日常のかけら
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◇猫の日◇

寺院の中には野良猫が結構いる。
飼えなくなった人が捨てに来るんだって。
寺院に続く山道に捨てたり、境内に捨てたり、門の所に置いて行ったり。
飼えなくなるのがわかってるなら飼わなきゃいいのにって。
一旦、飼ったのなら最後まで面倒みてやるのが飼い主の勤めだって、三蔵が言ってた。
俺だって、猿を拾ってちゃんと飼ってるのにって。

「それって…ひょっとして俺のこと?」

って訊いたら、

「なんだ、知らなかったのか」

って、呆れた風に言われた。

「ひっでぇ!」

怒鳴ったら、

「最後まで面倒みてやるから安心しろ」

そう言って、頭を撫でられた。
そう言われて嬉しかったけど、喜んでいいのかな?

(悟空)

2009年02月22日(日)


◇春一番◇

気持ち悪いと思える程、ここ何日か暖かい。

どうしちゃったんだろ?

暖かい所為で、まだ出てくるには早い虫たちをちらほら見かけて、まだまだゆっくり咲くはずの花達が慌てて蕾を膨らませてるのも見た。

何かが狂っちゃったんだろうか?

心臓がどきどきする。
自然の運行が狂えば、何もかもが狂って災いが起きる。
人も大地も深く傷ついてしまうのに…

そうして、春一番がいつもより随分と早く吹いた日、桜の枝に勘違いして開いた花を一輪見つけた。

(悟空)

2009年02月15日(日)