ひとりごと
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六本木で 2003年11月30日(日)

今年最後の万華鏡教室では、
クリスマスらしい夢のある万華鏡を作った。
手回しのオルゴールを動かすと、
小さなオーナメントの乗ったメリーゴーラウンドが回転する。
その中心が万華鏡になっていて、屋根のてっぺんから覗くと
「星に願いを」の音色に合わせて、ガラス細工の映像が変わっていく。
小さい宝物がまたひとつ増えた。
壊れないように、ビニールでくるんでそっと紙袋に入れ
仲間たちにさよならを言って、賑わう六本木の街に出た。

夕方からは、夫と待ち合わせをしていた。
どこに行くかは決めていなかったけれど
思いついて、まだ見ていなかった六本木ヒルズに行くことにした。
ただでさえ華やかでおしゃれな街が、クリスマスが近づいて
いっそうロマンチックなムードに包まれていた。
ショーウィンドウも、街路樹も、大きなクリスマスツリーも
人々の顔も、きらきら輝いて見えた。
青白い星をまとったように光る並木道の向こうに
赤くぼんやりと光る東京タワーが暖かかった。
人工的な東京の風景も、夜には、この季節には、とても美しい。
眺めていると、何か懐かしい気持ちを思い出すようだった。


ピーちゃんとべべとジュジュ 2003年11月29日(土)

べべと一緒にピーちゃん(仮称)をかごの外に出して遊ばせた。
高い幼い声で鳴きながら部屋の中を飛び回る。
べべの後をついて、カーテンレールからカーテンレールへ。
照明のチェーンからかごの上へ。
少し危なっかしげに、それでも楽しそうに部屋を探検していた。

おなかのすいたべべが、先に自分のかごに戻った。
餌をついばみ、止まり木で一息ついて、もうかごからは出なかった。
ピーちゃんはまだカーテンレールの上。
放たれて、また小さなかごに帰るのが惜しいのか、
しばらくひとりで遊んでいた。

やがてピーちゃんも自分からかごに入っていった。
あ。でもそれはべべのかごよ!
ピーちゃんのかごは隣よ。
よりによって、怒りっぽくて気の強いべべのかごに入らなくても。
さらにぴーちゃんは、べべのかごの餌を食べ始めたのだ。
大変!
きっと叱られる…。

ただでさえ食いしん坊のべべ。
ほかの鳥のかごに入って、ちゃっかり餌を食べたりするのだ。
そのかごの鳥が近づくと「何よ!ちょっと食べさせてよ!」と
開き直って怒ったりするほどなのだ。
それが、自分の餌を食べられたりしたら、どんなに怒ることか。

どうなるかと、ドキドキして見守った。
自分のかごに入ってきて、餌を食べ始めたピーちゃんを見て
べべは止まり木から降りてきて、たしなめるように「チチチ」と言った。
でもピーちゃんはかわいく首をかしげただけで、また餌をつつき始めたのだ。
さあ、叱られるぞ!と思っていたら、べべは黙って止まり木に戻ったのだった。
そして「しかたないわね」と言った感じで、優しくピーちゃんを見守っているのだった。
ピーちゃんは無邪気に一生懸命、べべの餌を食べている。
べべはそれをおだやかに見守っている。
心がほんわり暖かくなるような優しい風景。

べべは、ピーちゃんがまだ子どもだとわかって寛大なのだ。
慕ってくれるピーちゃんをかわいいと思っているのかもしれない。
べべにこんな一面があったなんて。
べべちゃん、やるじゃない!と見直してしまった。

そしてジュジュはと言うと…。
いくら子どもでも男同士、自分が先住者。
ピーちゃんには厳しいのだ!
好奇心いっぱいに、かご越しに近づいてきたピーちゃんの足を
思いっきり噛んだりしている。
ピーちゃんは悲しげな声で「ピー」と鳴く。
「ほらほら、ピーちゃん、痛かったら逃げればいいのに。
 ジュジュちゃん、あなたも大人げないよ。」
私はあわてて2羽を引き離す。

ピーちゃんがうちに来てもう2週間。
まだ飼い主さんは見つからない。
そして少しずつうちのインコたちとの関係もできあがってきた。
このままうちの子になるのかな。


万華鏡といっこく堂 2003年11月27日(木)

友だちと一緒に青山で開かれている万華鏡の展覧会に行った。
山見浩司さん、まさしく日本の万華鏡作家の第一人者だと思う。
ステンドグラスと繊細なはんだで作られた外見も
もちろん美しいのだけれど、それを覗いてみたら!
まるで宇宙空間を遊泳しているよう。
なんて美しい幻想的な映像。
覗いて見なければわからない万華鏡の世界。
びっくりして不思議で嬉しくて、笑い声が出てしまった。
すっかりトリップ、トリップ。
みごとに磨かれた「技」の数々に時間を忘れた。

夜からは、妹に誘われて、夫や妹の友だちも一緒に
有楽町のホールで催されるいっこく堂のライブに行った。
幸運にも妹が招待券を当ててくれたのだ。
始まる前からみんなにこにこうきうき。
腹話術のライブってどんなだろう?
そんなに長い時間、できるものなのかしら?
始まったら、すっかり夢中!
あっという間に不思議な世界に入り込んだ。

休憩を挟んで2時間もの公演の間、舞台に出ている人間は
いっこく堂さんたったひとりだった。
それなのに、大勢が出てくるお芝居を見ているよう。
どう見ても、しゃべっているのは人形の方だ。
みんな違うキャラクターと声を持っている。
いっこく堂は宇宙人かもしれない。
いっぱい笑って、しんみりもして、そして不思議で。
一瞬も飽きることのない2時間だった。
これこそが「芸」だと思った。

万華鏡といっこく堂と。
すばらしい技と芸を堪能した1日だった。

それにしても青山と有楽町、
クリスマスムードいっぱいのきらめく街を歩く人はみんなおしゃれに見えた。
ひさしぶりの都会は刺激がいっぱい、そして目の保養になる。
私もOL時代を思い出して、帰り道はちょっときびきびと歩いてみたりした。


