ひとりごと
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旅行に行こう!と決めたらまずやること3つ。 宿を取ること。 乗り物の切符を取ること。 そしてインコの世話を頼むこと。
宿や切符は当日でも何とかなるし、 取れないまま出発してしまうこともある。 でもインコたちはね。 そのまま置いていくわけにはいかないもの。 だからその手配が終わると一番ほっとする。
タウン誌の片隅で見つけた「小鳥預かります」。 1泊500円でお世話してくれる。 送迎つきだとプラス2000円だけど、 これが本当に助かるの。
同じように小鳥を飼っている友達が近くにいたら お世話を頼めるけれど、そういう友達は残念ながらいない。 近所の子供たちに頼めば喜んで預かってくれるでしょうけど 何かあったときに責任を感じさせてはかえって申し訳ない。 こんなときはプロに頼むのが一番!
プロとは言ってもいつも来てくださるその方は まるで妹の友達のようなかわいい若い女性。 専門的に勉強もされたのでしょうね。 もちろん小鳥のことに詳しくて、 そして本当に大好きな様子なの。 インコたちも嫌がる様子もなく寂しがるでもなく 住み慣れたかごごと彼女と一緒に車に乗り込む。
マンションってうかがったけどどんなところなのかな。 ほかの小鳥もいっぱいいるのかしら。 小鳥の歌声が満ち溢れた明るい部屋かしら。 帰ってきたインコたちに聞いても何も教えてくれない。
今夜から3日間、その部屋で過ごす私のインコたち、 あなたたちの行動は彼女がちゃんと手紙で教えてくれるのよ。 信頼する彼女の部屋でいつもどおり元気で過ごしてね。 そしてまた車に乗って帰って来てね。
大切な旅の支度はこれですんだ。 明日の朝、インコのおしゃべりの聞こえない静かな部屋をあとに 私たちも出発しよう。
| おとなしくしてました |
2001年11月29日(木) |
1日ぼんやりしてました。 ただでさえ短い昼間が 駆け足で過ぎていったよ。 それを見送るのもいいもんだよ。
夕方少しだけ外に出ました。 澄んだ空に飛行機雲がいくつも見えた。 暖かい1日だったけど 空の上は寒いらしい。
私の風邪はそろそろ治ります。 みんなみんなお元気でね。
「おとなしくしてなさい。」 って言われてたのに 朝からお茶のお稽古に出かけてしまった。
あぁ。でもやっぱり頭がぐらぐら。 気分もよくない。 炉の中で真っ赤に熾っている 炭のせいもあったのかもしれない。
「ちょっと失礼します。」 と、隣の寄り付きで休んだ。 お茶室と違ってとても寒い。 でもほてった頭を冷ましてくれる。
壁に寄りかかって目をつぶった。 いろいろな音が聞こえる。 空気が感じられる。 ぼんやり半分夢見ているよう。
ふすま越しのくぐもった人の声やお釜の音。 往来を走るバイクの音。 窓の外からは小鳥の声や羽ばたきの音。
目を開けると白いまぶしい障子のスクリーンに くっきりと黒く影絵が美しかった。 小鳥のささやかな重みが枝を揺らす影。 木漏れ日は丸く重なってちらちらと動いた。
どれくらい影絵を眺めていたのだろう。 もしかしたら眠っていたのかしら。
ふすまが開いて心配そうな顔がのぞいた。 今日はお点前はお休みさせていただこう。 おいしいお茶とお菓子をいただいて うとうと夢心地で影絵を見て。 そんなお稽古日もあっていいよね。
あ。鼻水がとまっている。 昨日いただいたお薬が効いたのかな? うつらうつらもお薬のせい? 風邪もきっともう一息ね。
私がいつも行く医院は駅前のパチンコ屋さんの上にある。 古くて小さくて決してきれいとはいえないクリニック。 お医者さまはいかつくてちょっと口が悪い。 でも狭い待合室は、診察時間を過ぎても お年寄りや小さい子を連れたお母さんで賑わっている。
無愛想な言葉の奥に暖かみがある。 そして腕が確かなのだ。 みんな少しほっとした顔をして診察室から出てくる。
そんなお医者さまも私の風邪にはいつも手を焼いている。 3週間前、今回の風邪で最初に行ったときも 「あー。あんた確かいつもこじらすんだよな。鼻水はとまらないし。」 「はい。よく覚えておいでで。」 「それで持病が多いから薬も限られるからなぁ。」 「いつもお手数かけます。」
今朝起きたら鼻水に加えて咳が苦しかった。 うー。やっぱりぶり返したかな。
