ソラリス日記
海月猫



 シャングリラを後にする

世の中に溢れるラブソングに
もう何十年も使い古された言葉達が
未だに使われているのには
それなりの理由があったんだ。

そんな事に気付かされたのは、
ずっと前、生まれて初めて
恋人と別れるという経験をした時だった。
ヒットチャートの歌たちに、
今まで馬鹿にしてごめんなさいと思った。

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どうやらタイムリミットが来てしまったみたい。
君の中でキッチンタイマーがぴぴぴと鳴って
君の中で暖め過ぎていたミルクは吹き零れ
君の中でオーブンのリブ肉が鉄板に焦げついた。
嗚呼、何て本当に
気長に待っていてくれたのだろう。
結果の出せない当のあたしは
早々と君を諦めていたというのに。

終わったものだと覚悟を決めていたおかげで、
君からの連絡を期待もせずに
ただただ受け止めるだけの日々でした。
不安になる事も無く、少しよぎる淋しさも誤魔化し、
そして君がただ、今だけの淋しさを埋める為に
連絡をしている事も何となく気がついた。
終わりがそう遠くない事を何となく悟った。
でも今の目の前の事だけを、ただひたすらにこなす日々。

君の気持ちが離れ始めてようやく
当初の目的が果たされようとは。
何と言う皮肉。何と言う悲劇。
というかむしろ喜劇。
人生にはよくありがちな、よく起こり得る類のあれです。
Oヘンリと星新一を足して
ジャンクフードで割ったみたいなやつです。

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鳴らない電話にこんなに悲しくなるなんて。
案の定いつもみたいに、誤魔化したフリして
誤魔化し切れていなかったみたいです。

地に足の着かない、責任も一切無い、
穏やかな軽やかな楽しくて切ない毎日を
どうもありがとう。
どう転んでも1番にはなれないらしい、
というのが目の前で解ってしまった恋というのは、
切ないやら届きたいやらでまるで学生みたいでした。
楽しかったけど、切なさはもう二度とごめんだー。

去年もこんな風に失恋気分ではなかったですか?
4月、だめバイオリズムなの?いい季節なのに。

2009年04月20日(月)
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