鉢の冬ごもり 2003年11月26日(水)

明日から寒くなると言う。
寒さに弱い鉢物たちを家の中に取り込んだ。
かわいそうに、カトレアやデンドロビウムまで
ガーデンテーブルの上で冷たい風に吹かれていたのだ。
よく元気でいてくれたものだ。

幸い、朝飲んだ薬が効いて、歯も今は痛まない。
陽だまりで、一鉢一鉢点検し、枯れた葉や枝を取り除き
ほこりを払い、鉢をきれいに拭いて部屋の中に運んでいった。

小さな洋蘭たち、友だちからいただいて増えたハカラメ、
ご近所からいただいた八重のカランコエ。
それぞれと出会ったときのことを思い出し
あらためて見直して、今年の成長を喜んだ。

リビングの出窓は緑でいっぱいになった。
ここなら凍えない。
東向きのこの窓には午前中いっぱい日が当たる。
春が来るまで、ここで暮らしてもらう。
ここで大きくなっていくのを見守れる。
夕方、ランプ越しの光に照らされて、
暖かそうに葉を伸ばす鉢の花たちを見て、ほっとした。

まだいくつか取り込むものが残っている。
八丈島から連れてきたハイビスカスやブーゲンビリアも中に入れたほうがいいね。
冬の間、部屋の中は植物たちで明るく賑やかになる。
暖かい部屋で一緒に冬ごもりをしよう。


歯が痛い… 2003年11月25日(火)

1ヶ月くらい前から、なんとなく奥歯がうずいていた。
でも風邪のせい、熱があるせいだと思っていた。
実際、何年か前、歯が痛いので歯医者さんに行っても異常がなくて
「熱があるのではないですか?」と言われて(本当にそうで)
歯磨きだけして帰ってきたことがあったのだ。
今回もきっとそう。
だって鏡で見ても、どこも虫歯になっている様子はないのだもの。
すっきりと風邪が治れば、歯痛も治るはず。

ところが昨夜、ついに右の奥歯に穴を見つけてしまった。
歯のてっぺんではなく、横っちょ。
歯茎のすぐ上に、ぼっこりと穴があいていたのだ。
あぁ、これは痛いはず。
穴があいているとわかると、よけいに痛くなった。
すぐに歯医者さんに行きたくなった。
風邪なら寝ていたら治ることもあるけれど
歯だけは放っておいて、自然に治ることはないものね。

今朝一番で、かかりつけの駅前の歯医者さんに電話して予約を取った。
早く、早く治してもらいたい。
外は久しぶりのざんざん降りだけれど、雨だからと言ってこれはキャンセルはできない。
大雨の中を走るバスに乗って、ちょっと気の重いお出かけだ。
早く治療はしてもらいたいけれど、やっぱり歯医者さんに行くのは楽しくない。

バスは予約時間の30分も前に駅についた。
歯医者さんと同じビルにある本屋さんで時間をつぶした。
とてもかわいい猫の絵に惹かれて、本を1冊買った。
そしてエレベーターで3階に上がり、歯医者さんのドアを押した。
ちょうど1年ぶりの受付に保険証と診察券を出した。
長椅子に座り、買ったばかりの本を読もうと取り出したとき、名前を呼ばれた。

案内されて、診察椅子に座る。
すかさず紙製のエプロンをかけられ、椅子が倒された。
カルテを見ながらいつものお医者さまがみえた。
「1年ぶりですね。今日はどうされました?」
私はかくかくしかじかと説明し、ここです、と口をあけて指し示した。
「あぁ〜。大きな虫歯になっていますね!麻酔をしましょう。」

痛くない痛くない、と心の中で唱えているうちに麻酔の注射は終わった。
歯茎もほっぺたも感覚がなくなってくる。
もちろん歯の痛みは全然ない。
そこをガーガーと、あのドリルで削るのだ。

ガーガー!
チュイーン!
ギリギリギリ!
機械の先を何回も取り替えて、私の歯は削られていった。
どんなことになっているのか、恐いので想像はしない。
ただ大きく口を開けて、目をつぶっているだけだ。
治療が終わったら、あの猫の本が待っている。
あれを読むのを楽しみにがんばろう。

「結構深くて神経まで行っていました。神経を抜きます。」
と、先生が少し悲しそうな声でおっしゃった。
「はぁ…。」
と、私は感覚のない口で返事するしかない。
神経を抜くと、ただでさえ質の悪い弱い歯が脆くて欠けやすくなる。
それでも仕方がない。
お医者さまが一番いいと思われるように治療していただかなくてはいけない。

ガリガリと歯の中を削り、ピンを刺してレントゲンを撮った。
薬を詰めて、とりあえず穴をふさぎ、今日の治療は終わった。
「しばらく通ってください。こちらの歯は使わないように。
 それから、痛むかもしれないので薬を出しておきました。」
と先生はおっしゃった。

受付で、会計と次回の予約をした。
「とんぷく薬」と書いた紙袋を渡され、「痛んだら飲んでください」と言われた。
「それから、とっても痛むようだったら予約の前でもすぐに来てくださいね。」
と、受付の女性に念を押すように言われた。
う〜ん、これは本当に痛みそうだ。
脅かされたようで、ちょっと恐い。

全然小降りにならない雨の中、またバスに乗って頬を押さえながら帰った。
頬の感覚はまだないけれど、熱を持っているのがわかる。
ちょっと削って、詰めものをして、すぐに終わると思っていたのに
面倒なことになったものだ。

夕方になり、麻酔が切れて案の定痛んできた。
歯が脈を打っているようにずきんずきんと痛む。
頬を押さえてぐったりと横になって耐えた。
悔しいけれど(なぜか悔しい)薬を飲もうか。
これでは猫の本を読む気にもなれないもの。

そのとき、夫が帰ってきた。
「かわいそうに〜。」と笑っている。
「ああ。これは腫れているわ。」と、おかしそうに私の顔を覗き込み
ポストから取ってきた郵便物を渡してくれた。
目が覚めるような青い海と幸せそうなカップルの写真が見えた。
私は飛び起きた。
友だちの結婚の報告の葉書だった。