「あれ?やっぱりこじらせたか? それであの薬でも鼻水止まらない?そりゃすごいなー!」 「はい。ティッシュの箱と一心同体です。」 「よし。今度の薬は朝から眠くなるからね!いいね?」 「それは寝てろってことで…?」
風邪が治らないのはお医者さまのせいじゃない。 私の行動に問題があったのね。 高熱が出ないタチだから、ついつい動いてしまうのよ。
「まぁ。少しおとなしくしてなさい。」
赤い鼻をした私は神妙におじぎをして診察室のドアに手をかけた。 横の壁には空手姿のお医者さまの写真がかけてあった。 りりしい少年たちと一緒に勇ましく構えている。 「強い心に強い体!やさしくたくましく!」 そんなポスターも貼ってあった。
うん。そうね。 心も体も鍛えなくてはね。 ふらふらせずに、きっぱり風邪を治して元気に冬を迎えよう。 この冬はもうお医者さまを悩ませないようにね。
空手はハードかな。 ちょっと気になる今日この頃。
やっと球根を植えました。 まだまだ全部じゃないんだけどね。
いつものことだけど、 植えようと思って土を掘っては 前から埋まっていた球根をざっくりやったり ごろごろ掘り出したりしてため息をつく。 まったく何をやっているんだか。
考えたら去年もおととしも 300個くらい植えたんだっけ。 この狭い庭のどこかにひっそり眠っているのよね。 本当はもう植える余地なんかなかったのかも。
それでも秋になると リスがどんぐりをためこむように そわそわと落ち着かなくなって 球根を買い込み 隙間を見つけては埋め込んでいく。 春のお花畑を夢見て。
きっと毎年やっていくのでしょうね。 それともこんな私も変わっていって 球根植えをしない秋がくるのかしら。
ともあれ来年の春は 新鮮なかわいい花の笑顔に会えるはず。 植え込んだ場所はもう忘れてしまったよ。 それが春の驚きと喜びを倍増させるコツなのだ。 そして来年の秋はまたざっくりやるのでしょう…。
連休の最終日。 風邪気味であることに甘えて昼近くまで眠ってしまった。 本当は夫が紅葉を見に山に行きたいって言ってたんだっけ。 悪いことをしちゃったな。 そんなことを思いながらもまたうとうと。 気がついたらもう2時。 気分はだいぶよくなっていた。 よし!
「紅葉を見に出かけようか?」 「いいよ。もう遅いし。山は無理や。」 「薬師池公園だったら駅からバスで行けるし近いよ。」 「体大丈夫か?じゃあ行くか!」
夫は嬉しそうにソファから立ち上がって着替えに行った。 本当に出かけたかったのね。
ところが駅についてみると公園行きのバスは出たばかり。 次は3時45分発。 それでは遅すぎる。 ついたらもう日暮れ時だ。
「どうする?」 「せっかくだからどこかに行きたいね。」 「うん。どこかに行こう。」
意見はまとまり、行き先も見ずに次のバスに乗った。 よさそうなところがあったら降りてみよう。 終点まで行ったところで市内だもの。 帰れなくなることはないわ。
初めての道を通る路線バス。 車を持たない私たちにはどんな眺めも初めてで珍しい。 並木道の紅葉がきれいだった。
「〜次は市立博物館前〜」
顔を見合わせうなずきあう。 私たちはバスを降りた。
バス通りから住宅の中を通り 案内標識を頼りに10分ほど坂道を登った。 息が弾み、体がぽかぽかと温まってきたころ 蔦の絡まる白いこぢんまりときれいな博物館が現れた。 ふとその隣を見ると「遺跡公園」の文字が。
日は斜めになりかけている。 博物館はまだ開いているから先に遺跡公園に行ってみよう。
縄文時代や弥生時代の住居跡、 そして復元された堂々とした素朴な住居が 雑木の丘の上に静かにあった。 桜の落ち葉が目に鮮やか。 銀杏の落ち葉がしっとり柔らかい。 復元住居のそばで椎の実を拾っている老夫婦がいた。
はるか昔この場所で暮らしている人々がいたのだ。 どんな眺めを目にして何を考え何を食べて暮らしていたんだろう。 私たちは黙り、それぞれの思いにひたって 別々に公園の中で時を過ごした。
閉館30分前に博物館に飛び込んだ。 入館無料。 展示物は戯画錦絵。 幕末から明治にかけての色鮮やかなユーモラスな浮世絵たち。 さっきの住居よりずっと近い時代の それでも大昔の生活が楽しげに話しかけてきた。
いいとこ見つけた。 連休の締めくくり、 なかなかいい時を過ごせたんじゃないかな?
