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うたかた
sakurako

2009年12月05日(土)
菊地成孔コンサート2009・第二夜

菊地成孔 ダブ・セクステット@オーチャードホール
special guest:UA

えーと……すっげえジャズだった(言うに事欠いてソレか・笑)!!

鳥獣戯画襦袢(桃)
やつで柄ぼかし横縞小紋(抹茶いろ)
鳥獣戯画染め帯(桃)
くのや絞り帯揚げ(白地に紅梅)・帯締め(白〜赤)

長くなりますが、まずは当日のドレスアップの話から。
こうパーティーが続くと私の乏しいクローゼット在庫もなくなってくるというもので、オーチャードも最後だし、思い切って和服にしようかと企んだはいいのですが、土曜日の天気予報はばっちり雨じゃないですか! しかも当日は降るのか降らないのか、ぐずぐずとした曇り空。うわーどうしよう、3時になっても降ってなかったら着はじめちゃおうか、だって六本木の時結局和服を諦めて後悔したじゃん、いやでも雨の中和服ってかえって(見た目)痛くないか? などと悩みまくり。結局着ましたが。だって一張羅が「濡れても構わない」くらいのパーティーだって、ご贔屓さんはみんな知ってるでしょ? そうでしょ?
結局、渋谷駅からホールまで行くちょっとの間が土砂降りだっただけで、帰りはすっきり晴れたいい夜になりました。キクチさん(自称雨女、お子様を連れている時だけ晴れる、とおっしゃっていたUAさんに)勝ってくれてありがとう(笑)。
ちなみにホールのドレスアップ率は「がっつりドレスアップ」だと1割弱くらいかな。でもよく見るとみんなそれぞれにお洒落してきてる。いいですね、気分が上がって。素敵な和服姿の方も2日目にはいらっしゃいました。花柄の帯とか、ベージュ格子の着物にニット帽をあわせたキモノ姫とか。1日目はドレスが多く、それも素敵でした。シームのストッキングが多かったのは先日のドレスコードのせいかな(笑)。
今日は早く着いたので、ポメリーで乾杯しながら、ビュッフェで上映されていた写真をガン見し、激しく身悶えする(笑)。かっこいー。なんていうか、キクチさんの「被写体としての自分」っていう意識のあり方、みたいのが近頃すごく興味深い。

ポメリー・ルイーズ1998(シャンパーニュ)

二日目の私のテンションはのっけから上がりまくり。Dub Lizからばっさりと、そりゃもう日本刀で斬られたみたいに、やられた。反して、客席の暖まり方が遅かったような気がしたのは気のせいか、それとも雨のせいかな? 特にORBITSの坪口さんが凄すぎた。壮絶。音譜ひとつだけ、たったの一音が、「これしかない」という精度と確信を持って届けられた時の戦慄。坪口さんは見た目がクールなこともあって、逆に内に秘めた熱みたいなものを感じる。と昨日書いたけれど、あの時に声を抑えたほうが快感が増す、なんてオトナな話を持ち出すまでもなく、なんていうか、とにかく熱い。のだよね。この間早稲田で聴いたキーボードも最高にかっこよかったが、ダブでのピアノ演奏は、また別格、格別で、鬼気迫る、と言っても全く差し支えないだろう。パードンさんとの呼吸もばっちりすぎて怖いくらい。鬼気迫る、なのにチャーミング。大好きだ。そして類家くんがどんどんうまくなっている気がする。本田さんの強烈な演奏はもちろんだが、運動量というかスタミナがまずものすごいなと今夜は改めて感心。キクチさん、類家さん、木村さんと、坪口さん、鈴木さん、本田さんが形成するふたつの三角形で描かれたヘキサグラムの中心に、何かが降りてきたとしてもおかしくないような。今夜は歌姫が降臨したわけですけれど。
その歌姫UAさん、さらっと1曲だけだとばかり思っていたら3曲+アンコール1曲も歌ってくださった。ワンショルダーのブルーのセクシーなドレス。特筆すべきは(笑)、彼女のヒールがオーチャードのステージを撃ち抜いたこと(笑)。
キクチさん「何……どうしたの?」
UAさん「床……穴あけちゃったみたい」
キクチさん「うわっホントだ! ……すげえ」
UAさんとのトークも思ったより長くて得した気分(曰く「懐かしき『かみあわぬMC』」)。「UA」が実はスワヒリ語じゃなかった!って話とか、(UAさんの「みんな細くない?」にこたえて)ダブのメンバーが忙しすぎてどんどん痩せ衰えてゆく、とか、「類家くん、UAさんと久しぶりでしょう、ご挨拶は?」とまたしても類家くんが、愛情を持って軽くイジられたり(笑)とか。
Honeys and Scorpionsで悪寒に近いような震えがきて、それがOrver the rainbowで「うっわー…」と止まらなくなる。口開きっぱなしだったんじゃないかと思う、私。
キクチさんは、観客を楽しませて帰すことに徹底して心を砕き、またそれが上手なんだな、としみじみ思う。終わっちゃうのが、ほんとうに、ほんとうに惜しかった。
音に関して、素人ながら。リードミスは今日の方が多かったが、今夜はどうも意図してやってる感が強い。セッティングとリードを変え、昨日はリードミスが出たが、それも飲み込んでこの音でやってく、という強い意思みたいなもの。というのが私の見立て。音質そのものは今日のほうが豊かで柔らかに感じた。

