夕暮れ時の散歩がてらに行って参りました。映画というものは元々カップル含有量が高いものですが、群を抜いてそれ系のお客が多かったです。カップル客と女性二人客を除いたら、女性一人の客が少し残るぐらいだったのではないでしょうか……。 男性って、意外と行動の自由がない一族ですね。二人で映画にも行けない。店によってはショッピングもきつい。花火大会なんて行ったら、メーザー砲みたいな哀れみの光線が突き刺さること必定です。
置いといて。一応ネタバレ避け地を作ります。
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とにかくとにかく、オープニングと舞台美術が最高の映画です。逆に言うと、オープニングと舞台美術に1800円払っていいという人以外は二時間がきついだろうと思います。(けっこう周りで伸びをしている人がいたぞ) 内容としては、オペラとミュージカルの伝統を忠実に継承しているので、歌う歌う歌う。歌って歌ってまた歌う。ちょろっとセリフ。また歌う。歌う歌う。歌っていると、映画が終わっています。このノリについていけない人は途中でトイレや煙草に場所を移すことになると思いますが、私はそれなりに楽しんで見られました。
私事ながら……断っても書きにくいな、前好きだった人を思い出す場面が多かったもので。
呼び物のオープニング。競売者の掛け声とともに、シャンデリアが復活します。埃が吹っ飛び、舞台は一気に十九世紀に。劇場の音響システムをフル活用して、あのテーマが流れます。
ああ、そうそう。この感じだよ。好きだったなあ。
主人公クリスティーン(自分はこっちの言い方の方が好き)のライバル役、カルロッタが眉毛から上真っ金金に染めて、ガラスとか吹っ飛ぶんじゃないのという声で歌っています。(後ろになんかでぶとか犬とかいます)
なつかしい。どうも年を取ると感傷的になっていけないな。
ストーリーも押し詰まり、怪人からこれ見よがしな髑髏の封蝋がついた手紙が送られてきます。みんなてんやわんやです。
あのときもう少し思いやってあげられたらなあ。それともお互いの関係性をどっちか一方の努力で何とかできると思うのが間違いだったんだろうか。
再びカルロッタ(どうでもいいけど何だか年のいった女優さんです。一歩間違えると豪華なオカマさんだ)が歌いながら花道を通っていきます。見送りに、何故かケツを出している男が一人交じっています。
ああ、あんな感じのこともあった。楽しかったなあ。
そしてクライマックスの、舞台上でのクリスティーンとファントムのシーン。ついにクリスティーンはファントムの仮面をはがしてしまいます。すさまじい悲鳴。落ちるシャンデリア。ガラス窓を破って噴き出す炎。
ああ、何かちょっと涙出てきた。過ぎ去りし日々は既に遠い。
まとめていうと、これは大変正統的で、そして誠実なミュージカル映画でした。どうも、ミュージカルのほうを熟知している人にはこたえられないくらい、忠実に原曲を取り入れているらしいです。是非、ファントムの魂を感じるためにも、劇場の暗がりの中へ鑑賞しに行ってみてください。
追記:ところで、私は一体誰の何に惚れとったのでしょうか。我ながら中々合点がいきません。
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