パソコンが修理から戻ってきて元気になって。 リカバリついでにより安定性のいい(と言われている) Windows2000にOSを入れ替えした。 メモリも今までの64では足りないので あと128増設して192MBにした。 そしてあらためて インターネットや周辺機器の設定、ソフトのインストール。 アドレス帳も写真もみんな入れ直して やっとパソコンが落ち着いた。
昨夜から始めて、気がついたらもうお昼。 こんなお天気がいいのに家の中にいてはもったいない。 晩秋の日は短いんだ。 さぁ、庭仕事だ!
泥だらけのコンテナを水で流しながらブラシでごしごし洗う。 球根たちを植えるんだ。 最後のひとつをレンガの上に干し終わったら日が暮れた。 体を伸ばすと腰が少し痛んだ。 手も足も冷えていた。 またやってしまった!
いつもやってしまうはりきりすぎ。 少し調子がよくなると見境なくつっぱしってしまう。 案の定おそってきた悪寒と頭痛。 まだがんばるにはちょっと早かったのね。 それでもパソコンの調子はもう万全。 あとは私の風邪を完全に治すだけよ。
「はよ寝!」と夫に叱られた。 はーい。 もう寝まーす。
目がさめたら青空。 小春日和の休日。 今日は庭仕事をしよう。 目標は球根植え。
目標はただの目標だったよ。 できたのは庭の落ち葉拾いと草むしり。 そして買い込んだ球根の山を ぼんやり見つめてため息をつくこと。
あぁ。 どこに植えるつもりで買ったの? もうすでに地面には去年おととしの球根が いくつもしこまれているのに。
約束された春の夢。 土の中に隠して忘れて やがて花咲く宝箱。 植えなければ始まらないよね。
ダンボールの箱の中の球根たち。 ごめんね。待ってね。 明日こそ! 今夜の夢の中でいい案が浮かびそうなの。
今日は父の誕生日。 70歳、古希のお祝いだった。 杜甫の詩「人生七十古来稀なり」から来ていると言うけど 今は70歳を迎える人は珍しくはない。 それでもやっぱり節目。 離れて暮らしている娘たちも集まってみんなでお祝いをした。
小さいころ父が怖かった。 友達が「明日は日曜だからパパがいて嬉しいな」 と言うのを信じられない思いで聞いたりした。 私たち姉妹は父がいる日曜には 叱られないように息を潜め 猫をかぶってやり過ごしていた。
大きくなっても父は怖かった。 進学、就職、結婚。 何かあるごとに衝突し、怒鳴られ、 平手打ちを受けることもあった。 わからずやの父を恨んで何回泣いたことか。
でも、今日目の前にいた父は優しかった。 母や私たち四姉妹、そして孫たちに囲まれて にこにこと幸せそうなおじいちゃんだった。 父のことを「おじいさん」と思ったことはないけど 幼い孫のしぐさに目を細めているのは まぎれもなくおじいちゃんの顔だった。 胸が熱いような痛いような 嬉しいような寂しいような なんとも言えない思いでいっぱいになった。
花をもらい、ケーキのろうそくを吹き消しプレゼントを開けて、 そして父は気持ちよさそうに歌まで歌った。 嬉しそうな父を見て私もふんわり幸せになった。 こんな気持ちになるなんてね。 こんなときが来るなんてね。 父も私も年をとったんだなぁ。
今日は賑やかで楽しかった。 それでいいよね。 おめでたい日だもの。 ともすれば思いが流れてしまいそうな 先のことなんて考えないようにしよう。 家族と過ごす一瞬を大切に過ごそう。
帰り際、もらったばかりの花の中から 父は黄色い薔薇を抜いて私にくれた。 「僕が好きな花だから」だって。
| おかりなさい ただいま |
2001年11月21日(水) |
パソコンが帰ってきました。 今回はちゃんと悪いところが見つかったの。 でもそれを直すと8万円もかかるんですって!
