日常のかけら
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◇悟空…◇

「寒い…」

思わず呟いて顔を上げれば、悟空が寝室の窓を全開にしてやがった。
何をしてやがると、怒鳴ろうとしてやめた。

何て顔をして外を見てる…

もう克服したはずだろうが。
もう大丈夫だと笑っていただろうが。
もう怖くないと―――

そう言えば、眠る前は綺麗な月夜だった。
晴れた冬の夜空に綺麗な半月が上っていた。
その様子に、寒いけど気持ちいいと、笑っていた。

で、目が覚めたら一面の銀世界か。

予想もしなかった事態は打ちのめしたのか?
違うだろう?
ただ、驚いているだけだと、言え。
いつものように笑え。

―――だから…

「悟空」

名前を呼ぶ。

「悟空」

何度でも。

「悟空」

お前が笑うまで。

「悟空」

お前が俺を見るまで。

(三蔵)

2015年01月13日(火)