祈り願います。

因みに今年は『辛(かのと)』の年ですので、丙の方角即ち
南南東が恵方です。真南より、ちーっとばかり東の方を向い
て、ご家族お揃いでむしゃむしゃとお召し上がり下さい。

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ふとまきまっきー バンダイのサイト





2011年01月28日(金)      けいこごと

只今芋乃市場では、かまなりやで開催されている各種
教室の作品展が開かれています。陶芸、アイヌ刺繍、
書道と、受講者の皆々様の力作が並んでいます。ひと
わたりじっくりと見ましたが、皆さん腕を上げていられ
ます。特に陶芸教室の古株の生徒さんは実に良い物
を拵えています。講師の立場であまり褒めるのはどうか
とも思いますが、年季というものは確実に作品に反映
されるものだなあと感じます。

 そこへいくと講師の私は忙しさに
 かまけて新作が乏しく、隅のほう
 に何点か展示をしておりますが、
 なんともかわり映えのしないこと
 でお恥ずかしい限りです。でも、
 こうして写真にすると中々きれい
だなあと、自画自賛したくなるのも正直なところです。

稽古事は心を静めてゆったりと行うのが宜しいようで、
ウチの教室に通ってくださっている皆さんも、新井町の
のんびりした雰囲気の中でゆっくりと楽しんでくださっ
ているのかと思えば、主催者冥利に尽きることこの上も
ありません。皆々様の作品をあらためて見て、これから
も良い教室運営が出来るようがんばらねばと、引き締ま
る思いがしました。

本来は皆々様の作品をアップすべきなのですが、
すごい枚数になってしまうので講師作品でご勘弁願います。






2011年01月25日(火)      百 舌

鳥達が庭でせっせと餌を探しています。
アオジ、キジバト、ツグミ、アカハラ、そして今年は
雄のモズが一羽、裏庭に居ついています。

 頭でっかちでくちばしが鋭いシル
 エットは遠くからでも良くわかり、
 高いところにとまっては尾をくる
 くる回すしぐさは独特です。雄は
 色合いもきれいで、滑空するよう
 に飛びながらキャキャキャキャと
 連続して鳴く声でも、すぐにモズ
 だとわかります。百舌という名前
が付いたのは、多くの鳥の鳴き声を真似てぶつぶつ
と小言を言うように鳴くからで、そんな声音の効いた
鳴き方を 『ぐぜり』 と呼びます。秋口に虫を木の枝
に刺し備蓄するような行動をしながらもその餌を食べ
ることをしないので、物忘れの多い人をモズのようだ
と揶揄することもあるそうです。この冬を乗り切って
春になれば、近場に巣をかけて繁殖をするのでしょう
が、ホトトギスに託卵されてせっせと他の鳥のヒナを
育てる不運な境涯も待ち構えています。

モズはなんとも憎めない愛嬌のある鳥です。野生の
鳥の寿命は3年ほどといわれますが、裏庭のモズは
まだ若そうに見えますので、しばらくは観察が出来る
ことでしょう。1月も終盤、2月を乗り越えれば虫も
顔を出すでしょう。 気長に応援してやりましょう。

バズーカみたいな望遠レンズがなきゃぁ
鳥の写真は撮れません。だから図鑑の
パクリ画像でどーも済みません。






2011年01月24日(月)      ゆめにせん

明日からの芋乃市場用のうどんを打ちました。
この手打ちうどんで使用している小麦粉は、香川県産
『さぬきの夢2000』 という純国産の小麦粉です。その名
の通り2000年に登録された品種で、お目見えから10年が
経ち、その銘柄は広く認知されるに至りました。が、流通
している小麦全体から見ると、まだ数パーセントに過ぎな
いそうで、外国産小麦に依存する現状は未だ顕著です。

