冷たい目
まるで大阪を出た当時の再現のよう。
コントロールが効かなくなった。
捨てたと思った薬を見つけたのは、2ヶ月前だった気がする。

医者や薬への不信は捨てられない。
自分に暗示をかければなんだって効く。
15年以上前、自律神経失調症だと言われたとき、
「小麦粉でも粉薬だと医者が言えば効果がある」そう笑った。

4錠残っていた薬を見つめた。
これで楽になるなら薬に逃げてもいいじゃないか。
効くと信じれば、きっと効くはず。

処方された時、まっさきに副作用を調べた。
また同じことをした。
滅多に薬を飲まない私は、ありふれた栄養ドリンクを飲んでも
心臓が踊る。

飲んだ結果は、情けない状態だった。
ふわふわ浮かんだ、身体も頭も。

泣いて彼に話した後、我に返った。
薬を服用するより、このほうがよかった。
私も彼もまた繰り返している。

遠い記憶は、ふとしたきっかけで目の前に再現する。
当時の苦痛を伴いながら。
なのに、ほんの数時間前、彼に話した内容がわからない。

前に言ったよ。
何度も甦るって。
それでもかまわないから、乗り越えようって言ったよね。
なのに、きっと度を越したんだね。
あなたの許容量オーバーなんだね。

彼は私にうんざりしている。
そうなんだと気づいた。
あははだ。
あきれ果てて、疎ましがられてるんだ。

心にブレーキをかけた。
私は極端だから、いつも急ブレーキになってしまう。
徐々にゆっくりを願いながら、私にはできそうにない。
冷えた心を写すように冷たい眼になった。

昔、言ったよね。
辛い時にどうして笑えるのって。
誰にも見せないからだよ。
子供のときからの癖。

急ブレーキをかけて、自分から離れるんだ。
離れたところから、自分のしてることを眺めると
バカな女だって、よくわかる。
たまには目を覚まさないとね。

そしてバカな女とバカな女の相手の男を
覚めた目で見るんだ。

だけど、どんな薬より、その男の声が効果がある。
だからいつまでも繰り返す。

2006年03月12日(日)

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