読書記録

2020年05月25日(月) 真夜中の子供 / 辻 仁成


 西日本最大の歓楽街・福岡中州。家族の愛を知らない一人の少年が、歓楽街を愛し、この街で自分だけの王国を築くことを決めた—…。戸籍を持たず、学校にも通えない少年が、博多の神事・博多山笠に魅せられ、歓楽街の人々に守られながら、たくましく成長する姿を描いた素晴らしい物語。

主人公は加藤蓮司。

警官の宮台響。
ソープの客引き井島敦。
スナックのママ御手洗康子。
山笠振興会トップの高橋カエル。
その後継者黒田平治。
マンションを持っているのにテント暮らしの伏見源太。
ホストになった時の客 滝本優子。
そして唯一の同世代 緋真(ひさな・優子の娘)

母であるホステスのあかねが別の男と同棲中に出来たということで、出生届を出さず蓮司はとうとう学校には通えず成人した。

いろんな困難や事件があったけれど、蓮司は無戸籍のまま生きていく。






2020年05月16日(土) 天国旅行 / 三浦 しおん


『死』をテーマにした短編集。

〇森の奥
富山明夫は早期退職をほのめかされ、同居する妻の両親の介護に追われ、長男も交通事故を起こしてしまい、妻に『あなたが死んだら保険金がはいるのに』といわれ、富士山樹海にやってきた。

〇遺言
58回目のあの時死んでいればよかった、という妻の言葉にうんざりしていた。
あの時というのはいったいいつを指すのか、君への思いを言葉にするつもりでパソコンに残しておこうと思う。


〇初盆の客
祖母の初盆に訪れた客は石津緑夫と名乗った。
戦前、乳飲み子を残して祖母は遠縁の祖父のところに嫁いできた。

〇君は夜
ひとはみな、夜にはべつの生を生きるのだと思っていた。
眠りの世界で、昼間とはちがう名前と顔を持っているのだと。
そして理紗の夢の世界は前世の私。

〇炎
通学バスに乗る憬れていた先輩が夏休みの最後の日、校庭で焼身自殺した。
先輩と付き合っていたという同級生の初音と先輩の自殺の真相を調べることになった。

〇星くずドライブ
まったく迂闊ではあるが、僕は香那が死んでしまったことにしばらく気づかなかった。
ひき逃げされて死んでいたのに、香那は僕のところにやってきて僕にしか見えない姿でいる。

〇SINK
鉄を切ったり曲げたり叩いたりして、既製品では飽きたらぬ施主からの依頼で門扉や街灯や窓飾りを作るのが悦也のしごと。
悦也は一家心中の生き残りだった。



2020年05月02日(土) ノルウェイの森 / 村上 春樹


 30年以上も前に読んだものの再読。

キズキが死んで、直子と東京で再会して、その直子も自死した。
療養所で同室だったレイ子さんと、大学の同級生の緑。
主人公はワタナベトオルという名前だった。

ワタナベトオルは物語の中では1969年に二十歳とある。
そうか・・・私とほぼ同年代。
でも私は大学にも行っていないし、トオルや直子、そして緑みたいに同姓の間でもまして異性間で奔放にセックスの話なんてしたことない。

それにしても・・・最後は何だ!!
どうして緑に電話して助けを求めているのだ?
自分の居場所が分からない・・・?
もしかして・・・前ページで旭川に旅立ったレイ子さんに何かあったのか??


この小説はこれまでに僕が一度も書かなかった種類の小説です。
そしてどうしても一度書きたかった種類の小説です。
これは恋愛小説です。ひどく古ぼけた呼び名だと思うけれど、それ以外にうまい言葉が思いつかないのです。激しくて、物静かで、哀しい、100%の恋愛小説です。(以上 帯から)





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