 ウチでこの小麦を使い始めたのは
 2004年からです。最初は加水や
 塩の加減がのみ込めず、切れやす
 いことに往生しましたが、さすが
 に長いこと打っているとコツも飲み
 込めて、今ではきれいなうどんが
できるようになりました。何といってもこの小麦粉は香り
が抜群です。打っている間も、できた麺を茹でている時も
たいそう食欲をそそるい〜い香りがします。芋乃市場では
ピザ生地もこの小麦粉を使っています。

うどんは、そばにくらべて日持ちがしますし、冷凍してお
くと一月くらいは風味が落ちませんので、夏場の暑い時分
以外は生での販売もいたします。一人前150g250円です。
鍋焼きうどん、うどんすき、焼きうどん、お鍋のシメ等等
さぬきの夢2000十割のおうどんはいかがでしょう?

明日からの1週間、ご来場をお待ち申し上げます。

打ちたてのおうどん。包丁が
ちーっとわざとらしい感じですねぇ。






2011年01月23日(日)      お 燗

コウ寒い日が続くと、晩酌はお燗酒が美味いです。
チェーン店の居酒屋などでは 「燗でお願いします」
と頼めば、お酒のことを録に知らない御馬鹿店員が
一つ覚えに 「熱燗で」 などと応え、げんなりとしま
すが、気の効いたお店なら、お燗の加減をきちんと
按配してくれます。

 お燗は、熱い順に概ね以下の
 ようになっています。熱燗(50℃
 以上)上燗(45℃)ぬる燗(40℃)
 さらにその下に人肌(35℃)日向
 (30℃)となり、常温を 『ヒヤ』 と
 位置づけます。この5℃きざみの
温度でお酒が表情を変えるところを楽しむのも、一つ
の醍醐味です。寒い外から帰った時には、熱ーくした
やつをきゅうーっとやって、人心地ついたなら人肌の
燗を楽しみ、ほどほど自分にも燗がついてきたら冷や
でいただく。また、夏の暑いときにはお腹をいたわって
日向の燗にして、奴豆腐をアテに一杯などと楽しみは
色々に広がります。

今夜は広島の銘酒 『賀茂鶴』 で晩酌です。
これを書きながらもうすでにぬる燗で二杯ほど呑って
います。そろそろヒヤにしようかななんて考えながら
カタカタとキーボードを叩いていますが、ほろ酔い気分
でいるのはなんとも良い気分です。ビール、ワイン、
ウィスキー、ウォッカ等々世界には美味しいお酒が
揃っていますが、今一度お米で作る日本の酒を見直し
てみたいものだと思います。

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2011年01月21日(金)      はっぱ

根菜類の葉っぱは実に美味しいです。が・・・スーパー
ではみな葉を切った状態でしか置いておらず、葉付きの
野菜が欲しい時にはわざわざ農協の直売所へ出向きます。
今日も仕事先へ行く途中にある北農協へ寄って葉付きの
ニンジンと大根を買ってきました。

 ニンジンの葉は炒め物にすると頗る
 美味しいです。特にジャコと炒めた
 ものは美味です。大根の葉は漬けて
 も炒めても美味しく、味噌汁の具に
 も抜群です。今は野菜が少ない時期
 ですが、隅々まで美味しく食べられ
る野菜があるのも嬉しいことです。ハウス栽培技術の進化
のおかげで八百屋へ行けば一年中野菜がありますが、旬
の味のしない生野菜を食べても空しいばかり、ならいっそ
切り干しや漬物の野菜を食べた方がマシです。無駄なく、
すみずみまでお命頂戴するのが生物への礼儀と心得ます。

     『いただきます。』

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2011年01月20日(木)      はつがま

 大寒の今日、本焼きの初窯を焚いて
 おります。気温の低い日中でしたが
 日が暮れて、更に外気は冷え冷えと
 してきました。そんな寒中をものとも
 せず、窯の中の焼き物は1,200℃を
 越えています。冬窯は、ぬくいです。

