Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1最終戦ブラジルグランプリ予選
2006年10月22日(日)

 日本時間22日深夜のF1最終戦ブラジルグランプリ決勝をもってF1を引退するミハエル・シューマッハ(フェラーリ)だが、今日の予選で前戦日本グランプリに続き、またもマシントラブルに見舞われた。

 フェラーリの2台は予選前のフリーセッションで共に1分11秒台に入れる好タイムをマークし、予選でも第1ピリオドで同僚フェリペ・マッサに続きシューマッハが2番手に付け、第2ピリオドで今度はシューマッハが第1ピリオドでのマッサのレコードをさらに短縮する1分10秒313の好タイムでトップに立ち、圧倒的なスピードをみせ続けていたが、最終ピリオドでは先頭でコースに出たにもかかわらず、シューマッハが突然スローダウン。やっと1周を終えてピットに戻ったが残念ながらそのままマシンはガレージから出られず、結局タイムオーバーでノータイム10番グリッドとなった。

 一方の僚友フェリペ・マッサは、ここ母国ブラジルで嬉しいポールポジションを獲得した。マッサはこれで2戦連続、通算3回目のポールポジションとなった。2番手には最後にマクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンが飛び込み、久々のフロントロウ・スタートを決めた。3番手にはトヨタのヤルノ・トゥルーリが付け、前戦日本グランプリでタイトル争いに大手をかけたルノーのアロンソは4番手となった。
 以下5番手にホンダのバリチェロ、6番手ルノーのフィジケラ、7番手トヨタのラルフ、8番手BMWザウバーのクビサと続く。シューマッハが10番手に沈んだことで、アロンソは4番手ながら2度目のチャンピオン獲得に向け大きく優位に立った。

 明日の決勝では、仮にシューマッハが優勝しても、アロンソが1ポイントさえ獲得すれば2度目のタイトルが決まる。安心してレースを見守ることができそうだ。



↑エンピツ投票ボタン
My追加




 BMWザウバーの粋な配慮
2006年10月21日(土)

 今週末にブラジル・インテルラゴスサーキットで行われるF1第18戦ブラジルグランプリが、ミハエル・シューマッハにとってF1ラストランとなるが、シューマッハと同じドイツのメーカーチームであるBMWザウバーがそのシューマッハに敬意の意を表し、マシンのリヤウィングに『Thanks Michael』と『Danke Michael』と表記した。

 BMWザウバーのマリオ・タイセン代表はこれに対して、「F1史上、類を見ないこの最も成功したドライバーは、このレースをもって引退する。彼はこのスポーツにおいて最高のドライバーであり、またとりわけ母国ドイツにおいて人気が高いドライバーだった。われわれは彼に感謝の意を込めて、われわれのマシンのリヤウィングに『Thanks Michael』と『Danke Michael』と表記したんだ」と語った。
 またミハエル・シューマッハもBMWザウバーの粋な計らいに対し、「みんなはこれが『最後のレース』と騒ぐけれど、僕自身の気持ちはいつものレースと何ら変わりはないよ。僕を取り巻くカメラマンの数が多いのは感じるけれどね。ただ一つ、これまでのレースと違うのは、BMWザウバーのマシンの後ろに『シューマッハ、ありがとう』というメッセージが見られたことだけ。とてもうれしかったね。こちらこそ感謝しているよ」と感激していた。

 ミハエル・シューマッハがF1の歴史に大きな足跡を残し、多大な影響を与えてきたことは紛れもない事実だ。そしてそのシューマッハの引退もまた、F1の歴史において、1つの時代が終わる重要な出来事である。そのシューマッハの引退に際し、BMWザウバーのような気の利いたエールを贈ると言うことは、同国のチームとはいえライバルチームという組織の垣根を越え、同じF1を戦ってきた者同士を称え合う美しく素晴らしいスポーツマンシップを感じられ、心温まる。

 BMWザウバーのしたことは、ささやかなことではあるが、称賛に値する。



↑エンピツ投票ボタン
My追加




 ロリー・バーン、フェラーリ長期残留へ
2006年10月20日(金)

