日常のかけら
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◇来て?◇

なあ、なあ、今暇?
あのな、すっげえ綺麗なところ見つけたんだ。
ここからすぐだから、今から行かねえ?
なあ、なあ、三蔵。
本当にすっげえ、すっげえ綺麗なんだって。
三蔵と見たいから大急ぎで戻ってきたんだ。
だから、な、な?
行こう、行ってくれよ。
な、三蔵…なあ、ってばぁ。

(悟 空)

2005年04月30日(土)


◇可愛い◇

ねえ、悟浄…三蔵は本当に悟空が可愛いんですねえ。
何を今更って、顔してますよ。
だって、ねえ…あんな、一睡もしないで悟空の看病をするなんて思いもしなかったんですから。

え、寺院に居る時から悟空の看病は三蔵がしていたんだろうって?
そうでしょうか?
だって、笙玄さんがいるのに?
三蔵が手ずから看病していたとは思えませんよ?

でも……

そうですよね。
手慣れていますよねぇ。
ホント、三蔵は悟空が可愛いんですねえ。
ね、悟浄。

(八 戒)

2005年04月29日(金)


◇拾ったの◇

なあなあ、さんぞ、こいつ飼っても…ッてぇなあ!
俺、まだ最後まで言ってねえじゃんか。
言わなくてもわかるって…じゃあ、良いのか?

…っう…ってぇ…

何だよ、そんなに叩かなくたっていいじゃんか。
だって、怪我してるんだぞ。
それに外は雨降ってるんだぞ。
そんな中にこいつを出すなんて、俺、できねえ!
できねえからな。

(悟 空)

2005年04月28日(木)


◇どこ行った?◇

おい、悟空を見なかったか?
何、裏庭へ歩いて行くのを見たんだな。

いねぇじゃねえか。
おい、そこの掃除してる奴、悟空はここにいたのか?
来てない?
嘘じゃねぇな。

あんのサル、どこ行きやがった。

笙玄、悟空を見なかったか?
居間で昼寝してるだぁ!?
昼餉のあと、一歩も部屋を出てないのか。

ああ…お、俺は血相を変えて探してなんかいねえ。
お、おい、笑うな。
笑うんじゃねぇ、笙玄!

(三 蔵)

2005年04月26日(火)


◇好き嫌い◇

ああ、アキラまた、豆残してる。
え、食べたくないの?
っていうか、嫌いなんでしょ。
ダメ、そんな縋るような目をしてもダメだからね。
何でも食べないと、身体、もとに戻んないから。
ほら、ね。
この赤豆は美味しいんだよ。
ちょっと、甘くてシチューとよく合うんだ。
食わず嫌いなんてしないで、ほら、食べる、食べる。
でないと、アキラの食事係り、サルヴァにして貰うからね。

(キ ア)

2005年04月25日(月)


◇伝 言◇

ああ、笙玄、三蔵様にお伝えしてくれ。
皇帝陛下が明日、参拝に御下向なさる。
奥方様方もご一緒だそうだ。

何時頃かって?
昼餉が終わった頃と使者の方が仰っていたが、それがどうした?

何!?
三蔵様は今、三仏神さまのご命令でお出かけになってるだと?!
何で、私に教えてくれなかった。

き、急なお呼び出しとご下命だっただと?
で、いつ、三蔵様はお戻りになられる?
明日、明日のいつ頃だ?
予定では夕方…だと?

ああ…陛下は三蔵様に会われるのを楽しみになさっているというのに…
何とか、何とか三蔵様に連絡を付けてお帰りを早めて頂くように…頼む!

(勒 按)

2005年04月24日(日)


◇もうすぐ…◇

おーい、このベンジャミンの鉢、何処へ置くんだ?
え、窓の横?横だな。

しっかし、いい加減置くとこねえっていうか、人間様の居場所も怪しいぞ。
マイナスイオンも森林浴もいいけどよぉ、人間様の生活環境を改善した方がよくねえ?

え、煙草を止めたら考える?
そりゃお前…無理だって…。
なら、我慢ね…。

でもなあ…しまいにこの部屋、ジャングルになるぞ?

(悟 浄)

2005年04月23日(土)


◇試 食◇

悟空、スフレを焼いてみたのですが、試食してくれませんか?

どうです?
美味しいですか。
それはよかったです。
では次は色々な味のスフレを焼きますね。

悟空?
えっ…三蔵のも美味しかった?!
って、三蔵が?三蔵がお菓子を…スフレを作ったんですか!
本当に?
へぇ…あの、三蔵が………。

悟空、一度僕たちにも作って下さいって、三蔵に言っておいて下さいね。
美味しいお茶を持って伺いますから、って。
ね、悟空。

(八 戒)

2005年04月22日(金)


◇洗濯表示◇

ちょっと、あたしのお気に入りの洋服、ランドリーにかけたでしょ。
これはねえ、手洗い、て・あ・ら・い!
Tシャツや何かと一緒に扱わないでって、言ったじゃない。
もう、その耳、飾り?
お陰で、見なさいよ、柔らかかった風合いがごわごわになって、その上、縮んじゃったじゃない!
もう、もう、弁償しなさいよねっ!

(サルヴァ)

2005年04月21日(木)


◇ちりも積もれば◇

何なんだこの山は…?

…ったく、俺が読む必要の無いモノまで置いていきやがったな。
「不浄の水洗タンクの修理」に「門前出店申請書」だぁ?
知るか!
便所の修理の見積もりと発注書なんざ、勝手に決めてやれってんだ。
出店の許可は事務方の仕事だろうが。

「作務衣の支給願い」に「庫裡の調理器具の領収書」と「見学許可書」…。
俺はいつから事務職員になった?

笙玄が居ないと書類の仕分けもできねぇのか、奴らは…。

(三 蔵)

2005年04月20日(水)


◇吸い過ぎ◇

三蔵様、ああ、また…ほら、灰が落ちてます。
落ちてます。
灰皿へ…もう、山盛りじゃないですか。
先程、灰皿を交換したばかりだと言うのに、吸い過ぎでございますよ。

え、悟空ですか?
昼餉のあと、裏山へ遊びに行くと言って出掛けました。

そんな残念なお顔をなさらなくても…。

あ、ダメですよ、そんなコトしたら吸い殻が散ってしまい…もう、灰だらけになったじゃないですか。

(笙 玄)

2005年04月19日(火)


◇甘 い◇

なあ、三蔵知ってるか?
何をって、ツツジの花って蜜が俺でも吸えるんだって。
今日、ツツジの花たちが教えてくれたんだ。
ちょっと可哀想だったけど、花だけを摘んで、がくの方を舐めたらさ、すっげえ甘かった。
ほら、笙玄がくれる蜂蜜とは全然違う味なんだけど、甘いんだ。
なあ、三蔵はしたことある?
ないのか?
じゃあ、今度一緒にしような。
ツツジの花が咲いてる内に、必ずなやろうな、な、なっ!

(悟 空)

2005年04月18日(月)