baby poem
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2005年03月23日(水) 雪椿

パチンコで
それをねらう
ビー玉の
X軸方向を

絵の具の赤い
なみ線が
はねてゆく
周波数を

ゆるませて
仰いだ
くもり空の
Y軸方向へ

しめりけ
ぽとぽとと
ふりつもる
水平線で

氷を
半回転させる
光線に
息をつめて

カメラを
構える
Z軸方向の
雪椿


2005年03月21日(月) 冬の真昼のうすい光

冬の真昼のうすい光
街角で
頭の中は、真っ白です

僕は真っ白の中に
音を失って
真っ白の中に
黒い点が見えます

黒い点は、しだいに広がっていきます
黒い点が、広がって
黒い点に、吸い込まれた



犬が吠えているのが聞えます
砂利道を歩く音が聞えます
真っ黒の中で、僕は
木々の気配に押し出されるように
あわてて歩いているのです

僕は、うすぼんやりと浮かんでいる
白い坂を見つけます
よかった
急な勾配を、白い地面をたよりに
急ぎ足でのぼっていきます
この坂の上には
黒澤さんの家があるのです


 あの家で、僕は、黒澤さんと、たくさんの話をしました
 ほとんどは、黒澤さんのとまらない話を聞いているばか
 りでしたが、調子にのったような、黒澤さんの昔話を聞
 くことは、あのころの僕にとって、たぶん、必要なこと
 でした
 つまりは、歴史を、ひとつ。

 それから、あの家の、しんしんと冷える夜に、僕は、父
 の夢を見ました 夢の中で、父は、ふたごで、それぞれ
 の物語を、当たり前のように、くりかえします
 それで、歴史を、またふたつ。

 こうして僕は、歳をかさねて、街へ降りてきた
 はずなのに


真っ黒の中
ようやく、黒澤さんの家が見えてきた
よかった
湿った草地を
はしりよる
夜露
土のにおい
かびのにおい
玄関のドア
開けて

黒から白
白い 光 光 光
白い白い  光

 ・
    ・

冬の真昼のうすい光
街角で、僕は
透明な光と透明な闇が
人々の顔にかさなって
明滅していることに
気づきます
僕は不透明な灰色を
ぺろっ、とはきだします ・・


2005年03月13日(日) 夕暮れ時に隣町へ行く

夕暮れ時に隣町へ行く
車の列に水銀灯が瞬きをする

鉄塔 赤い点滅
まばらに、高層マンション

薄紫と水色
波のかたちの曇り空
オレンジジュースを薄めていく
地上に近いあたり

こうして夕暮れ時に車にのっていると
風景の大部分が
空に飲み込まれていくのと同じように

目的も、手段も
移動に満たされていく
仕事も、趣味も
また然り
移動に飲み込まれていく

水銀灯の丸い光

子供のころは
未来は、こんなふうに
ツルツル丸くてテカテカに光っていた
今、こうして夕暮れ時に車にのっていると
やはり未来は、ツルツルで、光っていて
胸の奥が
不思議にからっぽだ

そして
ヘッドライトの先端が
優勢になるころには
三月の、夕暮れ時の気持ちは
だんだんぼやけて
とらえどころがなくなって
車は隣町に到着する


2005年03月07日(月) えくすちぇんじ鍋

あー

今日は つかれた
すげー つかれた
つかれたよ

って帰宅して
しめって、おもい
からだのかたちのまんまの上着といっしょに
べっとりと、おつかれさま を脱ぎ捨てて
えくすちぇんじ鍋に ほうり込む

冷凍ブルーベリーと
いちご
それからそれらの半量くらい
上白糖をがさがさ入れて
一時間
黒い水が出てきたら
煮込みます
灰汁をこまめにとるのがポイントです
とろみが出てきて
菜箸で
それを引き上げて乾かすと
赤と紫にいろどられた
カートゥーンな感じの、おつかれさま に
なってる
すなわち 段ボール製

翌朝 そいつを背負って自転車通勤

風で
ばふばふ言う


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