嬉しい!
きれい!
あー、素敵だ。
幸せそう♪

痛みが和らいだ気がした。
起きたついでに薬を飲み、ゆっくりと葉書を眺めた。
本当に嬉しい。
夫にも見せ、テーブルの上に飾るように置いた。
猫の本を読む元気も出てきた。
単純な私。

それでも教訓。
痛みは我慢しないようにしましょう。
歯医者さんには早めに行きましょう。


失敗ケーキ 2003年11月24日(月)

友だちがお出かけ前にうちに寄ってくれると言うので、
はりきって早起きしてケーキを作った。
バターや粉は、昨夜寝る前にきちんと量ってあった。
ドライプルーンといちじくも洋種入りの紅茶に漬け込んであった。
バターと卵たっぷり、香りのいいドライフルーツがたっぷりの
おいしいケーキができるはずだった。

…何を間違えたのだろう。
余熱をしたオーブンに入れて、何分たってもケーキは膨らまなかった。
焦げないようにアルミホイルを乗せて、さらに10分焼いても変わらなかった。
竹串を刺してみると、中まで火は通っているようだ。
本に書いてあった時間より、20分長く焼いて取り出した。
粗熱をとって型からはずすと、ふくらまなかったので高さはないものの
型のままの薔薇の形のケーキが出てきた。
これはおいしそうかも!
と、ナイフを入れて一切れお味見。

…やっぱりダメだった。
ずっしり重くて甘くてしつこい。
それはそうだろう。
あれだけの量のバターとお砂糖と卵と粉とフルーツが
これだけの体積の中に詰め込まれているのだから。
日持ちさえしたら、カロリーと栄養たっぷりの非常食になりそうなほどだ。
がっかり。
これは友だちにはあげられない。

11時半、友だちの車は時間通りに来てくれた。
借りていたものをお返しし、花の苗をひとつ渡した。
これからご主人さまとお出かけなので、引き止めることはできない。
それでもケーキがちゃんとできていたらお土産に渡せたのになぁ。
せめてものお礼にしたかったのになぁ。
本当に残念だった。
わざわざ寄ってくださったのに、なにもできなくて申し訳なかった。

去年手に入れた薔薇の形のケーキ型はお気に入りだ。
でも、これでケーキを作ると、ずっしりと重くなるようだ。
最初の何回かはオリジナルレシピで作っていたので、配合のミスかと思っていたけれど
今回は、ちゃんと本の通りに作って、それでも膨らまなく重くなってしまった。
型が分厚い分、オーブンの温度をもっと上げなくてはいけないのかもしれない。
特に余熱の温度はもっと高くしたほうがよさそうだ。
実験、実験。
同じレシピで、今度は温度を変えてやってみよう。
成功したら、おいしくできたら、今度こそ友だちに食べてもらおう。

その前に、この失敗ケーキを何とかしなくては。
夫も食べてくれなかった。
小鳥たちは食べてくれるだろうか。
砕いてパンプディングにでもしようかな。
それともやっぱり非常食かしら?


ボジョレーヌーボーとチーズフォンデュ 2003年11月23日(日)

出張に行っていた夫が帰ってきて、
やっとボジョレーヌーボーで乾杯できた。
注文していたル・クルーゼのフォンデュ鍋も、
タイミングよく届いた。
せめてもの手作り、
チーズフォンデュに使うバゲットは私が作った。
あとは野菜を下茹でしたり、
海老やウィンナーの下ごしらえをするだけだ。
簡単休日ディナー。

初めて焼いたバゲットはあまり上手にはできなかったけれど
とろりとチーズをからめるととてもおいしかった。
ただの野菜も海老もおいしかった。
そして評判どおり、ボジョレーヌーボーが本当においしかった。

たっぷりチーズに溶かしこんだ白ワインと
ボジョレーヌーボー1本で、すっかり酔ってしまった。
いいわ。
明日も休日だもの。

今日は勤労感謝の日。
働いている人(夫)も、あまり働いていない人も(私)、
それぞれの勤労に感謝して、
ワインをおいしくしてくれた天の恵みに感謝して、
おいしいチーズや野菜や海の幸を与えてくれた自然に感謝して、
ワインやお鍋を作ってくれた人に感謝して、
おいしく楽しく過ごしましょう。


リースの季節 2003年11月19日(水)

ぼんやり窓の外を眺めていたら
シジュウカラの夫婦がやってきて
からっぽのままのピーナッツリースを覗きこんでいた。

そうだ、昨日ピーナッツを買ってきたのだっけ!
シジュウカラたちが諦めて来なくなる前に新しいリースを作ろう。

パソコンも開いたままで、広告を広げてピーナッツを出した。
目打ちでピーナッツのくびれた部分に穴をあけ、両端を切り落とす。
そしてワイヤーに通してくるりと輪にする。
簡単。
もう手馴れたものだ。
スーパーの入り口に積まれていた1袋98円のピーナッツは
あっという間に3つのかわいいリースになった。

前と同じように、2つはリビングの前のぶどうの蔓に、
もう1つはエゴノキの枝に引っ掛けた。
新しいピーナッツリースは白く乾いて清潔できれいに見えた。
この席からレースのカーテン越しに
シジュウカラたちの訪れを眺める季節がまた始まった。
この冬は何回リースを作り直すだろう?
うちを気に入って、今度こそ巣箱に入ってくれたらいいな。
…スズメバチたちのお引越しはもうすんだかしら。
巣箱の中を点検しなくては。

去年の今日もリース作りをしていた。
それはピーナッツリースではなくて、
ローズマリーやラベンダーやローズヒップのリースだったけれど。
そう、またそんな季節もやって来ているのだ。
今年も香りのいいあのリースを、暖かい部屋でいくつも作ろう。
白い壁とドアに飾ろう。
赤い実のリースは庭にも飾ろう。
小鳥たちがついばんでくれるだろう。


ピーちゃん 2003年11月18日(火)