 かねてから夫人と共にタイのプーケット島で隠遁生活を送りたいと言っていたフェラーリ・チームの前チーフデザイナーであるロリー・バーンだが、さらに3年間フェラーリに残留することになったようだ。ロリー・バーンは今年2月にこれまで務めていたチーフ・デザイナーを辞し、同部門の責任者にはアルド・コスタ氏、またチーフ・デザイナーのポジションはニコラス・トムバジス氏(前マクラーレン)を充て、その後自身はデザインと開発部門でコンサルタントの役目を果たしていた。

 ロリー・バーンといえば、ミハエル・シューマッハの黄金期に必要不可欠なメンバーの1人で、シューマッハがベネトン時代の94、95年にタイトル2連覇を成し遂げたマシンを作り上げ、96年にシューマッハがフェラーリへ移籍すると、ロリー・バーンも同じくベネトンの名戦略家ロス・ブラウンと共にフェラーリへ移籍しチーフデザイナーに就任、その後2000年から2004年までのシューマッハ5連覇を実現させ、シューマッハがタイトルを獲得したすべてのマシンを手掛けた人物である。戦略家ロス・ブラウンと並び、ロリー・バーンなくしてシューマッハの7度のタイトル獲得はあり得なかったと言っても過言ではない。

 ミハエル・シューマッハが今シーズンをもってF1を引退するのに伴い、ロス・ブラウンはチームを離脱すると言われているが、ロリー・バーンは引き続きフェラーリに残り、今後さらに3年間、今シーズン同様フェラーリのマシン開発に携わることとなった。フェラーリのマシンは今や他のライバルチームを一切寄せ付けないほどの信頼性と安定した速さを持っており、今シーズンはシューマッハのチームメイトであるフェリペ・マッサも勝利を挙げていることから、シューマッハがおらずとも勝てるマシンであることは疑いのない事実だ。一部ではシューマッハがいたからこそフェラーリはタイトルを獲得できたと勘違いしている者もいるようだが、FIAによる恩恵もあり、明らかに今のフェラーリのマシンは、誰が乗っても勝てるほど最強であると言える。

 来シーズンのフェラーリは、フェリペ・マッサが残留し、マクラーレンからキミ・ライコネンが移籍することが決まっているが、ロリー・バーン残留によって、マシンの強さが今後も維持されるのは確実だ。そうなれば、来シーズンはキミ・ライコネン、もしくはフェリペ・マッサがタイトル争いを繰り広げる可能性が高いだろう。いずれにせよライコネンにとっては、これまで速かったにもかかわらずメルセデスエンジンのもろさが足かせとなってチャンピオンになれなかったが、来シーズンは初タイトルを狙う大きなチャンスであると言えるだろう。また、マッサもライコネンより1年早くフェラーリに加入しており、ライコネンに対してアドバンテージを持っている。フェラーリがマッサとライコネンのどちらに肩入れするかが見物である。

 ただ、シューマッハ時代のような、シーズン序盤からのチームオーダーは勘弁してもらいたいものだ。



↑エンピツ投票ボタン
My追加




 藤山直美 〜49才のヒロイン〜
2006年10月12日(木)

 毎週月曜〜金曜の朝8時15分〜8時30分に放送している「NHK連続テレビ小説」(通称“朝ドラ”)は、1961年の第一作「娘と私」からスタートし、先月末に最終回を迎えた「純情きらり」まで実に74作の連続ドラマを放送しているシリーズである。このシリーズはそのほとんどが女性を主人公としており、「逆境に負けずに逞しく生きていく女性」を描くドラマが主流だ。新人女優の登竜門としても知られ、ヒロインを演じるのは無名の女優が多い。大半の女優は多かれ少なかれ、子役や劇団、映画やドラマなどを通じて演技の経験を持っており、全くの演技初心者としてオーディションを勝ち抜いたのは数少ないが、過去に主演した女優の多くは、程度の差はあれ知名度が上がり活躍の場を広げている。

