獅々丸の雑記帳
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2004年10月30日(土) 映画デビルマン

観てきました。観よう観ようと思っていながら、実は心の奥底で『観なくていいや』なん
て思ってたりもしたのですが……観てきました。
主な理由は2つ。
ひとつ目はどうやらテレビ版ではなく原作版を映画化したらしいということ。
ふたつ目は公開後の評価があまりにも悪すぎること。
このふたつの情報からちょっと心配なことがあったんだよねぇ。
だから無い金かき集めて観に行ってきました。

原作版デビルマンとしては0点。

役者が下手だとか、映像が全体的に資金不足風だとか、そんなことを言ってるんじゃ
ありません。
原作版デビルマンは単行本で5巻で完結します。この5巻を2時間で読み且つ内容を
理解する人はごく僅か、いや多分皆無だと思います。
その原作版を映画化した、しかもどうもデビルマンの誕生から死までを描いたらしい
と聞いたので心配だったのです。
的中しました。
短い時間に全てを終えようとしたために物語が偉く難解になってしまい、まるで原作の
エッセンスの継ぎ接ぎ、それでも全然時間が足りない感じです。
原作を知っている私は元からある知識で補填しながら映画を観ることは出来ましたが、
デビルマンを知らない若しくはテレビ版しか知らない人は『何を伝えたいのか?』が全く
分からない作品だと思います。
だから点数はなし。

点数はなしであることを前提にもう少し書こう。
2時間に収めるために話が設定と違かろうがそんなのは大した問題じゃない。しかし、
映像化するのであれば、これは描かないと駄目だろう?という点を。
まず、明はなんでデビルマンになった?これは明の決意、つまりそれからのデビルマ
ンとしての生き様を決める大事なシーンのはずです。ところが映画ではまるで大きな
精子のような“デーモン”に襲われて合体=デビルマンの出来上がり!ですよ。偉大
なるデーモン族の戦士アモンが大きな精子ってのはどうよ?私はすでにここで崩れ落
ちてしまいました。
次に、デビルマンは『愛』の話しである。それは原作版でもテレビ版でも同じだ。私が
デビルマンをまるで偶像崇拝的に熱狂するのは、子供ながらにその『愛』の姿に感銘
したからに他ならない。
ところがこの映画ではデビルマンの愛をシレーヌの愛をサタンの愛を最期まで感じる
ことが出来なかった。
特にシレーヌの章ではそれを語るに欠かせないデーモンの存在すらカットされていた
ことに驚いた。
これじゃシレーヌを出す意味が無い。
それとミキちゃんの生首シーンが原作通りにあったのにはある種の感動を覚えたのだ
が、この生首をね、持って歩くんですよ、それも随分長い間、さらに明の姿のままで。
つまり映像的には人間が人間の生首を大事そうに抱えて彷徨うシーンとなります。私
には明が異常者に見えました。
ハルマゲドンが始まってから最期の決戦、上半身だけの姿になって笑いながら死んで
いくデビルマン(明)の件はもう何が何だか分からんでしょうな。私は脳味噌の記憶の
引き出しをバッタンバッタン開け閉めして映像を補完しましたよ。酷く疲れた。

良い点。
寺田氏がコンセプトデザインしたデビルマンは格好良かったです。ただ、これも数ある
原作版デビルマンの中では格好よさでは片手からは漏れちゃうでしょうね。同じ寺田氏
の描いたデビルマンでも以前に描いた物の方がさらに格好良かったです。しかも資金
不足なのか、デビルマンでいる時間が異常に短い。明とデビルマンの中間っていうの
かな?要は俳優さんにメイキャップを施した姿で闘うのが多いの。あれは何マン?
まさかサナギマンだとか言わないよな。(笑)

救われた点。
この映画には明とミキのカップルの他に、もう一組のカップルが登場します。明と同
じようにデーモンに憑依されながら人間を失わない女子高生と、両親がデーモンにな
ってしまった男の子。このカップルが良いです。女子高生はデーモンに憑依されたこ
とによる懼れそして暴走、さらに遂には覚醒するまできちんを順を追って分かりやす
く表現され、彼女に守られる存在の男の子との絆もどんどんと強くなっていくのが良
く分かります。
まるでデビルウーマンです。こっちが主人公だよ!でも良いくらい。
それと、以前にも描いたけど、hiroの唄う主題歌が良かった。なんか清涼飲料でも飲
んで全てを忘れよう……と救われましたね。って、忘れちまうのかい!?

デビルマンはね、大人が読んでも駄目な作品なんですよ。あれは子供心に感じる作品
なの。色んな知識を得た後では作品の解釈が濁った物になってしまう。だからいくら
俳優達に読ませても駄目なんです。私が監督なら俳優達には読ませない、スタッフは
子供の頃デビルマンを読んだ人で固める、そしてその時に感じたモンを役者に伝えて
作品を作る。
観た人に『デビルマン』を伝えるにはそういう作り方しかないんじゃないかと思います。
それと全部作りたいなら少なくとも3部作くらいにはしましょうね。
いっそモチーフだけ借りての痛快娯楽作品とかにした方がストレートに楽しめるかも。
(これはもはやデビルマンじゃないけどね)
変にこだわったためにデビルマンじゃない娯楽映画としても楽しむことが出来ない救
われない映画でした。


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