先週やって来た迷いインコのピーちゃん(仮称)は今日も元気だ。
はしごくぐりや天井逆さま走りなどをして無邪気に遊ぶので
ブランコを入れてやったら、喜んでくれた。
子どもインコの遊ぶ姿は久しぶりで、とてもかわいくて嬉しい。
高く響く幼い声もほほえましい。
飼い主さんのもとへ返すのが一番幸せ、とわかっていても
今このときが楽しくて、このままうちの子になってもいいのに、
…などと思ってしまうことがあるのだ。
いえいえ、いけない。
ちゃんと飼い主さんを探さなくては。

ピーちゃんがやって来た翌日、友だちが情報をくれた。
タウン誌に、ピーちゃんと似たインコを探している記事が載っていたと言う。
少し離れた街ではあるし、3週間以上がたっているので
可能性は低いかもしれないけれど、もしかしたら、と言うこともある。
何より飼い主さんは、心配して一生懸命探していることだろう。
早く確かめなくてはいけない。
週末から出かけることが多くて、今日やっとこの家に連絡することができた。

電話をすると、私より少し年配くらいの女性の声が出た。
私は名乗り、電話した経緯を告げた。
「もしかしたら、こちらのインコちゃんではないかと思いまして。」
すると「あぁ、うちのインコ、見つかったんです!」と明るい声が返ってきた。
「そうなんですか!おめでとうございます。よかったですね。」
私はいろいろな意味でほっとして言った。

そのインコちゃんは、逃げてから2週間もたって、
家から2km以上離れた場所で保護されたのだそうだ。
「もう、奇跡のようです。寒くなりましたし、2週間もたっていたので諦めていたのです。
連絡をいただいて見に行ったらうちの子でした。夢のようでした。」
とても丁寧にそのときのことを話してくださった。
「疲れたのか緊張していたのか、おしゃべりもしなくなっていたんですよ。
それが迎えに行って帰り道、タクシーの中で『オカアサン』としゃべり出しましてね。」
嬉しそうに静かにおっしゃった。
「本当によかったですね。安心したのでしょうね。おうちに帰りたかったのでしょうね。」
と、私も言いながら、感動してしまった。

そう、インコちゃんはおうちに帰りたかったはずなのだ。
2週間も冒険して、やっと懐かしい顔に会えて嬉しかったのだ。
「はい、そうなのでしょうね。本当によかったです。」
と、その方は笑い、そして続けられた。
「今、インコちゃんを保護していらっしゃるのですよね。
保護したインコを大事にしてくださっているかと思うととても嬉しいです。
ありがとうございます。私からもお礼を言わせてくださいね。」
私はあわててしまった。
「いえ、とんでもない。うちにもインコがいますので、お気持ちはわかりますから。」
と答え、そして恥ずかしくなった。
大事にかわいがっているのは確かだけれど、手放すのもさびしくなってきていたのだから。

「そちらのインコちゃんも早く飼い主さんが見つかりますように、お祈りしています。
ご連絡、どうもありがとうございました。ごめんくださいませ。」
と、明るい声でしめくくり、感じよく電話は切れた。
私も静かに受話器を置いて、ため息をついた。
電話してよかった。
その方のインコが見つかっていたことが嬉しかった。
そして心から反省した。

もっと真剣にピーちゃんの飼い主さんを探さなくてはならない。
飼い主さんは、こんなにも心配して、こんなにも喜ぶのだ。
もし自分だったら、と考えたらよくわかる。
いなくなったら、どんなに悲しくてつらいだろう。
無事に見つかったら、本当に夢のように嬉しいに違いない。
インコも優しい家族のいる住み慣れた家に帰るのが一番幸せに違いないのだ。

パソコンを開き、あらためて「迷子の鳥探しています」掲示板を丁寧にチェックした。
いくつかの掲示板を過去へとさかのぼっていくと、これは、と思われるものがひとつあった。
逃げたのは、もう1ヶ月前になるけれど、住所が近い。
他県だけれど、うちから見たら隣町なのだ。
オスで、「生後4ヶ月」と言う年頃もぴったりだ。
それに何より、体の色や特徴がとても似ている。
黄色い顔にライムグリーンの体のオパーリン、右の喉もとにひとつだけ黒い斑点。
もしかしたら、ピーちゃんは、ラムちゃんかもしれない。

保護した場所と日時と状況、インコの様子を書き、
目印になる喉もとの斑点と、顔がはっきり写っている写真を添付してメールを出した。
飼い主なら、自分の鳥は写真を見たらわかるはずだ。

まだ返事は来ない。
ドキドキしながら返事を待っている。
ピーちゃんがラムちゃんであることを祈っている。
飼い主さんと対面して、嬉しそうなピーちゃんの姿を見たい。

こちらを見つめているピーちゃんに、かご越しに話しかけた。
「ラムちゃん?あなたはラムちゃんなの?」
ピーちゃんは何も言わずに首をかしげているだけだった。


Roman Holiday 2003年11月16日(日)

ずいぶん前から、行こう、と夫と話していた。
「ローマの休日」をやっと見に行けた。

売店で、美しい本のようなプログラムと、
かわいい瓶に惹かれて透明なレモネードを買った。
勾配が急な客席に座ると、どの席でもスクリーンが真正面に見える。
デパートの中にあるきれいなこの映画館は私たちのお気に入りだ。
お客はみんな落ち着いた雰囲気で静かに暗くなるのを待っていた。
テレビやビデオで何回も見た映画なのに
私もドキドキしてスクリーンを見つめて待った。

あぁ。
あぁ…!
ため息ばかり。
スクリーンで見ただけでこんなに違うものかしら。
今まで見ていたのはダイジェスト版だったのかしら?
こんなに細やかで美しくて切ない映画だったのね。

きれいな贈り物を胸にもらったようだ。
それがこぼれないように、ふたりとも顔を見合わせないで黙って歩いた。
すぐ隣の展望室のようなガラス張りの広場に出た。
おしゃべりする人に混じって、映画のパンフレットを持った人も何人かいて
おだやかに御苑の森やビル街を見渡していた。
小春日和のぬくもりにかすんだ空の下、ビルも紅葉もきれいに見えた。
暖かで静かないい休日だった。