 ところが、今月2日から始まったNHK連続テレビ小説の新番組「芋たこなんきん」は、何とベテラン女優の藤山直美(49)がヒロインを務めるという異色の作品である。この作品は大阪・天満の商店街を舞台とした、作家田辺聖子の自伝的ドラマであるが、その田辺聖子をモデルとした主人公花岡町子役を、藤山直美が演じているのだ。史上最年長の朝ドラヒロインである。
 藤山直美は松竹新喜劇で活躍した喜劇俳優・藤山寛美の娘で、舞台を中心に活躍する女優であるが、1992年に放送された連続テレビ小説「おんなは度胸」での名脇役ぶりで全国区になり、ドラマ新銀河で放送された「この指止まれ!!」シリーズでも主演。また2000年公開の映画「顔」では主人公を演じ、その演技が評価され毎日映画コンクールをはじめとする映画賞を数多く受賞した。

 前述のように歴代NHK連続テレビ小説のほとんどのヒロインはこれまで若手新人女優が演じ、その若々しい演技が魅力の1つであったが、やはり大ベテラン藤山直美の演技はさすがに上手い!何が上手いかと言えば、何と言ってもその演技とは思えない、非常に自然で日常生活で普通に目にすることのできるような、細かな仕草や言い回しである。それはとても活き活きとしており、テレビドラマではなく、現実の光景を映しているかのように、非常にリアルなのだ。このような演技ができるのも、何万回と舞台やドラマ、映画などで場数を踏んできた賜だろう。これまでの若手新人女優では絶対にできないものだ。いや、若手女優でなくても、そこそこキャリアを重ねている人気女優はおろか、ベテランの域に達している女優でも、なかなか藤山直美ほどの演技はできるものではないだろう。それほど藤山直美の演技は秀逸であり、見るものを惹きつける魅力がある。藤山直美には実に44年という女優としてのキャリアもあるが、彼女自身が持つ天性の才能が、あの素晴らしい演技を生み出しているに違いない。

 藤山直美が演じる素朴で大らかな大阪のおばちゃん役、必見である。



↑エンピツ投票ボタン
My追加




 「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」
2006年10月10日(火)

 ハリウッドのカーアクション映画「ワイルド・スピード」の3作目、「TOKYO DRIFT」を映画館で観てきた。このシリーズはアメリカの映画なのに日本車が数多く登場し、その迫力あるカーアクションが魅力のシリーズで、その迫力を余すところなく味わうため、3作とも映画館で観た。

 過去2作についてのレビューはVoiceでも書いたが、今作のレビューを書く前に、もう一度簡単におさらいしておこう。1作目の「ワイルド・スピード」はヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカーのダブル主演で、役柄的にはポール・ウォーカーの方が主人公なのだが、クレジットではヴィン・ディーゼルが先に来ている。ヴィン・ディーゼルはこの映画でブレイクしたと言っても過言ではないだろう。
 この映画は全米で思わぬ大ヒットを記録し、映画を真似た若者たちによる交通事故が頻発、社会問題にまで発展した。極限までチューンアップされたスポーツカーによる究極のハイ・スピード・バトルをCGを駆使してエキサイティングに描き、バイオレンスの要素が強く、非常にインパクトがあり、カーアクション映画としては非常に秀逸なものであると言えるだろう。

 ところが、2作目の「ワイルド・スピードX2」では、役者として出世したヴィン・ディーゼルが抜け、ポール・ウォーカーが晴れて単独での主演となったが、前作同様のカーアクションはあるものの、それは前作に見られた若者たちの“サブカルチャー”としての危険な公道レースというバイタリティとデンジャラスさからはかけ離れた、国際的なマネー・ロンダリング組織の運び屋という、ハリウッド映画にありがちな、非常に大味なものになってしまった。前作の若者たちの“リアルな世界”から、いかにもフィクションな“映画の中の世界”に落ちてしまったのだ。一言で言えば、前作に見られた「ヤバさ」が全く失われてしまったのだ。ちなみに題名の「X2」には“2作目”という意味の他に、今作では主人公と行動を共にするパートナーがいるので“コンビ”という意味もあるのだが、内容的には2倍どころか2分の1の迫力しかなかったような気がする。

 そして今回の「ワイルド・スピードX3」である。サブタイトルが「TOKYO DRIFT」となっている通り、何と舞台は日本・東京。今回は前2作で主役を務めたポール・ウォーカーもいなくなり、ルーカス・ブラックという新人が主役を務めた。さらに日本からも北川景子、妻夫木聡、柴田理恵、KONISHIKI、中川翔子などがカメオ出演しており、さらに日本が誇るドリフトキング、土屋圭一がスペシャルアドバイザーとして参加しており、劇中でも先に述べた日本人俳優を上回る登場時間があり、セリフまであるのが興味深い。そして敵役のボスはあのソニー千葉こと千葉真一が演じている。

