VITA HOMOSEXUALIS
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私はこの自称医学受験浪人生が好きになったかと言われれば、そうでもなかった。
彼は私のことが気に入ったのかもが知れないが、それは貧乏人である私が彼の豪奢な生活のことごとくに驚き、感嘆してみせたからであろうと思う。じっさい、木造のぎしぎし音を立てる私のアパートと、瀟洒な鉄筋コンクリートの彼のマンションとの間には雲泥の差があった。一度彼は私の部屋に来た。物珍しそうに調度も何もない煤けたアパートを覗いていたのを覚えている。
それでは、さほど好きでもない彼と私はなぜ長い間付き合ったかと言えば、それは全くセックスのためであった。
彼のペニスは大きかった。引き締まった腰に蓄えられたエネルギーが全部ペニスに集約されているようであった。
それは大きくて、よく濡れた。私と彼が舌をねっとりと絡めてキスをするとき、彼の腰から手を入れてペニスに触ってみると、たいていそれはぬるぬるした粘液にまみれていた。
彼は乳首をよく感じた。乳首をいじっているとじきにぷくんと硬く盛り上がる。私がそれに舌を這わせると彼は熱い息をもらして喘いだ。
彼はちょっとしたことで泣いた。それは全く彼のナルシシズムを示しているようであった。彼の態度が気に入らないときなど、ちょっと強く私が文句を言うと、彼の目にはうるうるした涙が湧き上がり、それはすぐに目から溢れ出て頬を伝った。
そんなとき彼は決まって鼻水を垂らした。それは涙が鼻に溢れてくるのだったろう。両方の鼻の穴からにじみ出た鼻水が真ん中で合流してつうっと唇のところまで垂れることもあったし、涙の勢いが強いときは両方の鼻の穴から二本の光った鼻水がついと垂れ下がることもあった。
彼と私はあらゆるセックスの遊びをした。たいていは私が彼の部屋を訪れ、簡単な食事をする。ビールを飲むときもある。それから少しテレビを見る。それも私の部屋にはなかったものだ。それからシャワーを浴びる。シャワー室には二人で入る。二人で裸になってシャワーを使いながら、お互いの体を愛撫する。
私たちは勃起したままシャワー室を出る。今度は彼のベッドルームに行く。そこはいちおう勉強部屋のはずなのだったが、大きな机が所在なげに放ってあるほかには、数冊の参考書とマンガ以外に本らしいものはなかった。
私たちはお互いに裸のままベッドに転がる。それからキスをする。頬と言わず、首筋と言わず、唇も肩も乳首も、すべて吸い尽くす。その口はそれからだんだん下半身に下がってくる、そうしてへその周辺を舐め、少し湿った陰毛の叢にたどり着く。
私は彼の股を広げてやる。彼は膝を立てる。彼のペニスはもうびくびくと隆起している。私はそれを頬張る。
私のベニスも勃起している。私はそれをいくぶん乱暴に彼の口の中に突っ込む。彼は喘ぎながら舌でそれをなめ回す。
私は彼をひっくり返す。彼の股を開く。米印のような形をした肛門が現れる。私はそこにくちづけをする。舌先に力を入れて肛門を舐め、その中に舌先を押し込もうとする。彼は悲鳴のような声をあげる。
私たちはほとんど肛門性交はやらなかった。手か、口か、股でイクのだった。
お互いに二回か三回か果て、再びシャワーを浴びなければならないほど汗と唾液で体がぬるぬるになるまで、果てしなく私たちの性戯は続いた。
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