お祝いのお茶事 2003年11月15日(土)

敬愛するお茶の先生が、今年お元気に卆寿を迎えられた。
今日はそのお祝いのお茶事だった。
お祝いされるべき先生自らが、いつものお稽古場であるご自宅で
すべてを考え、しつらえて開いてくださったのだ。

すみずみまで心の行き届いた瑞々しい庭の空気を
薄い曇りが柔らかい光で満たしている。
つくばいに舞い落ちた楓の葉の色がしっとりと鮮やかだ。
水の中の空に鳥の影がすばやく映った。
梅の枝で高らかに啼いた。
白い侘助が濃い緑の中で清楚にうつむいていた。
苔むした丸い飛び石のひとつひとつに、
つややかな葉の1枚1枚に先生の優しいまなざしを感じた。
すべてのものが静かに喜んでいた。

おめでとうございます。
そしてありがとうございます。
これからもお元気で。
いつまでも憧れます。


迷いインコ預かっています 2003年11月14日(金)

突然、舞いこんで来ました。
美しい草色の、まだ若い男の子です。
顔つきも体つきも仕草も、子どもっぽいのです。
逃がしてしまった方はどんなに心配しているでしょう。
一生懸命、飼い主さんを探します。
それまでべべやジュジュと同じ、うちの家族です。


とってもおなかがすいていたみたいだった。
30分も餌入れから出てこなかった。
寒そうにふくらんでいたのでペットヒーターを入れたら
だんだん少年っぽい体つきが現れてきた。

べべやジュジュは興味津々。
遊びたくて仕方ない様子。
この子が落ち着かないので、
餌を食べ終わったあとかごに布をかけた。

おとなしく、落ち着いたみたいだったのに
夫がジャズのCDをかけると、ジュジュと一緒になって歌いだした。
かわいい幼い声だった。
小鳥はとっても歌が好き。
慣れない場所にいても、音楽の誘惑には勝てないのね。
かわいいね。

布の隙間からそっとのぞいたら
首をかしげて丸い目で、じっと私を見つめていた。


再会 2003年11月12日(水)

覚えていてくれるかどうかドキドキした。
ゆりかごの中にいたあなたは
私の匂いをかいで指をなめてくれたね。
もうそれだけで十分だったよ!
そして赤ちゃんのころのように
私のひざの上で、腕の中でぐっすりと眠って。
手のひらに伝わる懐かしい「ゴロゴロ…」と
ずっしりとした温もりが嬉しかったよ。

大きくなったね。
でも相変わらずだったね。
安心した。
幸せそうな姿を見て幸せだった。
素敵なおうちも、家族も
先輩猫ちゃんもわんちゃんもみんな優しいね。
あなたはすっかり甘えていたね。
本当に幸せ者だよ!
涙が出そうになったよ。

恵ちゃん、会えてよかった。
また会いに来るね。
元気でね。

ずっと大好きだよ。


木の実入り秋色パン 2003年11月11日(火)

小さい丸いパンは、ベリーとくるみ入り。
大きな三つ編みパンは、りんごのすりおろしとぶどう入り。
こんがり秋色に焼きあがった。

明日、友だちの家に持って行くんだ。
少し夫の分も取っておこう。



白いランタナ

まだ小雨降る中
白いランタナの花が初めて咲く。
植えて3年目の秋。

もうだめかと思ったときもあったのに
よくがんばってくれたね。
霧雨をまとったつぼみが星のようだ。


風邪気味 雨の日 2003年11月10日(月)

寒い雨の日。
この空模様では諦めがつく。
家でおとなしく過ごした。

子猫のベッドだった薔薇の模様の洗面器に
刺繍の道具をひとまとめにして
部屋の暖かいところに持って行って色の糸を刺した。
だんだん浮き上がってくる絵が冬らしくて愛らしい。

目が疲れたり、息が苦しくなってきたりしたら
暖かい床に横になって
インコのおしゃべりと雨の音を聞いていた。

帰るコールの夫も風邪っぽいと言っていたので
夕食にはこの秋初めての、具沢山の鍋焼きうどんを用意した。
湯気にまみれてふはふはと食べて、おなかの底から温まった。

あぁ、まだ秋なのに。
今日は冬っぽかったな。
風邪のせいね。


口紅 2003年11月09日(日)

昨日は元気に出かけたのに、やっぱり今日はしんどかった。
食事の支度をして、夫と一緒に選挙に行って、
それ以外はずっと眠っていた。
こんこんと眠れるこの感じはやっぱり風邪のものだ。

夜、汗をかいて少しすっきりして目覚めた。
食事をして、お風呂にも入った。
体も頭もずいぶん軽くなった。
部屋を見ると、昨日帰ってきた荷物がそのまま放ってあった。
口のあいたバッグを片づけようとして、中に光る箱を見つけた。

そうだ。
昨夜、昔の友だちに、帰り際に口紅をもらったのだった。
「女の子だけにお土産よ」って。
彼女は空を飛ぶ仕事をずっと続けていた。
大変なことも、楽しい話もいろいろ聞いた。
「結局、この仕事が好きなのよね」と笑っていた。
若々しくて、チャーミングで、かっこよかった。
小学生のころから知っている笑顔と変わらなかった。

そんな彼女からの思いがけないプレゼント。
とても嬉しかった。
あわただしくて昨日はちゃんと見ていなかった口紅を出してみた。

玉虫色に光る箱の中から現れた、紺色の半透明のキャップに包まれた金色の筒。
くるりと回すと、シックなローズ色のリップスティックが顔を出した。
つややかな薔薇色の中に、かすかに金色がちりばめてあるよう。
なんてきれいなんだろう。
見とれてしまった。

友だちからもらったことが嬉しい。
新しい口紅が嬉しい。
美しい色が嬉しい。
きりりと元気が出てくるようだ。
すぐにいつものポーチに新しい口紅を入れた。

背筋を伸ばし、おしゃれをして、薔薇色の口紅をつけて出かけてみたい。
出かけてみよう。
秋空を見上げて彼女の飛行機を探そう。


この味 2003年11月08日(土)