 ストーリーをざっとご紹介しよう。カリフォルニアの高校生ショーンは車好きが高じてたびたび警察の厄介になっている問題児。ある日、ついに大きな事故を起こしてしまい、少年院行きが確実となる。それを逃れるため、ショーンは軍人の父を頼って日本へとやって来る。日本での高校生活に馴染めずにいたショーンは、留学生のトウィンキーに声をかけられ、深夜の立体パーキングで行なわれるアンダーグランドのカー・レースに誘われる。そこでショーンは、ドリフトキングのD.K.にいきなり勝負を挑まれ、完敗してしまう。しかしこれをきっかけに、ドリフト・レースという未体験の世界にハマっていくショーンだったが……というもの。

 はっきり言ってこの映画には、「それはないだろう!」というようなツッコミどころが数多く存在する。まずはほとんど日本語がわからないアメリカ人のショーンがいきなり日本の高校に編入でき、都合良くクラスメートに同じアメリカ人の美人ヒロインがいて、さらにニューヨークでしかお目にかかれないようなバリバリの黒人ヒップホップ小僧も同じ高校に通っていて、この3人がすぐに意気投合してしまうという点だ。このあたりは、舞台は東京でありながら、やはりハリウッド映画だからメインキャストがアメリカ人なので、そのアメリカ人が日本で生活するという設定を強引に押し通した結果なのだろう。今回の舞台が日本なのは、海外における全日本プロドリフト選手権(D1グランプリ)の人気も相まって、ドリフト発祥の地である日本にしたかったこと、また前2作の興行成績がアメリカより日本で好調だったことも要因の一つであるが、ここまで無理な設定にしなくてはならないのなら、何も舞台を日本にしなくても良かったのではないかと思わずにはいられない。

 次に目についたのは、日本側のメインキャストである。当然舞台は日本と言うことになっているので、日本側のいわゆる敵役は日本人ということになるのだが、そのメインキャストはアジア人。先に述べたように、日本人の俳優は敵役のボス・千葉真一を除きすべてカメオ出演しかしていない。日本人ではないアジア人が日本人の役をしているので、日本人なのに日本語の発音がおかしく、顔は典型的なアジア顔である。

 そして韓国人俳優サン・カンが演じる、主人公の理解者となる日本人レーサーの役名が「ハン」である。ハンて……どう見ても韓国でしょう。それとも、名字が「半田さん」とか名前が「半蔵くん」とかで「ハン」と呼ばれているのだろうか……。いずれにしても、日本人の登場人物があからさまにアジアだったのが笑えた。

 しかし、だ。やはり渋谷をはじめ首都高、そして峠を舞台にチューニングカーが多数疾走し、立体駐車場での接触ギリギリのドリフトや派手なアクション、日本独特の雰囲気に拘ったシーンの数々は見物だ。日本では公道を封鎖して撮影することは認められておらず、特に渋谷での派手なクラッシュ・爆破シーンを撮影する許可が下りるはずがなく、そのためロサンゼルスの街を封鎖し、そこに看板や道路標識を設置し、それにあらかじめ撮影した渋谷のビル群の映像を合成し、あたかも本当に渋谷で撮影したかのような迫力のカーチェイスシーンを実現している。

 ストーリー的にはあまりにも強引で無理がある点が多いが、カーアクションに関しては前2作を遙かに上回る迫力があり、しかもそのカーアクション自体はCGを一切使わずカースタントで撮影しており、カーアクション映画としては最高傑作と呼べる作品だと思う。内容も第1作を凌ぐバイオレンスなもので、若者たちの危険なサブカルチャーの世界がより奥深くまで描かれているのが魅力だ。そして、クルマ好きとしては、クルマがたくさん出てきて、カーアクションがリアルで迫力があれば、細かいストーリーや設定上の矛盾点など気にしないのである。それほどこの映画はクルマ好きとしては秀作だと思う。



↑エンピツ投票ボタン
My追加




 正義は存在した(F1日本グランプリ決勝)
2006年10月08日(日)