でもね。 直さなくてもそこを使わないように注意したら 普通に動くらしいのよ。 それでそのまま返してくれたの。
満2歳を迎えたこのパソコン。 まだまだ若いのにね。 いたわりながら使ってあげないといけないみたい。 それでも直しながら最後の最後まで 「もうこれ以上動きません!」って言うまで 使っていけたらいいなぁ。
パームレストには私の手形のはげができ キーボードの字も消えかけてきたこのパソコン やっぱり愛着があるもんね。 壊れては直し いたわっているつもりが酷使しているのに よくつきあってくれているよね。
今回の入院は前より短かったのに 前よりもっと待ち遠しかったよ。 なんでだろう? ほんと、抱きしめちゃったわ。
この機械のおかげで窓がいっぱい開けたんだもの。 新しい世界を見せてくれて 素敵な友達まで連れてきてくれたのだものね。 感謝。感謝。 大事にしなくちゃ!
おかえりなさい。 お疲れさまでした。 今夜はゆっくり休んでね。 明日からはまた一緒。 どんな世界が待っているのかな。
今日パソコンがまた修理へと旅立ちました。 今度こそ元気になって 戻ってきてくれるものと思います。 それまで少しの間さようならね。
風邪をひいたので今日はお休みさせていただきます。 パソコンもお休みさせてます。
みなさん、お身体を大切にね。
| ガンガンフラフラグシュグシュ |
2001年11月14日(水) |
頭がガンガン。 体がフラフラ。 鼻がグシュグシュ。
お医者さまにいただいた薬が効いてきて 眠くなってきたのでもう寝ます。 きっとガンガンフラフラグシュグシュにも効いてくるよね。
パソコンはブツブツと文句をいっているけれど こっちの治療は明日まで待ってもらおう。
おやすみなさい。
ふたたび向ヶ丘遊園に薔薇を見に行ってきた。 この前つぼみだった薔薇が「はじめまして」の花を見せてくれていた。 午後から曇ると言うので太陽が出ているうちに 「バラのソフトクリーム」を食べた。 淡い薔薇色でほんのり薔薇の香りでとてもきれいでおいしかった。
うーん。あれでまずおなかが冷えたんだな。 それからペットボトルのお茶。 前に行ったときに飲み物が高かったから 今回は冷たいお茶を持って行ったんだ。 それが重くて荷物になるものだから 無理に飲み干してしまったんだ。 そして何より風が冷たかったんだ。
この前とは反対周りに薔薇を見て回ると初めて見る品種がいっぱい。 美しい薔薇たちの間で気分は春のチョウチョ。 夢中になってひとりでふらふら行ったり来たり。 気がついたらすっかりほっぺたも指先も冷たくなっていた。 でも記念にとミニバラを買って、心はほかほか幸せに帰ってきた。
でも、帰ったら動けなくなった。 ガンガン響く頭とティッシュを抱え ふるえる体をガウンとクッションにうずめて ストーブの前でうつらうつら。 風邪をひいてしまった。
楽しくてもきれいなものを見ても幸せでも風邪はひくのね。 パソコンも私に合わせて絶不調だし早く寝ることにしよう。
パソコンから顔をあげると外が明るくなっていた。 雨の音のかわりに小鳥の声が聞こえていた。
窓を開けると流れ込むひんやり湿った新鮮な空気。 あぁ。気持ちいい! 朝からつけっぱなしの灯りとストーブを消して カメラを持って出かけよう。
空はトルコ石の色。 少し斜めになった陽射しは透き通ったレモン色。 熟した柿をつついて飛び回るメジロの姿が 青空を背景にまぶしく見える。 レンガ塀の蔦は緑から赤への無段階グラデーション。 白ピンクワイン色のコスモスについた雫は虹色に光る。 世の中はなんて鮮やかなんだろう。
雨あがりはなにを見てもきれいで光っていて嬉しくなる。 しばらく自分の息が白いのにも気がつかなかったくらい。 明るいけど本当は寒かったんだなぁ。