目が覚めたら体が軽くなっていた。
昨日よりだいぶいい。
熱も37.0℃まで下がっていたので
用心しつつ、今日は予定通りに動くことにした。

まずは、先日届いた紅玉で、りんごのケーキ作り。
素朴なこのケーキは、学園祭のカフェで出していたもので
このシーズンになると、毎年何個も焼いていたものだ。
りんごの焼ける匂いが部屋に漂うと秋が深まったことを感じる。
学校から帰った妹たちは、匂いを感じて「あぁ。秋が来たね〜。」と言っていた。
今日はこれを実家の家族に、そして古い友だちに持って行く。

ぼろぼろになったレシピを見ながら、粉やバターを量り、りんごをむいた。
私は学園祭のカフェのケーキ係のチーフだった。
ケーキ作りを担当している後輩たちから
夜中になってから作り方の質問の電話がかかってきたっけ。
みんな夜通し何個もケーキを焼いていたのだ。
このケーキは私たちのカフェの名物だった。
作りながら、いくつもの秋を思い出していた。

お昼前にケーキをオーブンに入れてしまってほっとした。
あとは時々焼き加減を見ながら、昼食の支度をしたり、
留守番を頼む夫の夕食の準備をしたりすればいい。
久しぶりにしては、ケーキもちゃんとできあがった。
あら熱が取れてからケーキを切り分け、
家に置いておく分、実家に持って行く分、友だちにあげる分をそれぞれ包んだ。
ケーキを入れた箱を2つ持って、暖かい立冬の街に出かけた。

学生時代の友だちは仕事の傍ら趣味の絵を続け、毎年グループ展を開いていた。
もうこのグループ展も15回目になるのだと言う。
行って絵を見るたびに感動し、刺激を受ける。
続けていくことってすばらしい。
神保町にあるいつもの画廊に行ってみると、最終日と言うこともあって
ほかの友だちも何人か来ていてちょっとした同窓会気分。
絵を見たあと画廊の小さな応接セットに詰め合わせて座り
お茶とお菓子でおしゃべりをした。
ほんの3切れしかない私のケーキもみんなで分け合って食べてもらった。

「懐かしい。」
「そう、この味!これよ〜。」
「このケーキ、人気だったよね。」
「もう20年ぶりくらいになるのね。」
昔のカフェのお客だった友だちが喜んでくれて嬉しかった。
素朴なケーキをきっかけに思い出話に花が咲いた。
そして友だちの絵の前で、みんなで何枚も写真を撮って別れた。
またみんなでここで会いましょう!

次は新宿で妹と待ち合わせ。
短い日は暮れて、デパートの前ではクリスマスイルミネーションが明るく輝き
幸せそうな人たちが写真を撮り合っていて、ウキウキした。
クリスマスムードいっぱいのデパートで妹にケーキの箱を渡した。
この妹は、私がせっせとケーキを作っているころはまだ小学生だった。
幼かった彼女の中に、この味は思い出に残っているのだろうか。

妹と暖かいイルミネーションの中を歩き、そこを抜けて
酉の市で賑わう新宿の街を歩いた。
私はこのあと、中学のころの仲間との集まりに参加する。
屋台から漂うおいしそうな匂いに何度も誘惑されながら
妹に送られて、仲間が待つお店へ歩いて行った。
宴会前の私はなんとか思いとどまったけれど、妹は目の前の屋台に引っかかっていた。
ソースとかつお節が湯気を立てる発泡スチロールのお皿とお箸を持ったまま
腕にケーキの入った紙袋を提げ、妹は「じゃあね〜」と人ごみの中に消えていった。
この混雑の中、無事に帰れたかしら。

両親と妹たちは、もう懐かしいケーキを味わってくれたかな。
帰りが遅くなったので、その後の話は聞いていない。
「懐かしい」と言ってくれていたらそれでいい。


風邪かな 2003年11月07日(金)

明け方、かけた覚えのない
壊れているはずの目覚まし時計に起こされた。
壊れているだけあって、どこを押しても音がとまらない。
電池を抜いて、やっと静かになって、もう一度眠った。
頭がぼんやり熱いと思った。

ちゃんと起きた朝、まだ頭が熱かった。
試しに熱を測ってみて驚いた。
37.6℃。
微熱と言うにはちょっと高い。
元気なんだけれど、たしかにちょっとだるい。
昨日まではあんなに元気だったのに。
今日と明日は久しぶりに出かける予定があるのに。
休むわけにはいかない。
念のための風邪薬を飲んで少し遅れて出かけた。

久しぶりの電車、お稽古、新しいお店、人ごみ。
のぼせたのはそのせいだ。
こんなに元気なのだから大丈夫。
でも家に帰ってきたら頭が痛くなってきた。
なんとか夕食を作り、出張から帰った夫と
数日振りに一緒に食卓を囲んだ。

う〜ん、37.8℃。
ケーキ作りは諦めて、今夜はもう寝よう。
明日は今日より楽しい予定がいっぱいなんだもの。
風邪なんかに負けていられないわ!
おやすみなさい。
明日は元気に目覚めます。


今日は炉開き。
近くなった炉が暖かい。
お香が薫る。
白い菊が目にしみた。


ごはんがおいしい 2003年11月06日(木)

夫の実家から、段ボール箱いっぱいの野菜とお米が届いた。
ばりばりとガムテープをはがすと
野菜の青い匂いとふるさとの土の匂いがふわっと香った。
ひとつひとつ包まれた野菜たちとずっしり重い紙袋に入ったお米。
そして優しい短い手紙。
いつも本当にありがたいことだ。

野菜もお米も義父が育てたものだ。
お米は新米だった。
夫が出張から帰ってくるまで待とうかと思ったけれど
きらきらの新米の魅力には勝てない。
大切なお米をカップで量り、丁寧に研いだ。
いつものようにお鍋で2合を炊いた。

お米を研いで水につけたまま20分、沸騰するまで中火、それからとろ火で10分。
火を止めて、ふたをしたまま15分くらい蒸らす。
熱いお鍋を見ながらおなかがぐうぐう鳴った。
一緒にやって来た野菜たちで、簡単な(素材を生かした!)おかずとお味噌汁を作り、
炊き立てのごはんがおいしくできあがるのをじりじり待った。