 題名は、ルノーチーム監督フラビオ・ブリアトーレの言葉である。まさにそうとしか言わざるを得ない“奇跡”が起こった。まるでそこにはF1を司る「神」が存在するかのような出来事だった。

 20回目の開催をもっていったん幕を下ろす鈴鹿での日本グランプリは、今シーズンを沸かせたフェルナンド・アロンソ(ルノー)、ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)の新旧王者による同ポイントでのタイトル決定戦と、その歴史に相応しいレースとなった。その運命の決勝スタートで好スタートを切ったのは5番グリッドのアロンソ。フェラーリとの間に入るトヨタの2台の背後にぴたりとつけると、1コーナーから2コーナーにかけてヤルノ・トゥルーリのイン側に並び、その出口で4位に浮上する。一方3周目の1コーナーではミハエル・シューマッハがチームメイトのフェリペ・マッサを交わしトップに浮上。この周にはファステストラップも記録し、2位以下とのタイム差を広げていく。4位アロンソは3位のラルフ・シューマッハとの差を徐々に詰めると、13周目の1コーナーの飛び込みでラルフをオーバーテイクし3位に浮上。その後レースは中盤に向けてミハエル・シューマッハがトップ、その約5秒後方にアロンソが続き、新旧王者がマッチレースを展開した。

 そして奇跡は、上位陣の2回目のピットストップ後に起こった。35周終了時に2位アロンソ、その翌周にトップのシューマッハが2回目のピットストップを行ない、それぞれ終盤に向けての優勝争いに備えるが、シューマッハはコースに復帰した周のデグナーカーブで何とマシン後部から激しい白煙を上げスローダウンし、デグナーカーブを越えたところでコース脇にマシンを止めてしまったのだ。これでトップに立ったアロンソは2位のマッサに16秒以上の差をつけてトップチェッカーを受け、シューマッハとのポイント差を10に広げ、自身2回目のドライバーズタイトル獲得に王手をかけた。

 これで最終戦ブラジルグランプリでわずか1ポイントでもアロンソが獲得すれば、それでシューマッハの順位如何にかかわらずタイトルはアロンソのものとなる。シューマッハは優勝しても、アロンソがノーポイントに終わらない限りチャンピオンを獲得することはできない。また、またルノーとフェラーリとの間で戦われているコンストラクターズタイトルも、今回マッサの2位に対してルノーが1・3位を占めたことにより9ポイントの差。順当であればこちらもルノーの優位は揺るがない状況となった。

 1998年以降、圧倒的な信頼性を誇ってきたフェラーリエンジンのトラブルによるミハエル・シューマッハのリタイヤは、実に2000年のフランスグランプリ以来6年ぶりのことだ。その考えられないようなミハエル・シューマッハのエンジントラブルが、この最も重要な自身最後のシーズン、しかもタイトル争いを大きく左右する日本グランプリの決勝で起こったのだ。これを奇跡と言わずして何と言おう。
 今シーズンのイタリアグランプリでは、昨シーズンから圧倒的な信頼性を誇っていたライバルのルノー、フェルナンド・アロンソにも同様のエンジントラブルが起こった。しかしそれは、前日の予選でフェラーリの八百長行為によりスターティンググリッドを後方に押しやられたアロンソが驚異的な追い上げを見せたことでエンジンに負担がかかったもので、今回のシューマッハのケースとは異質のものだ。イタリアグランプリでフェルナンド・アロンソが理不尽に失った10ポイントが、今回のシューマッハの奇跡的なリタイヤによって戻ってきた。まさに神の息吹が、シューマッハにいたずらしたのだ。

 もしシューマッハが今回そのままリタイヤすることなく優勝していたら、シューマッハが8度目のタイトルを獲得して引退する可能性は非常に高かっただろう。しかし、モナコでの予選の一件やイタリアでの一件などのアンフェアな行為によってシューマッハがタイトルを獲得していたら、F1はもはやスポーツではなくなってしまうのだ。今シーズン、シューマッハがこのまま8度目のタイトルを獲得するということは、これからのF1にとって絶対にあってはならないことなのである。すでにイタリアグランプリで引退を表明しているシューマッハに、もはや8度目のタイトルを獲得するチャンスはない。

