あたたかなおうち



 コンサート

同僚の先生にもらったんだといって
祐ちゃんは私にコンサートのチケットを手渡す。

華、こういうの好きだと思ったから
クラシックなんてまったく興味のない祐ちゃんの
不器用で率直な優しさが嬉しい。

少しだけ窮屈な座席に並んで腰掛け
開演時間までの間、冗談を言い合ってくつくつと笑う。
家とは少しだけ違う距離で、格好で、お化粧で
私は何もかもがわくわくしてたまらない。

ブザーが鳴り、だんだんと照明がおちていく中で
もう一度祐ちゃんの横顔をちらりと見たときに
私の胸に、夫婦になったんだという実感が押し寄せる。

2006年07月17日(月)
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