時計を見て、さあ、いただきましょう。
重いふたを開けると甘い湯気がわきたった。
その下に真っ白なごはんが輝いていた。
おいしそう!
こらえきれずにアツアツを一口お味見。
おいしい〜〜!
急いでよそって食卓に運び、ひとりで「いただきます」をした。

ごはんがおいしいとお箸が進む。
歯ごたえのある野菜もじっくりと味わう。
そしてまたごはんに戻る。
あぁ、幸せだなぁ〜。

2度もおかわりをしてしまった。
おなかいっぱい。
にこにこ幸せ。
この感動と感謝を早く伝えたくて、夫の実家に電話をした。

電話には、おっとりと義母が出た。
「お米、と〜〜ってもおいしかったです!」
と、ちょっと興奮気味に言ってしまった。
義母は、最初とまどっていたようだけれど、すぐに嬉しそうな声になった。
「そう?よかった。おいしいよねぇ。よかったわ。いっぱい食べね。」
「はい。いっぱいいただきます!」
「ひとりでもちゃんと食べなあかんよ。お米、もっと送ろうか?」
「はい。あ。まだ十分ありますけれど、またいただきますね。」
「嬉しいわぁ。ありがとうね。お父さんも喜ぶわ。」
「こちらこそ、いつもありがとうございます。お父さんによろしくお伝えくださいね!」

短い電話は終わった。
あぁ。
気持ちを伝えられてよかった。
義母の声を聞けてよかった。
ふだん私たちは何もできないのに、こうして野菜やお米をいただくだけいただいて。
両親に心から感謝。
せっかくのお米や野菜の味を生かすように、心を込めて料理をしよう。
大地の恵みを、親の心を大切に味わおう。
実りの秋。
感謝の秋。
うん?感謝はいつもしていなくちゃね。

ささやかだけれど、両親には手作りのパンを送ろうかな。


夢の中で 2003年11月04日(火)

朝の夢の中で子猫に会った。

私は白い明るい塔の中にいた。
そのてっぺんに子猫はいた。
大きくなったね!

私は自転車に乗っていた。
そのかごに子猫を入れようとしたら
ずっしりと重かった。
大きくなったんだね。

かごの中に子猫を入れたまま
明るいゆるやかならせんのスロープを
自転車で滑り降りていった。
子猫のふわふわの毛がなびいていた。
子猫は笑うように目を閉じた。

広い踊り場にさしかかって
自転車がゆっくりとまりそうになった。
子猫は目をぱっちりと開いて
かごからひらりと飛び降りた。
そのまますばやく走って姿を消した。
待って、待って!

だんだん広くなるらせんを
2回転くらいぐるぐると走り降りて
やっと子猫に追いついた。
子猫はまたひと回り大きくなって
優雅な仕草で私を待っていた。

「子猫は1日に10の新しいことを覚えるのです」
と、どこからともなく現れた
白衣を着た男の人が重々しく教えてくれた。

今日、覚えたのは自転車から飛び降りること。
大人っぽい優雅な仕草。
それから、なんなのだろう?
子猫には覚えることがいっぱいあるのね。
どんどん成長していくのね。

ただそれだけの夢。
なんの筋も結末もないけれど、子猫と会えたことが嬉しかった。
ほんのり白い光がたちこめた明るい塔の中が清らかで幸せで
子猫と一緒にスロープを滑り降りるのが楽しかった。
目が覚めて、こんなに嬉しい気持ちが残るのはいい夢だ。



朝からジョウビタキの声がよく響いていた。
灰色の空に光が射して銀色に輝いた。
澄んだ声が近づいてきた。
庭のエゴノキの枝がさわりと動いた。
まばらな葉の影に見えたのはオレンジ色のおなか。
カーテンをそっと開けて覗いてみると白い紋付もくっきり見えた。

ジョウビタキ、今年も遊びに来てくれてありがとう。
冬がやってくるんだね。


雨の休日 2003年11月03日(月)

連休の最終日は雨降りだった。
午後遅くから出張に出る夫を見送りがてら
買い物に行こうかと思っていたけれど
それはやめて、ふたりでのんびりと過ごした。

雨に降り込められた休日は、なにか手仕事をしたくなる。
チャートを買っただけで全然手をつけていなかった刺繍を始めた。
リネンの細かい目を注意深く数えながら
好きな色の糸で×を刺していく。
連なっていたり、不規則に点々と散らばっていたりした×が
だんだんと図案になっていく。
パズルのようなおもしろさがある。
夫には「また目の悪くなりそうなことを〜」とあきれられた。
でもこれが楽しいのだ。

時間を見計らって、キッチンに立った。
前に教室で習った天然酵母でふくらませるスコーンを作りたかった。
ダイスに刻んで冷凍庫に入れておいたバターを
粉類と合わせてフードプロセッサーにかけた。
さらに酵母と卵と牛乳を加えて少し回した。
ざっくりと、少し粉っぽいくらいの生地を四角くまとめて
小さい四角にカットして、1時間発酵させる。
それをオーブンでふっくらと焼く。
夫は「食べる時間ないよ」と言っていたけれど大丈夫。
ちゃんと時間は逆算している。
出張の準備もできて一段落した出発30分前に
ミルクティーと焼きたてスコーンでティータイム。
ふくらみはちょっと足りなかったけれど、あつあつスコーンはおいしかった。

夫を見送ったあと、刺繍の続きをやった。
目が疲れると、横になって音楽を聴いた。
しとしと雨はまだ降っている。
ひとりと2羽の部屋は暖かい。
巣篭もりしているような気分で少しまどろんだ。


ベリー・ベリー・ベリー 2003年11月02日(日)

先週、ネットの友だちから苗が届いた。
美しくおいしそうな写真を見せていただいてから憧れて
お願いしていたタイベリーと、ブルーベリーの苗だった。
暖かく晴れた午前中、やっと苗の植えつけをした。