窯のフタ中央部にある 『色見』
還元焼成の炎が小気味良く噴いています。






2011年01月19日(水)      はつまん

 東の空にきれいなお月様が上がり
 ました。今年初の満月の出です。
 約して初満です。初日の出は皆
 有難く拝みますが、初月の出も
 また良いもんです。寒空の中、
 一家の無病息災を願いました。

カメラのズームで目いっぱい寄って
しまったので拡大しても月の模様は
見えませんねえ。






2011年01月18日(火)      職人技

ガキの時分から、職人さんの手仕事を見るのがことのほか
好きでした。特に食べ物の職人仕事は見ていて飽きること
がなく、団子や大判焼を焼くのを店のガラスにへばりついて
見ていたものです。今でも退屈な時はYouTubeで職人さん
の動画を飽きずに眺めています。

 そんな中で見つけた面白動画が
 このチャーハンおじさん。37cmも
 ある大鍋を振って大量の焼き飯
 を拵えます。匠の技というよりは、
 見世物的荒業ですが、大真面目
 にやっているところが実に好ましく、
テキヤさんとも違った玄人っぽさも好感が持てます。が・・・
途中で味付けに塩コショウとともに大量の化学調味料を
ふりかけるシーンがあり、それを見てしまうと、どうにも
食べてみたいという気にはなりません。暇な方は下の
リンクから覗いてみてください。

よく、轆轤を挽いて見せると、魔法のようだといわれま
すが、魔法は 『マハリクマハリタ』 といった呪文だけ
で出来てしまうのが本当だと思います。手を使っている
からには技術に他ならないわけで、せめて手品のようだ
と言って欲しいなと思います。人間の手は、修行次第で
これほどのことができるのだから素晴らしいことです。
物造りは技術偏重ではいけないとは思いますが、職人肌
の自分は 『匠の技』 の世界に同調してしまいます。

パクリ画像なので消極的に拡大

YouTube 宙を舞う炒飯!





2011年01月17日(月)      いちがついちば

 今年最初の 『芋乃市場』 の案内状
 を本日、発送いたしました。お近くの
 方は明日にもお手元に届くでしょう。
 お正月に書初めした波に兎の福札を
 写真面に配しました。染め付け風の
 色使いが心持ち寒々しい色合いでは
 ありますがキラリと朱に光るウサギ
 の目玉がそれを補っておりましょう。

寒中のお寒い折ではありますが、部屋を暖かくして
皆様のお越しをお待ち申し上げます。

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2011年01月16日(日)      かんちゅう

 冬の土用に入りました。
 季節は 『寒中』 真っ只中、日本
 各地が冷えています。然しながら
 日暮れの足が少しずつ伸びている
 のも感じます。畳の目ひとつずつ、
 米粒一粒ずつ、春に近付きますな。

2011年1月16日16時26分の横浜新井町の西の空





2011年01月14日(金)      ろくろはじめ

宮中では歌会始の今日、磯子区の屏風ヶ浦保育園さん
に一日教室に行ってきました。もう、19年も毎年おじゃま
している園ですので先生方との連携も円滑で、お元気な
年長組の皆さんと楽しく作ってきました。

 園児さんたちには自由に作って
 もらいますが、最後にろくろでの
 成形を実演して、見てもらいます。
 毎年お湯呑みやお茶碗を作りま
 すが、みんなのリクエストにお答
 えして即興で作ることもします。
これまでに、アイスクリームやアンパンマンを作りました。
今年のお題は 『ウサギ』 難題でしたが、袋状に挽いた
胴体に耳と目鼻をくっつけてどうにか凌ぎました。でも、
じぇんじぇん可愛くありません・・・みんなの前では笑って
ごまかしましたが、削り仕上げをして焼くまでにどうにか
もう少しかわいくしようと思います。お届けは3月の卒園
式、時間に余裕はありますので、知恵を絞りましょう。

