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2004年11月25日(木) 虫襖

何億と群がる黒蟲目の中を駆け巡り脳へ
共に激痛を伴い身体を切り痛みを和らげる
道端に落ちているコンビニの袋頭部を半分覗かせ
瞑れた顔眼球垂れ下がり目が合う
吐気頭の割れる痛み自ら頭を割る衝動へ
急激な水分を要する薬と時眼球で足の踏み場も無い


2004年11月14日(日) 境界

意識が薄れていく瞬間
私はメモしておきたいことが沢山あった
けれど私は私を捕まえることができなかった


兎の目が無くなった マンホールのような黒い穴

その穴から沢山人が落ちてきた 人が人を殺しムシャムシャ人を食べていた

一人が燃え出し皆燃えた 灰になって消えてった


2004年11月13日(土) 暁露

1時間ごとに目を覚ます

真っ黒い夢の中で 確かに何かが蠢いていて

それは私なのか それとも形無い物なのか


光に照らされ泡になり

蒸発しながら色味を帯び

変色しながら土へ潜る


左耳を削ぎ落とし ショーウインドウに飾った

耳の穴にコスモスの種を蒔き 芽が出る日を楽しみに待った


2004年11月10日(水) 守株

おやすみ

何度言っても眠れないよ

肩には触れないでね

殺してしまうから


2004年11月08日(月) 飛行

飛べると信じ飛んだ日も
地面へ落ちていきました

噛まれ食われ腐りました
踏まれ潰れ殺されました

それでも生きる雑草を
私は尊敬しています

どこからも見ることができない景色を
ずっとずっと探しています

どれだけ叫べば聞こえますか
いつの日か私は許されますか

その時は抱きしめて言ってください
産まれて良かったのだと言ってください

空に落ちたいと願う日々
それは必ずしも死ではない


2004年11月07日(日) 蟲灯

蠢く足

ビー玉の中

蟻が2匹

100個の太陽

広がる空色

冷たい風

暖かな灯

黒い涙

確かな吐息

歩行する境界

影と影と笑い声


2004年11月01日(月) 右側

私が歯を磨いていると 横で少女も歯を磨く

歯を磨く音が 1時間ほど右耳から離れない

少女は私に何もしない

ただ横に居るのだけど 私は時に恐怖を感じる

いつも見る少女の背は 何年経っても変わらない

私だけが大きくなって いつのまにか私の姿は見えなくなった

風化していく風景の中 赤いブランコと少女だけが

取り残されていく



haru