Dub Liz
Susan Sontag
AAAL
Caroline Champetier
ORBITS
Night in Tunisia
Honeys and scorpions
Orver the rainbow
Dub Sorcerer

「オーチャードをはじめた2年前は、世界がこんなことになってるとはさすがに思いませんでした……いっそ全部10円にしたらどうですかね。10円のスーツを買い、それを着て10円のコンサートに行き、10円のシャンパンを飲み、10円のタクシーで帰る……すげえパーティーですけどね、それ」
あとは2日間共通ネタとして、タカトシとか、パーカー万年筆とか。

This city is too jazzy to be in love(スキャット合戦・たまらんっす!!)
MONKY MUSH DOWN

そういえば今夜は青山で大儀見さんのライブだったそうです。昨夜「ここからタクシーでワンメーターですから、私が40台くらい呼んでおきます、一緒に行きましょう……って冗談ですよッ!」なんておっしゃっていたが、今日もサイン会の列がすごく長かったから、キクチさんもさすがに無理だったかな。今夜もお疲れ様でした&ありがとうございました。私は先行発売の映画本にサインを頂きました。よく見たらパーカー万年筆を使っていらっしゃいました(笑)。金色のやつ。欲しくなっちゃった(スポンサーの思う壺・笑)。そして(昨日はレコードにサインをいただいたので「しゅっ」してもらえなかった)今日は本に「しゅっ」してもらったミュグレーが、新鮮な香りで、そういやこういうスパイシーなトップノートだったよなあ、と。私もエンジェル使ってるんだけど、バニラの香りばっかり強くて。つける人が違うと……って話じゃなく半年に一回くらいしか買わないせいでしょっぱなからラストノート状態になっちゃってるのかも(笑)。サイン会は期待してた類家さんたちがいなくてちょっと残念でしたが、全身白スーツのキクチさんが超かっこよかったのでオールライト。ちなみに私、ずっと「キクチさんってもしかして左利きじゃね? 時計右だし、いやーんなんかそれってステキ」と馬鹿みたいに疑っていたのだけど、先日、公式サイトに左利きであることが明言してあるのを発見して「なんで気付かなかったの私」とひとり恥じ入っていた、という過去があるのですが(すげえどーでもいいな(笑))、今日よく見たらやっぱり左手でパーカー万年筆を持っていらっしゃいました。何度もサイン頂いてるのに気づかない私って一体。

夜が終わるのが惜しくて、オーチャードから徒歩4分にあるとっておきの隠れ家ビストロで手に入れたばかりの映画本を開き、おひとりさましてから帰った。雨がやんで、星が出ていた。ああ、終わっちゃったなあ。
鴨のコンフィとフルーツのサラダ・ハーフポーション(絶品。フルーツは季節によって変わるが、今日は苺、梨、ぶどう)
イノシシの自家製ソーセージ
フォカッチャ
有機赤ワイン2杯
……しかしフレンチのビストロ、という認識でずっといたけど、フォカッチャだよなそういやこの店。イタリアンなのー? どうなのー(笑)。

昨日・今日が「最高の演奏記録」の更新であったか? という問いを、ずっと自問自答していた。昨日までは「そうかな、ペペは春の恵比寿が革命的で衝撃だったし、ダブのリキッドもかなり暴動だったじゃないか、本当に、自信と確信を持って、そう言えるのか私?」と。でも今日こうして感想を書いていると、やはり過去最高に素晴らしいライブであった、と思うようになってきた。どのあたりが、というのは今後おいおい言語化してゆけるのかもしれないし、できないかもしれない。とにかく今日は乾杯しよう。20世紀最後の12月に、出逢えた僥倖に、乱世に、官能に、憂鬱に、エレガンスに、エロスに、健康に、そして来る21世紀に。

乾杯。

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