犬の散歩といくつもすれ違うようになると もうすっかり光はみかん色。 赤い葉っぱが透けて火のように見えた。 ちょっと温もりが恋しくなって インコとストーブの待つ家へ早足で帰った。
| 20年前のふわふわの夢 |
2001年11月11日(日) |
2LDKの小さな家。 その「2」のうちの貴重な「1」なのに、 2階の和室にはめったに入ることはない。 年に1、2度友だちが泊まるときや、着物を着るときに使うくらい。 この頃はとりあえずの荷物置き場にさえなってしまっている。
半年前、妹が2つのダンボール箱を車に積んで持ってきた。 結婚する前に私が自分で荷造りして 実家に置きっぱなしにしていた思い出箱だった。 それはとりあえず和室に置かれ、そのまま昨日まで忘れられていた。
着物の手入れをしたときに、ふと思いついて開けてみた。 わぁ!出てくる、出てくる! 懐かしいけど照れくさいものばかり。 そのまんまタイムカプセル。
ひとつの箱からは、小学校から高校までのお気に入りの教科の教科書。 文集、詩集、家庭科や美術の作品、テストの答案、班日記、 修学旅行のしおり、合宿の写真、クラスの名簿。
もうひとつの箱からは、大事にしていた猫の人形、旅行のお土産の置き物、 作りかけの手芸品、おこづかい帳、日記帳。 それからガラスの瓶と木の箱…?
瓶を手にとってみて、箱のふたを開けてみて笑っちゃった。 インコの羽がいっぱい詰まっていたの。 少女の頃、やっぱりインコを飼っていたの。 パステルのふわふわの羽が大好きで いつか羽枕にしようと思ってためていたのよ。 覚えているよ。 あー。人間って変わらないね。
20年以上前の羽はとてもきれいだった。 ふたを開けるとその頃の空気と一緒にふわりと舞った。 その羽を身にまとっていた小鳥たちはもういないのに。
ロッチと初めて会ったのは小学3年生の2学期の始業式の日。 私は泣き虫の転校生だった。 教壇のまん前に座らされた私に、すぐ後ろの席から 最初に笑いかけてくれたのがロッチだった。 心細さが安心に変わって涙顔のまま笑いかえした。 その日から私たちは友だちになった。 中学3年生のある日、ふたりは私の家で人形を作っていた。 その秋初めて出したコタツに足を突っ込んで 他愛もないおしゃべりをして、小さなことに笑いころげながら。 いつもいつもふたりで過ごす時間は楽しかったけど なぜだかその日は特に楽しくて幸せだったのだ。 それでその日を「記念日」に決めた。 翌春、ふたりの道は分かれていった。 でも私たちの仲は変わらない。 記念日は忘れない。 毎年11月10日にはどちらともなく電話をして 少女の頃にもどっておしゃべりする。 会えなかった歳月はどこかへ飛んでしまう。 離れた距離は縮まる。 私たちは幼くなる。 今年の話題は、ついさっきひょんなことから 何十年ぶりかで出て来た4年生のときの作文のこと。 私はロッチのことを書いていた。 それを電話口で読んでみた。 「そしておとなになっても友だちでいたいと思います。」 たどたどしい、だけど今と変わらない筆圧の強い鉛筆の文字で 10歳の私はそう締めくくっていた。 「よかったね。」 「うん。よかったね。友だちでいられたね。」 「私ジンときちゃったよ。」 遠く広島に住むロッチは 私の耳元でちょっと声をうるませた。
パソコンがごきげんななめ。 写真をいじっているとフリーズするし インターネットはすぐに切れちゃう。 終了しようとしても画面がなかなか消えないくせに 使っているとき急に画面が真っ暗になったりする。 びくびくしながら使っているのは パソコンが入院中のときよりよっぽどストレスがたまってしまう。
「リカバリしてみてください。 それでも調子が悪いようでしたら検査しますので持ってきてください。」
簡単におっしゃるサポートセンターのエンジニアさん。 はい。なんとかがんばってみます。 だめだったら秋葉原のなんとかビルまで持って行きます。 でも先週修理から帰ってきたばかりなのにね…。
