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うたかた
sakurako

2009年12月10日(木)
Close to JAZZ@晴れたら空に豆まいて

[出演]
坪口昌恭Quartet
{坪口昌恭(pf, effect)宮嶋洋輔(gt)永見寿久(ba)藤井信雄(Ds)}
SHINPEI RUIKE 4 piece band
{類家心平(tp)ハクエイキム(piano)鉄井孝司(bass)吉岡大輔(drum)}
Informel 8
{三輪裕也(Compose,arrangement)松木理三郎(tp)高井汐人(a.sax)荒木真(t.sax)神村晃司(pf)千葉広樹(Ba)小山田和正(Ds)}

最近愛してやまない坪口さんのピアノを間近で聴きたい、というのが最大の動機。
その上宮嶋くんも、藤井さんも、類家くんまでご出演というじゃないか。坪口昌恭QuartetもSHINPEI RUIKE 4 piece bandも不勉強ながら生で聴いたことがない私としてはものすごく心惹かれる。でもぜんぜん詳しいわけじゃないので、小バコに行くのはいきがりすぎというか詳しい方々のお邪魔じゃなかろうか(屋根裏とかだったら平気なんだが(笑))……イベント続きでお疲れ気味だしな……云々、悩みながら降り立った代官山はクリスマス前だというのに全くひとけがない。なんだか不安になって、開演の7時ぎりぎりに到着したというのに散歩して時間を潰すというばかな真似をしてみたり(笑)。おそるおそる入った晴れ豆さんは、大盛況。

Informel 8
入った時は3曲目の半ば、ちょうどテナーのソロだった。混んでたし、あんまり動くのもアレなので、バーカウンターに寄っかかったまま「へーけっこういい音じゃん、誠実な演奏だし高感度大。ホーンが多いのはやっぱ華やかでいいね、頑張って欲しいね」などと(失礼にも)上から目線で考えたり。いやほんと誠実で、いい音でした。HP制作者募集中とのこと。

SHINPEI RUIKE 4 piece band
席が空いたのをいいことに前の方に座らせてもらう。
うっわー……。
確実に3回は鳥肌が立った。類家くんの音は隅々まで神経が行き渡っていて、ダブの時よりも情熱的で、はじめて聴くハクエイキムさんのピアノと相俟って、かっこいいだけじゃない、微かな切なさ、みたいなものが滲んでる気がした。まわりのひとが「すげーな……」と囁いてるのが聞こえる。こういうとこ来る人って、ほんとに好きなんだろうなー。そのひとたちが、自分がすごいと思ったものを「すげー」と賞賛してるのを耳にするのは、なんだか嬉しい。
航空公園、早稲田、に引き続き拝見したお姿を鑑みて、類家くんの私服の好みを推し量る(笑)。背高くて、細いのに筋肉質で、かっこいいよね。草食系に見えて肉食獣、みたいな。「こう見えて前に出たがるタイプですから」ってキクチさんに評されてたけど、前に出る楽器のひとはもう絶対ピッチャー体質だよね。背水の陣……ちょっと違うか、チームを背負って立つ、というのとも違うな、ええと気丈な感じが。

で。
このへんから私、幸せそうなマヌケ面しどおしだったと思う。
雰囲気のいい小箱で、リラックスして、おいしい水をごくごく飲むみたいに、素晴らしい音楽をふんだんに浴びて、軽くお酒を飲んで、健康で、お腹もそんなに空いてなくて。いつまでもこうしていたいような瞬間が確実にあった。至福は坪口さんの登場で最高潮に。

坪口昌恭Quartet
いきなり、しょっぱなの「ロゴス」からがつんと衝撃を受ける。酩酊する。熱狂する。
藤井さん(頼もしいことこの上なし!)と坪口さんの確実性ったらない。オーチャードの時にも思ったが、一音一音が、これ以上ないという状態で届けられる確実性。捨て音なし、というとちょっと意味が違うのかもしれないけど、全部の音が最高の状態という奇跡。を目の当たりにしているという興奮。そして確実なのに、揺らぐ、アンビバレンス。坪口さんHPの言葉を借りれば、エレクトリックとアコースティック。都市と牧歌。人工と自然。律動と静止。ヨーロッパの高速道路を疾走している光景の狭間に、豊かに萌えるみどりの森。宮嶋くん(坪口:「正統派指弾きフルアコギタリスト、25歳なのに演奏はメンバー中一番シブい!」)はやっぱりうまくてびっくりしちゃう。All The Things You Are(さすがに私でも知ってる(笑)。逆にオリジナル曲を知らないのが痛いな、勉強しよう)、アレンジのうつくしいことといったら。垣間見た、永見さんの(坪口さんおっしゃるところの)「ジャズだけじゃない」グルーブ。PITINN歌オンリーの夜はやっぱりどうしたって歌に夢中になっちゃったけど(そして今夜も思い出さずにはいられなかったけど)今夜は演奏に集中。あーほんとにいいなー、小箱コワイとか言ってないで来てよかったなー、来年はもっと曲も勉強して、どんどん聴きに来よう。体験したことは、その時真意がわからなくても、必ず体内に蓄積する。
リズム、ということを考えたりもした。訛りとか。要するにティポの生演奏ってどんだけだったのよ!! ってこと。あーもー悔しい。聴きたかった。ということがないように、足繁く。あとキメラ、とかハイブリッド、とかそういうことも。

終演後も勿体無くてだらだら飲んでたら、類家くんがご自分のCDを手売りしてたり、ポスターを購入者にあげてたり、あちこちで「やーどうもどうも」と和んでいたりして、そのうち出演者も楽器ケース抱えて普通に客席で飲みはじめて、まるで忘年会みたいな、親密な雰囲気になった。「うわー豪華……フツーに今、前通って行ったよ」とぼんやり見上げたりして。そりゃもう関係者でないのがちょっと悔しいというかうしろめたくなってくるほどだった。うしろめたくて、近いのに、かえって声かけらんない。演奏者でないことも残念に思った。楽器経験者(吹けるとは言わない)だと演奏したくなってイカんな、こういう時は。ちょっとせつなくなってしまう。

全く狙ってなかった、期待してなかったと言ったら嘘だけど、やっぱりサプライズ。ちょっと早いクリスマスプレゼントでした。もったいないからプレゼントの正体は言わない。まるわかりだと思うけど、言葉にしません(笑)。10日のうち5日の逢瀬なんて、まるで蜜月の恋人どうしのようではないですか。後ろの方でよかった。前だと追っかけみたいで恥ずかしくて、顔を上げられなかったと思うから(とはいえ最前列羨望だったけど(笑))。
誠実でいい演奏じゃん、なんてのんびり聴いていたら、悠々と遥か上空を往く、桁違いの余裕。決して届かない高みにある深くて甘い音色は、けれど上質の蒸留酒のように、ぴたん、ぴたんと雫を落として、芳香を放ちながら私の中のどこかにしみこんでゆきました。声かけらんないあたりが常識的かつ病気だよな私(笑)。

黒タートルネックセーター(EASTBOY)
赤チェックプリーツミニスカート(EXCENTRIQUE)
茶ライダースジャケット(JaneMarple)

早くも来年の舞台ゲットの連絡などをいただく。しあわせー。