 正義は、最後の最後に訪れたのだ。



↑エンピツ投票ボタン
My追加




 F1第17戦日本グランプリ予選
2006年10月07日(土)

 2007年F1第17戦日本グランプリ、20年に渡る鈴鹿での日本グランプリの歴史にひとまずピリオドを打つ記念すべきグランプリの予選でポールポジションを獲得したのは、フェラーリのフェリペ・マッサ。マッサがポールポジションを獲得したのは、彼が初優勝を果たした今シーズンのトルコグランプリに続き2度目。そして現時点でルノーのフェルナンド・アロンソとポイントで並び、優勝回数の差でチャンピオンシップ首位に立っているミハエル・シューマッハも僅差で2番手に就き、フェラーリがフロントローを独占する結果となった。

 そして2列目は日本勢のトヨタのトゥルーリとラルフが獲得。ここ日本で上位4台ブリヂストンタイヤ・ユーザーが独占した。その後ろ3列目はルノーのフェルナンド・アロンソとジャンカルロ・フィジケラ。4列目にホンダのジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロと続き、入賞圏内のグリッドは綺麗にフェラーリ、トヨタ、ルノー、ホンダで並んだ。優勝を狙うアロンソにとっては、トヨタの2台が前にいるというのは脅威になりそうだ。

 フェラーリは昨日のフリー走行から好調さを見せていた。特にシューマッハは今日の午前中のフリー走行セッション最後に、昨年優勝したキミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)の持つコースレコード1分31秒540をただ一人凌駕する走りを見せた。昨年までのV10・3リッターエンジンでマークされたコースレコードを、今シーズンからのV8・2.8リッターエンジンのマシンで更新するというのは驚異的なことであることは言うまでもない。シューマッハが記録したタイムは、セッション終盤までタイムシートのトップにあった弟ラルフの1分31秒863を実に1.210秒も短縮するものだ。それほどフェラーリはこの2日間、絶好調であるということだ。

 ポールポジションを獲得したのはマッサの方だったが、チームメイトのすぐ後ろ2番手のポジションを得たランキングトップのシューマッハに、これまでのところ死角は存在しない。明日の決勝でシューマッハが優勝すれば、仮にアロンソが2位フィニッシュしてもシューマッハが2ポイントリードして最終戦ブラジルグランプリに臨むこととなり、タイトル争いではシューマッハが非常に有利であると言えるだろう。

 明日の決勝で、タイトルの行方は大きく変化することになるだろう。



↑エンピツ投票ボタン
My追加




 安倍新内閣発足
2006年10月04日(水)

 自民党の安倍晋三総裁が先月26日午後、衆院本会議の首相指名選挙で、第90代、57人目の首相に選出された。初の戦後生まれで、戦後最年少の52才。同日夜に自民、公明両党連立の安倍内閣を発足させる。

 安倍内閣は、財政再建や社会保障財源としての消費税率引き上げ、中韓両国との関係改善などが大きな課題。この日召集された臨時国会では、インド洋で米軍艦船などに給油支援するためのテロ対策特別措置法延長の改正案や教育基本法改正案の成立を最優先に取り組む。10月には衆院神奈川16区と大阪9区の補選、11月に沖縄県知事選と選挙が続き、来年4月に統一地方選、来夏には与党過半数維持をかけた参院選を控えている。民主党は対決姿勢を強めていくのは確実で、国会攻防も激しくなりそうだ。
 安倍氏は参院本会議でも首相に選出。直ちに首相官邸で組閣作業に着手、同日夜に皇居で首相の任命式、閣僚の認証式が行われる運びだ。これに先立ち、小泉内閣は26日午前の臨時閣議で総辞職、5年5ヶ月の政権に幕を閉じた。