かわいいパソちゃん、風邪ひきの私につきあって 少し休めと言ってくれているのかな。 パソコンのごきげんも私の風邪と一緒に早くなおりますように。 明日はこの冷たい雨があがりますように。
今日は着物でお出かけ。 私がもっとも敬愛する男性のひとり お茶の先生の米寿のお祝いのお茶事だったのだ。 本当におめでたい。嬉しい。 場所は霞ヶ関や日比谷に近い大都会。 そんな中に静けさをカプセルに包み込んだような 緑でいっぱいの小さなお茶席があった。 私たちは、丁寧に水を打たれ掃き清められた露地に歓迎された。 青々としたヤツデや万両、竹の香りがすがすがしい。 葉を落とした梅の枝をシジュウカラが鳴きながら飛び交う。 土の壁に揺れる葉の影を見ているとなんだか懐かしい気持ちになる。 ひとつひとつ取り合わせを考えて選ばれた茶器や掛け物。 床の間を飾る花は清楚な白玉(椿)と照り葉。 お菓子やお料理、どれをとっても元気に米寿を迎えられた喜びと もてなしの気持ちがいっぱいにあふれていた。 作法どおりに進める緊張感を伴いながらも 楽しいお祝いの席は進んでいった。 おいしいお酒を何杯もいただいてみんなの顔色が花のように染まった。 お点前や配膳を担当されたのは先生の家の二人のお嫁さん。 甲斐甲斐しい姿を先生の目が暖かく幸せそうに見守っていた。 先生はこの夏、最愛の奥さまを亡くされた。 明るくおおらかで影に日なたにいつも支えになってこられた方だった。 今日の席には奥さまのアイディアもいくつも盛り込まれていると言う。 それを話す先生の声は静かで優しかった。 茶室のそこここに奥さまの気配が感じられた。 黄昏に入る少し前にお茶事は終わった。 私たちは帰る前にひとつずつ内祝いの箱をいただいた。 陶芸もなさる先生はお茶碗やお茶入れ、花入れなどの茶道具もご自分で作られる。 いつもはこのようなときにはお抹茶茶碗を作ってくださった。 「今日は茶道具でなく食器です。これも家内の提案だったのです。 奥さま方にはその方が使っていただけるのではないかと。」 今回の品々は夏に入る前から少しずつ心をこめて作られたのだそうだ。 「みなさんそれぞれ違うのですよ。」 その場で開けたい気持ちを抑えて、みんな大切に持って帰った。
久しぶりの着物と長い間の正座に少しばかり疲れて 電車やバスの中ではうとうと居眠り。 気がつくたびにいただいたばかりの大事な箱が手にあることを確かめた。 家に帰って着物から脱け出てその開放感をつかの間味わい いつもの服に着替えて慎重にそっとに包装を解く。 柔らかい白い紙の中からきらりと草色の肌が光って見えた。
真中に「寿」と彫られた深い緑の丸いお皿には 豊かに実った稲穂がひと房添えられていた。 「米寿」だった。
先生おめでとうございます。 そしてありがとうございます。 これからもいつまでもお元気で。
明日はお茶事。 久しぶりに着物を着て出かける日。 普段の外出はあまり考えずに服を選んでしまうけど着物は別よ。 どれを着ようか、そう多くはない着物を畳に広げて わくわくゆっくり考えよう。
お茶事はお茶会よりあらたまっているけど お祝いの席だから華やかな方がいいでしょう。 季節的にはどうかしら。 鴇色の地に山茶花を描いたこの友禅にしましょうか。
次は帯と帯揚げ帯締めを選ばなくちゃ。 帯はすぐに決まるけど、帯揚げと帯締めにいつも悩むんだ。 いつも同じ取り合わせにしたら楽だけど、 気分や気候で変わるのよね。
絵の具箱のような引出しを抜いて、色とりどりの紐を引っ張り出して。 ジーンズセーター姿の上から着物を羽織り 姿見の前で帯を巻きつけ、帯揚げや帯締めを合わせて見て。
かわいいピンクのふわふわ絞りやシックな芥子色の帯揚げ。 藤色に朱の糸を編みこんだ丸帯締めやきりっと締まる紅の帯締め。 どうしよう。どう思う?