この教室は毎年伺うたびに元気が出ます。お子さん達の
元気に同調することと、作ってみせるだけで素直に喜びと
驚きを見せてくれるからです。仕舞には 『粘土作り名人』
という称号までいただき、鼻高々で帰ってきます。今年も
たいそう良い気分で 『轆轤始』 ができました。

ゆり組の皆さん、先生方、ありがとうございました。

ウサギ? を 拡大





2011年01月12日(水)      桜 花

落札した陶器製手榴弾(有田焼)が手元に届きました。
兵器としては用をなさなくなった物ですが、有田の磁肌
に薄っすら緋色が刺し、焼き物としてみると佳品です。

 外側は無釉の焼締めで、型で作られ
 たらしい丸い形が愛嬌があります。中
 を覗くと釉が施してあり、火薬が湿気
 らないようにしたものでしょうか。厚み
 があるのでしょう、ずっしりと持ち重り
 するのが武器としての必然であるの
 か少々不気味です。口辺もがちっとし
 た厚みが付けられています。そのもの
をそのまま写真に撮るのはどうかと思い、寒桜を投げ
入れてみました。一輪差しとしては中々良い感じです。

大戦末期、特攻兵器として 『桜花』 という飛行機が開発
されたことは戦後生まれの私も知っています。人間魚雷
『回天』 とともに、悲劇の兵器であったらしいですが、
手榴弾体に桜の花を活けて思わずその 『桜花』 を思い
出しました。戦争時代、人間が一番愚かしい行為の果て
にそれも陶器で作ってしまった手投げ弾の脱け殻を眺め
つつ、不戦の誓いを新たにするとともに、平和の意義と
人が生きる意味を考え続けたいと思います。

画像を拡大 大きさは野球の硬球ほど





2011年01月11日(火)      陶器製兵器

オークションで、実に興味深い資料を買いました。
『日本の陶器製兵器・陶器製手榴弾』 という本です。
こういった本があること自体驚きですし、実際手に
とってみて、かなりきちんと研究編纂されている本で
あることに唸りつつ読みました。

 陶器製の手榴弾は、戦争末期に鉄材
 の不足から発案され、各地の窯業地
 で作られていたことは知っていました。
 この本によると主だった産地は、信楽、
 伊賀、京都、美濃、瀬戸、有田、備前、
 であるようです。各地で特色があり、
 きちんとその詳細が図版入りで網羅
 されています。陶磁器蒐集家として
は、兵器であるという点を熟慮しつつも、1つ欲しいもの
だと前々から思っていました。まだ実物は入手していま
せんが、詳しい資料が手に入ったことは重畳です。物が
物だけに心境は複雑ですが、陶磁器産業の一側面とし
て捉え、各地の弾体を集めたいものです。

実は、ちょうど有田製のものが別のオークションに出て
いたので入札しました。昨日めでたく落札し、明日には
手元に届きます。いわば負の遺産である兵器の脱け殻
ではありますが、しっかりと手にとって戦争と窯業に
ついて、真摯に哲学しようと思います。

表紙画像を拡大 
因みに、左上美濃製、左下備前製、右下信楽製です。






2011年01月09日(日)      あ だ な

芋乃市場女将、家人若林りえ子は旧姓を工藤といいます。
岩手県釜石の出身で、16歳の時に神奈川に転居してきまし
た。あだ名は 『キャドウ』 釜石言葉ではドにアクセントが
ついて、キャドー↑と尻上がりになります。

 そんな家人の幼稚園からの同級生
 さん達が6人で横浜に尋ねて下さいま
 した。関東近辺に住んでいる人達だけ
 ですが、秋に大々的な同級会を釜石で
 開く予備会議という名目。何人かの方に
 は面識がありましたので同席させてい
 ただき、昼酒を酌みました。幸い釜石
 には何度もお邪魔しているので地理も
わかり、皆さん都会暮らしに慣れて御国言葉もきつくなく、
こちら側からはなんら違和感なく会話を楽しめました。家人
の例にもれず、ほぼ全員にユニークなあだ名がありました。
ユキップ、ヌマズン、ニッシン、ミー、タンナリーと、20世紀
少年に出てきそうな楽しいあだ名ばかり、そのニックネーム
で気さくに呼び合い笑いあう仲間は皆、素敵な面々でした。

