せらび
c'est la vie
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みぃ


2006年08月04日(金) 「さよならフリーダム・フライ」

数年前、亜米利加がイラク侵攻をするかしないかで世界中と揉めている頃、アメリカ議会は付属のカフェテリアで出している料理の幾つかを「改名」した。そのうちのひとつであるイモの揚げたの、所謂「フレンチ・フライ」は「フリーダム・フライ」と呼ばれる事になった。

それが最近、人知れずこっそりと、元の名前に戻されたそうである。

ニューヨーク・タイムズ紙の意見記事("Au Revoir, Freedom Fries")によると、同盟国にも関わらず亜米利加に対して反論を繰り返していたお仏蘭西に対する「激しい不快感」を表した措置、という事になっていたが、結局のところは亜米利加議会の幼稚さに対する人々の「激しい不快感」を生んだだけ、という事である。正にその通りである。

この筆者によれば、その「こっそりと」変更したのの言い訳は色々あるだろう、という。

例えばイラク政策についての「ミッション達成」という意味、つまり、侵攻時に亜米利加が掲げた「イラクの民主化」は(名目上)達成されたから、というもの。

また、当時はお仏蘭西を侮辱するつもりの改名だったが(尤もお仏蘭西側は「我々は今大変深刻な状況について話し合っている最中なので、貴方方がイモにどんな名前を付けようが、気にしている暇なんかありません」と在米仏大使館報道官が述べたように、亜米利加が意図した程のダメージは当然ながら与えられなかったのだが)、現在のレバノン情勢においてはお仏蘭西の理解を得なければならないので、このままでは逆効果である、というもの。

またはただ単に、この下らない「改名」は「やはり下らなかった」と当局が悟ったから。

という風に我々は信じたいところではある。

しかし実際のところは、問題を起こしたロビーイストと関わりのあった当局の担当者(議会事務委員会議長)が別の人に交代させられたので、現職者は議会内部の事情のみならずカフェテリアの運営についても、前任者より幾分常識的な判断力を備えているから、というのが本当の理由ではないか。

・・・という話である。


ワタシは普段余り隅々まで新聞を読まないのだが、今日は偶々お仏蘭西関連に惹かれて、つい端っこまで読んでしまった。

何やら新鮮な感慨をもたらす記事であった。

イモの名前の消息だなんて馬鹿馬鹿しい、と思うのと同時に、結局はある国の国内政治的事情が世界の重大な局面を決定していくのか、という、既に彼方此方で言われ尽くしている亜米利加単独覇権主義的流れ、しかし意外にもそれは既に定着した感がある。

だから、亜米利加の政治家や知識人の中に、「亜米利加は特別扱いすべき国である」と本気で思っている人々が後を絶たないのだろう。そういう説が、国内政治学の教科書にも出ているくらいである。

確かに色々な意味での「力」を持っている国ではあるのだが。

そういう亜米利加人を交えて国際協調や紛争処理について話をしようにも中々話が進まないのは、さもあらん、というところである。


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