姿見に写った私の後ろに覗いた青空。 そのとき持っていた空と同じ色の帯揚げが目にぱちっと映えた。
これにしよう。 そして帯締めは優しい淡い薔薇色ね。 金色の糸が蕊のように織り込まれているよ。 こんな取り合わせ、いかがでしょう?
今、真っ白な半襟を長襦袢に縫い付けました。 足袋も草履も用意しました。 明日はきちんと早起きしてあわてず支度ができますように。 きりりと冷えた街の中へ背筋を伸ばして出かけましょう。
強い風に回されて 幻灯のような今日の空。 鈍くねずみ色に沈んでいたり。 インコの胸のように青く輝いたり。 羊のように白い雲が群れたり。 太陽が葉を赤く照らしたり。
散歩道、顔にあたる陽射しが淡くなった。 仰いでみたら雲は虹色の真珠貝。 見とれているとコロンと一粒飛び出した。 まっすぐな光が目にささった。
日なたが嬉しい季節。 明日は立冬。
種たち
ぱんぱんにおなかを膨らませた封筒がポストで待っていた。 やっと届いた12袋の種たち。 テーブルの上に扇形に広げてうっとりと眺める。 心はもうパステルの花畑。
こんな時期に蒔くことになってごめんね。 一緒に冬を乗り切ろうね。春には明るく花を咲かせようね。
| 私のパソコンがない日々 その3 |
2001年11月05日(月) |
先ほど、またパソコンがトラブルを起こして 珍しく早く夕方から書いていた今日の日記が消えてしまった。 やっぱり「異常あり」だったよ〜!
気分を変えて、あの目標について。
×1.この1週間の間に球根を植える。 植えるどころか、また買って増やしてしまった。 いつになったら植えられることやら。
◎2.「千と千尋の神隠し」を観る。(他にも観たい映画はいっぱい) 観た! 噂に違わないすごい映画だった。ちょっと怖くてドキドキしたところもあったけど。 いつまでも心に残って何度も思い出すような気がする。 最後の歌声が今でも耳に甦ってくる。 映画は他にも「ブリジット・ジョーンズの日記」を観て大いに笑う。
○3.この秋で最後になってしまう向ヶ丘遊園のバラ園を見に行く。 見て来た! たくさんの美しい秋薔薇の中で夢見心地。また行こうと思っている。 これで閉園だなんて本当にもったいない。薔薇たちが心配。
○4.一眼レフできちんと写真を撮る。 父から譲られたばかりの新しい(実はうんと古い)一眼レフを だいぶ使いこなせるようになってきた。 あの重量感、シャッターの音、絞りやスピードを合わせる緊張感、 ピントが合っていく気持ちよさ、ファインダーに浮かび上がる絵、 やっぱりいいなぁ。 1枚1枚を丁寧に撮るから花や虫をよく見る。呼吸を感じる。 ○5.秋のお菓子作りを楽しむ。 家を訪れてくれた友のためにリンゴのケーキを焼いた。 毎年作っているケーキだから失敗も恐れず楽しくお菓子作りができた。 栗のお菓子も作りたいな。
○6.友だちに手紙を書く。 これはいただく方が先だった。嬉しかった! ポストに手紙を見つけるのがこんなに嬉しいなんて。 だから私も手紙を書いた。 このパソなし期間に買い足したレターセット3組、ポストカード10枚。 失敗して何回も書き直した。
×7.本棚の整理をする。 ダメ〜!整理をする前に本棚の前に座り込んで読みふけってしまった。 昔好きだった本を今読んで、やっぱり大好きだったり あっさり読み終わってしまって拍子抜けしたり。 本棚の整理は半分も進まず。