家人もそんな仲間と笑い転げ実に楽しそうで、端で見ている
こちらも愉快この上ない会でした。そのせいか今朝の女将は
中度の二日酔いとなり、朝から白い顔をしていましたがこれ
ほどに痛快な宴なら宿酔いも本望というほかありますまい。
因みに彼女のあだ名キャドウは釜石アクセントだと動詞のよ
うに聞こえます。高1の時でしたか、国語の授業で習った動詞
の活用に則って五段活用され、未然形が面白かったので、
それ以来横浜では 『キャドワ』 と言われています。

未然:きゃどわ(ない) 連用:きゃどい(ます) 終止:きゃどう
連体:きゃどう(とき) 仮定:きゃどえ(ば) 命令:きゃどえ
と、こう活用します。

末席ながら、秋の同級会のご成功をお祈り申し上げます。

私の花器に、ニッシンさんが
春の花を活けて下さいました。






2011年01月07日(金)      ま し こ

益子の造形作家KINTAさんのお宅へ出張そば打ちに行って
来ました。行きます行きますと言いつつ機を逸し、かれこれ
2年越しの日延べとなってしまっていましたが、突飛な日程
での訪問を打診したところ、ちょうどキンタさんとお嬢さんの
お誕生日に重なり都合が良いということで、これ幸いと
道具一式積み込んで推参しました。

 キンタさんのお宅は益子町の中心
 から少々東へ行った田園地帯の小山
 の中腹にあります。広い敷地に自宅
 と工房が棟違いで立ち、様様な素材
 に向きあっておおらかな造形活動を
 していらしゃいます。木、鉄、陶土など
それぞれの言い分をきちんと聞き取り、自分の表現に必要な
加工を施すお手並みは見事で、どの素材も生き生きとキンタ
さんの一分身となって存在感を放つのは天賦の才でしょう。
知り合って間もない20代の頃はその姿に憧れてせっせと真似
をしてみましたが、所詮メッキはメッキで地金に実力の無い
者にできる芸当ではなく、只の模倣はやめました。今はその
生き様から学ばせてもらっています。
薪ストーブの煙が立ちのぼる玄関

 そんなキンタさんの手作り感あふれ
 るご自宅の一角で昨年は不作で手に
 入らなかった益子産 『常陸秋そば』
 を久しぶりに打ちました。2010年産は
 アーモンドのような香ばしい香りが
 立つ素晴らしい粉でした。粉の保水
率も高く、打っている手にしっとりと馴染んで、快感でありま
した。茹で上げたそばは甘みが強くて実に美味しく、粉でこれ
ほど違うものかと改めて素材の大事さを実感しました。この日
は靴作家の曽田さんご一家と、地元の養蜂家諏訪さんご夫婦
も合流、お子様たちからは 『おそば屋さん』 と呼ばれ、いよ
いよもって本業は名乗りにくくなってきてしまいました。
恥ずかし乍らそばうち作業 (キンタさん撮)

 薪のストーブにあたりながら美酒に
 酔い、最近興味を抱いている養蜂に
 ついて本職の方からお話を伺い、
 あったけぇ布団で休ませていただき、
 帰省する気分というのはこういうもの
 かと擬似 『故郷でのお正月』 を味わ
いました。6日には諏訪さんの蜂場を見学させていただき、更に
詳しく教えていただきました。画像の巣箱は相当数があるように
見えますがこれはほんの一部で、自宅他各所に述べ数百箱が
あるそうです。ひとつの箱には多い時で万を超える蜂が住む
そうですから、その数たるや大軍団です。凄い仕事があるもの
だと驚きつつ、諏訪さんは脱サラで始めて3年目と聞き、更に
ぶったまげました。いつかウチでも少数の群れでいいですから
飼ってみたいものです。
小春日和の蜂場 左から諏訪さん、市場女将、キンタさん