 共同通信社が先月26日夜から27日にかけて実施した全国緊急電話世論調査で、安倍内閣の支持率は65・0%となり、発足直後としては宮沢内閣以降で小泉内閣、細川内閣に次ぐ3番目の高さとなった。支持理由は「ほかに適当な人がいない」が22・6%で最も多く、次いで「首相を信頼する」が21・9%だった。不支持率は16・2%。安倍晋三首相が靖国神社を参拝すべきかどうかについては「すべきではない」が51・3%と半数を超え「すべきだ」の33・0%を上回った。安倍内閣が取り組むべき最優先課題では(1)年金などの社会保障37・9%(2)景気対策17・5%(3)財政再建11・6%の順となった。26日に発足した安倍内閣の顔触れの印象は「代わり映えしない」が23・3%で最も多く、次いで「派閥順送りで改革のイメージがない」が16・6%。肯定的な評価では「改革にむけた意気込みを感じる」が15・5%、「重厚で安定感がある」が11・0%となった。

 世論調査の結果は、非常に実直だと思う。僕自身の安倍内閣の印象も「ほかに適当な人がいない」だからだ。さらに付け加えさせてもらうと、安倍内閣は「頼りなさそう」である。前者の印象については、小泉前総理が安倍氏を“ポスト小泉”として育て上げ、小泉前総理が首相任期中に推進してきた構造改革の継続を安倍氏に託し引き継いでいったことから当然といえる。
 しかし後者の印象については、安倍新総理のイメージが、あまりにも真面目で温厚すぎる人柄であること、そして小泉前内閣からの継続政策以外の、安倍新総理独自の具体的な思想や理念が見えてこないことから来ている。

 まず人柄から言えば、はっきり言って安倍新総理には歴代総理たちのような個性やクセといったものが感じられない。言い換えれば“一国の首相”としての貫禄やインパクトが欠けているのだ。総理大臣を務めるのに貫禄やインパクトは必要ないのかもしれないが、僕個人的には、やはり国会で野党との攻防に動じないような打たれ強さや、外交に於いても各国の首脳たちと顔を揃えても迫力負けしないだけのインパクトが欲しいところだ。これまでの安倍新総理の言動を見ていると、どうも他の議員や記者団たちに対して萎縮ともとれる印象を感じてならない。一国の首相として、説得力のある自信に満ちた迫力が必要だ。

 そして問題なのが、安倍新総理独自の路線が見えてこないことだ。もちろん小泉前内閣からの継続政策を担っているわけだから、長期的な政策を実現させるためにも、前内閣と同様の思想や理念は必要だ。しかし、ただそれだけでは進歩や発展はないわけで、前内閣の路線を継承しつつも、新たな安倍ビジョンをもう少し具体的かつわかりやすく打ち出してもらいたいものだ。

 僕が持っている安倍新内閣に対するマイナスイメージが、今後どのように変わっていくかが見物である。



↑エンピツ投票ボタン
My追加




 F1にも韓流ブーム到来か
2006年10月03日(火)

 日本ではここ近年韓流ブームが続いているが、韓国ではかつてマカオグランプリとセットで国際F3レースが行われたことがあり、来月15日にはチャンプカーレースがアンサン・サーキットで初めて開催される予定だ。またレースタイヤでは『クムホ』がすでにF3ユーロシリーズなどのオフィシャル・サプライヤーに指定されていて、かねてからF1進出を模索しているのは周知の事実だ。

 その韓国で2010年からF1韓国グランプリが開催されることが、今日正式発表された。契約期間は2016年までの7年間で、さらに5年のオブションを含むという長期のもの。場所は韓国の全羅南道で、このため同地は2009年末までに総額約2億6千万ドル(約310億円)を掛けて新サーキット『韓国国際サーキット』(仮称)を完成させる工事に取り掛かる。これについてフォーミュラ・ワン・マネージメント代表のバーニー・エクレストンは、「F1グランプリの定着にはハードだけでなく韓国人ドライバーやチームの参戦が不可欠」と語り、今後韓国人F1ドライバーの育成に援助を惜しまない姿勢を明らかにした。

 韓国グランプリが開催されることのデメリットは今のところ見あたらない。逆に考えられるメリットは非常に多い。これまでグランプリ開催国が主にヨーロッパ圏内と、世界選手権と言いつつもヨーロッパ色が非常に強かったF1が、近年はマレーシア、中国、バーレーン、トルコといった非ヨーロッパ圏での開催が増えていく中で、さらにアジア圏に新たな開催国が加わることで、主催者側としても新たなファンとマーケティング市場の開拓が期待できる上、より多くの国々にF1の知名度を広げることができる。これは現在F1に参加しているスポンサーや自動車メーカーにとっても同じことが言える。