△8.ずっと読みたかった本を買って読む。 大きな本はやっぱりなかなか買えなくて、 手軽に買える文庫本ばかり増えてしまった。 夫が図書館から借りてきた本「脳男」が意外とおもしろくて一気に読んだ。 △9.作りかけのハーダンガー刺繍を仕上げる。 仕上がりはしなかったけど、めどはたった。 自信がなかったピコットがうまくできるようになってきた。 もう一息!この調子でやってしまおう。
△10.作りかけのキルトに少しでも手を入れる。 少しでも…だから○になるのかな? 本当に少し縫っただけ。 でも久しぶりの布の感触には心が安らいだ。
△は多いけど×が2つだけだからまあまあかな? 思ったよりいろいろなことができて充実した毎日を元気に過ごせた。
番外編 ○11.友だちと楽しいひと時を過ごした。 ○12.ごちゃごちゃのお裁縫箱の整理がやっとできた。 ○13.ビーズのアクセサリーが何個か作れた。 ○14.好きな音楽を「ながら」でなくじっくりといっぱい聴いた。 ○15.早寝早起きの生活ができた。
やっぱり夏休み明けの子供の感想文のようね。 私の夏休みはこうして終わり、気がついたらすっかり秋が深まっていました。
でもパソコン、本当に大丈夫かな…。
| 私のパソコンがない日々 その2 |
2001年11月04日(日) |
あんなに頼っていたのに パソコンがない日々を前にわくわくしているなんて! 目標をどれだけこなせるか そして どれくらいパソコンにのめりこんでいたのか パソコンから離れた自分がどうなるのか 試してみたい気持ちがあったのかもしれない。 大丈夫よ!と自分で自分に強がってみたかったのかもしれない。 でもなぜか、後ろめたい気持ちも少し。
毎日は簡単に過ぎていった。 夫を送り出したあと、家事の合間、外出から帰って、 習慣のようにスイッチを入れていたパソコンがないことに 空振りするような寂しさを覚えたけどすぐに慣れた。 インターネットを知る前の暮らしに戻ったように思えた。
でも前の生活に戻ったようでやっぱり違ったのは ネットで知り合った友たちの気配をいつも感じられることだった。 ひとりでいても孤独ではなかった。 それは心強いことだった。
| 私のパソコンがない日々 その1 |
2001年11月03日(土) |
どうなるかと思っていたパソなし生活。 意外にも自然にふわりと日々が過ぎていった気がする。
はじめはここで宣言した目標のこともあって意欲的。 何をしようか? 夏休みの前の子供のような気分だった。
せっかくパソコンが帰ってきたというのに風邪をひいてしまった。 夢中になってネットサーフィンして なにもかもが刺激的で新鮮で それで知恵熱が出たのだと思ったのだけれど。
今日は炉開き。 暖かく冬支度をしましょう。
今日はやっとパソコンの帰る日。 昼間ご近所さんと園芸店に行って帰ってきたら 不在配達票がドアに差し込まれていた。 「夕方6時以降に再配達します」。 それまでに何をしよう!掃除?読書?写真の整理?夕飯の支度? 落ち着かないこんな気持ち、何かに似ている。 それを考えているうちに日が暮れて玄関のチャイムが鳴った。 おかえりなさい!待っていたよ。
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