諏訪さんのハチミツはいずれ仕入れて芋乃市場で販売したいと
思います。(初対面で商談が憚られ、まだ希望観測ですが・・)

KINTAさんの土人形を大量入荷しました!
2月の芋乃市場で販売します。ご期待ください。

とちテレニュース 益子土祭に向け土人形の窯出し(09-08-27)





2011年01月04日(火)      福 札

いやあ、良いお正月です。年明けからお天気は上々、
箱根駅伝も盛り上がりました。実況放送をラジオで
聞きながら今年も30枚だけ年賀状を作りました。

 今年は 『波に兎』 の絵柄に
 福の字を一文字ドンと書きました。
 元よりバランスの良い字ですから
 のびのびと崩して楽しみました。
 30枚一堂に並ぶとそれはそれは
 不気味ですが、楽しい書初めが
できて満足です。中でもお気に入りの一枚は使わずに
手元に置こうと思います。さてではそれはどの葉書で
しょう?それは上段左から二枚目です。大きな画像で
も少々見えにくいですが、今月の芋乃市場ではどこか
に展示しておこうと思います。

市場にいらっしゃったら、探してみてください。
ウサギと福が波に乗ってどどーんと皆様に押し寄せる
はずです。これで今年も吉祥大吉間違いなしですぞ。

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2011年01月02日(日)      賀 休

 今日と明日は休載します。

 まったりとお正月休みです。





2011年01月01日(土)      としおとこ

 明けましておめでとう御座います。
 和暦平成23年 辛卯(かのとう)年
 グレゴリオ暦2011年が始まりました。
 今年は大正でいうと100年にあたり
 ます。明治44年生れの方は満百歳、
 大正元年生れの方は数え百歳です。
 この頃は数え年(かぞえどし)で勘定
 する方もすっかりいらっしゃらなく
なりましたが、明治生まれの父方の婆様は子供達に
『あんたは数えで幾つになったんだい』 などと言って
おりました。そのババも既にこの世に無く、明治の方は
希少な存在となってしまいました。大正生まれの方も
一等若い方でも85歳、平成元年生れも22歳になる年です。

昭和38年(1963)元日生れの私は今日満48歳になりました。
数えで49です。やれ、珍しい生まれよ、おめでたい奴よと
言われ続けて48年、慣れたとはいえお正月のご挨拶の度
についでの様にそういえばお誕生日だねと言われると癪で
なりません。そんなコンペレックスに凝り固まった拗ね者
でも、人並みに生きて概ね元気に新年を寿ぐことができる
のは本当にありがたいことだと思います。

転がるようだと言いながらてんやわんやした1年が終わっ
たと思ったら、また今日から始まってしまいます。やれやれ
ではありますが、この歳になれば死ぬまで生きるほか仕方
が無いのが人生だと解ってしまってますから、じたばたせず
にいかに楽しむかを考えるのが得策でしょう。幸い平成の
御世の日本は概ね平和です。明治大正昭和は戦争の時代
でした、昭和20年の終戦から66年、平均的な寿命に鑑みれ
ば私の人生はあと30年ほどでしょう。いかに人間が愚かと
はいえあと40年くらいは世界戦争はおっぱじめますまい、
いや決しておこしてはなりません。

そんな平和のぬる湯につかってうまうまと永らえ、加齢
することを悲観せずに人生の滋味を味わえる人間になり
たいものです。手始めに今年は、お誕生日おめでとうと
仰ってくださった皆様に、笑顔で素直に 『ありがとう』 と
言うことにしましょう。

獅子舞で、おめでとうございまーす。




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