 チームやドライバーにとっても、新たなスポンサー獲得が期待できる。さらに今後アジアでのF1人気が加速すれば、アジア人ドライバーがF1に進出することになるだろう。そしてスーパーアグリのようなアジア資本のF1チームが増えていけば、これまでヨーロッパ資本のF1チームの中で実力以外の理由で候補から外され、短期間でF1断念を余儀なくされてきたアジア人ドライバーに対してもバックアップが確立され、よりアジア人F1ドライバーが活躍できるようになるだろう。

 F1が脱ヨーロッパ色を加速させ、ジャパンバッシングのような差別がなくなることを期待したい。



↑エンピツ投票ボタン
My追加




 マージン・ゼロ(F1第16戦中国グランプリ決勝)
2006年10月01日(日)

 ついにフェルナンド・アロンソ(ルノー)とミハエル・シューマッハ(フェラーリ)のポイントが並んだ。イタリアグランプリ前には実に12ポイントもの差を広げていたアロンソだったが、イタリアグランプリでフェラーリの不正が原因でアロンソはエンジンブローでリタイヤ、シューマッハが優勝をさらって一気に10ポイント差を縮め、そして今回の中国グランプリでシューマッハ優勝、アロンソ2位となり、ポイントは共に116ポイントとなった。ただし、優勝回数でシューマッハが上回ったため、現時点でチャンピオンシップはシューマッハがアロンソを逆転したことになる。

 レースでは、やはりミハエル・シューマッハのフェラーリが速かった。6番手スタートだったシューマッハは得意のウェットコンディションでのレースで、ブリヂストンタイヤの恩恵を受けてファステストラップを連発し、前をゆくホンダ勢をかわし、ライコネンのリタイヤにも助けられ、レース序盤で早くもルノー2台の後ろ3位に順位を上げた。
 一方、ポールポジションからスタートしたフェルナンド・アロンソはレース序盤にペースが上がらず、30周目にはチームメイトのフィジケラ、そして翌周にはシューマッハにかわされてしまう。

 レース中盤以降は雨も上がり路面も乾き始め、ドライタイヤへ履き替えるドライバーが増える中、3位アロンソが35周目に上位陣では一番先にドライタイヤへスイッチする。右リアタイヤの交換に手間取り6位まで順位を落としたアロンソだったが、スタンダードウェットタイヤを履いているラップリーダーのフィジケラ、2位シューマッハを上回るペースで追い上げを見せる。
 40周目にシューマッハがピットに戻り、ドライタイヤに替える。フィジケラもその翌周にドライタイヤを装着し、トップでコースに復帰するが、フィジケラが1コーナーでラインを膨らませ、シューマッハはそのイン側からオーバーテイクしてついにトップに立った。
 3位アロンソはファステストラップを連発し、前方との差を詰めていく。2位フィジケラと15秒以上あった差はあっという間に縮まり、48周目のバックストレートでフィジケラを交わす。雨が降り始めたレース終盤、アロンソは勝利を諦めない追い上げを見せたが、シューマッハにあと3秒届かなかった。

 今日のレースは、ルノーの不甲斐なさが目についたレースだった。もちろんシューマッハとフェラーリのブリヂストンタイヤがルノーのミシュランタイヤよりも有利な状況だったこともあるが、ウェットコンディションでルノーの2台は、後方から追い上げるシューマッハに対して為す術がないという有様だった。これはシューマッハのウェットレースでの速さを褒めるべきだろう。
 ただ、ルノーはアロンソのピットインの際にタイヤ交換に手間取ってタイムロスし、さらにフィジケラはピットアウト後にミスをしてシューマッハのオーバーテイクを許し、結果的にタイトル争いを演じるアロンソに対して何らサポートできなかったばかりか足を引っ張る形となり、終わってみればシューマッハが今シーズン初めてタイトル争いでトップに立つこととなった。

 残りは日本とブラジルの2戦。追いつかれたものは仕方がない。何とかあと2戦でアロンソにはミスのない完璧な走りをしてもらい、シューマッハの勝ち逃げ引退だけは阻止してもらいたいものだ。



↑エンピツ投票ボタン
My追加


≪過去 未来≫ 初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加