場所は考えてあった。
薔薇のアーチと南側の庭をつなぐレンガの小道のフェンス沿いだ。
そこにはもう何本かの薔薇とクレマチス、2本のブルーベリー、
それからやっぱり友だちにいただいたラズベリーが植えてあった。
いただいたブルーベリーは、前の2本と並べて、ラズベリーとの間に植えた。
大きく立派なタイベリーは、ラズベリーとクレマチスの間に深い穴を掘って植えた。
長いしっかりとした根っこを見て、掘り起こしてくださった苦労を思った。
大事に元気に育てて、おいしいベリーを収穫しよう。
新しい土がむきだしになったベリー類の足元には、
東の庭で増えすぎた忘れな草を植えこんだ。
春にはきれいな眺めになるだろう。

これからは3つの品種のブルーベリーと、ラズベリー、タイベリーを楽しむことができる。
かわいい実がなったところを想像してはウキウキ。
送るために短く切り詰めていただいたタイベリーの収穫は再来年になるだろうか。
でもやがてはここがベリーの小道になることは間違いなし。
自家製ベリーのジャムや、ベリータルトを作るんだ♪
わくわく。
大きくな〜れ!
いっぱい実れ!


新しいメガネ 2003年11月01日(土)

日曜日に行った撮影会の写真があがってきた。
プリントやポジフィルムを見てショック!
どれもこれも微妙にピントがずれている。
フィルム2本使って、ちゃんと写っているのは2、3枚しかなかった。
また目が悪くなってきているのかもしれない。

十数年前、マニュアル一眼レフで写真を撮りだしたとき、
あまりにも写真がピンボケなのでがっかりした。
三脚を使い、ファインダーを覗いてくっきりとピントを合わせているのに
どれもこれもピントがずれているのだ。
写真の会の大先輩たちに相談すると「目が悪いんじゃない?」と言われた。
近眼の目でファインダーを覗くと、カメラのレンズを通して視力を矯正してしまうのだ。
自分に見えた映像がくっきりとピントが合っていても、
できあがりは視力を補った分、ぼけているのは当然だった。

それまで、日常生活に不便は感じていなかったので、メガネをかけていなかった。
でも、その話に納得して、メガネ屋さんで検眼してもらうと
カメラを覗く利き目の右目の視力は0.1しかなかった。
0.7ある左目でカバーしていたので、生活には不自由していなかっただけだったのだ。
それからは写真を撮るときや映画を見るとき、パソコンや手芸などで目を使うときには
メガネをかけるようにしてきた。
そのメガネが合わなくなってきたらしい。
そう言えば、テレビのスポーツ中継でもボールや点数が見えないことが多くなった。
近眼が進んでいるのかもしれない。

今日、図書館のついでに、東急ハン○の中にできた新しいメガネ屋さんに行った。
なんとメガネがレンズ込みで5000円、7000円、9000円でできると言う。
あまり期待はしないで夫と一緒に明るい店内に入った。
「ほぉ〜。」「あら〜。」
ふたりとも感心の声を上げてしまった。
並んでいるフレームは、どれもなかなかおしゃれできれいだった。
最初は面倒くさがっていた夫も「ぼくもメガネ作ろうかな。」と言い出した。

メガネをかけて顔を見せ合い、「変!」とか「教育ママみたいだ」などと批評しあって、
やがてそれぞれ気に入ったものを見つけた。
ふたりとも、今までのメガネよりレンズが小さくて今風のものにした。
そのフレームを持ってカウンターに行き、順番に検眼してもらった。
安いメガネのこと、簡単な検眼だろうと思ったら大間違い。
若くて感じのいい店員さんが時間をかけて、いろいろなテストをし、
丁寧にチェックしてくれた。

今までのメガネでは矯正視力で1.0にも届いていなかった。
これでは写真もぼけるはず。
いつの間にか、ずいぶん近眼が進んでいたのだ。
結局、両目とも2段階強いレンズを入れることになった。
それでやっと1.2になった。
いくら左目が見えるとは言っても、私は0.1もない視力で裸眼のままで外を歩いていたのか…。
あぁ。危ない、危ない。

メガネは45分でできると言う。
お会計を済ませると、引き換え票を受け取って、店を出た。
ちょうどお昼時だったので、近くのお店でランチにした。
その間に、もう新しいメガネはできてしまっていた。
メガネ屋さんに戻り、できたてのメガネを受け取った。
すぐに試しがけさせられた。

「いかがですか?」
メガネ屋さんの店内を見渡し、その先のカレンダー売り場を見通した。
「わぁ、すごいすごい!世界が明るい〜。あの壁のカレンダーの文字も見える!」
大感激!
見えるってこう言うことなんだ。
霧が晴れたようだった。
小学校から大学まで、ずっと1.5以上の視力を持っていた。
こんな世界が当たり前に見えていたなんて、不思議な気がする。
会社に入り、パソコンやワープロを使うようになって悪くなったのだった。
それでもこんなに見えていなかったとは知らなかった。
「かけて行かれますか?」
と言う、お店の人の問いに「はい!」と元気に答えた。
クリアになった世界を早く見たかった。

図書館までの短い道のりをきょろきょろして歩いた。
ビルの看板をひとつひとつ読んでみた。
人の顔や通る車のナンバーを見た。
ビルの向こうには山が見えていた(知らなかった!)。
なんでもくっきりよく見える。
まるで効きすぎた薬を飲んだような変化だった。
「こんなに見えて体に悪いことない?」と夫に言うと
「悪くない、悪くない。ずっとかけとけ。」と笑われた。
図書館では書架に並んでいる書名が立ったままで上から下まで見えるので嬉しかった。
帰り道、自転車に乗って見える風景が澄んでいてきれいだった。

思い立って新しいメガネを作ってよかった。
これからは、写真がぼけてもそれは腕のせいだ。
もうメガネのせいにはできない。
前の少し弱めになったメガネは、パソコンのときに使うといいらしい。
悪い目でふらふらぼんやり歩かずに、これからはいつもメガネをかけていよう。
…と思うけれど、やっぱりふだんはかけずに霧の中で過ごしてしまいそうな気もする…。


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