蜂蜜ロジック。
七瀬愁



 思いつき※(意味なしSS)

※息抜きがてら書いた下らない他の話に関係のないSSです。
微妙にアホエロ路線を目指したら、おかしなことになってしまいました。
18禁傾向はここではNGということで、そこは削除。加筆修正したらジャンクにでも放り込んでおきます。
どうか見逃してやってください(汗)






日本人の基本は正座だ。
でもって、あたしも現在正座中。
いやいや違うか。したくてしてんじゃないのね、これ。
何て言うの? 切羽詰まると何だか知らないけど、人間礼儀正しくなるモンらしいね。

「えーと。…もう一度言ってくれると助かるんですケド」

これで何度目か分からない台詞を、あたしは繰り返した。
現状を再確認。
あたしはベッドの上。もちろん自室。でもって眠る気だったから、キャミソールのワンピを着た格好。
うん、ここまではイイ。オッケー。
問題はその次だ。

「や。だから、あんたにとり憑かせて欲しいって、こーやって頼んでるだろ」

そう、コレ。
原因コレ。
何がってこの唐突に現れた、コイツ。

「言ってる意味がーわかんないんですけどー」
「ああ、あんたよくよくアホか? それとも人をからかってんのかよ」

はい、それコチラの台詞なんですけど。

「だから、何で…」
「わかんねぇ女だな、俺はな、てめぇンとこのバカ教師にだな、フクシューするっつってんだろ」

ユーレイくんハタチ。どこをどう見ても品行方正には見えない姿よろしく、不良街道まっしぐらをその年でも突っ走っていたそうで。
いかにも無敵、と顔に書いてあるしね。
いつものように側道をバイクで走らせていたそんな彼の頭に、頭上が予期せぬモノが降ってきて。

「それがウチの担任が歩道橋から投げた缶コーヒー?」
「そのせーでこーなっちまったんだろーがっ」

そんな漫画じゃあるまいし。
ネタだよ、ネタ。
だいたい復讐したいんなら何もこっちこないで、真っ直ぐ向こう行けっての。

「何か言ったか」
「…いーえ」

頭をふるふると左右に振るあたし。こういう人形あったな。
「それでー」と、相変わらず正座したままに、宙に浮かびっぱなしの相手を見上げた。

「とり憑きたいと?」
「やっとわかったか、バカ女。細胞どんだけ無駄に殺していってんだよ、殺すぞ」

何なんですかね、この性格の悪さ。妙に具体的に人の細胞についてコメントまで頂いちゃってるし。
むしろ死んで正解なんじゃないんでしょうか、コノヒト。

「あ?」
「いーえ」

ガンつけやめてください。

「わかったらさっさと寝ろ」

は。何で。
呆けて見上げるあたしの顔を見て、相手は苦く舌打ちした。

「意識ある内はとり憑けねぇんだよ、そんなの常識だろ。ほんと何にも知らねぇ女だなオマエ、いっぺん死ねば」

いえ、ご遠慮いたします。
というかお言葉ですが、知らなくて当然だと思うのはあたしだけでしょうか。

「はーやーく、しろ!」

って言ったって。

「そ、そんな急に寝れない…」

無理です。突然現れたユーレイのせいでただでさえ興奮してるってのに。
だいたいこんな状況でいきなり爆睡できる女ってのもどうなんでしょう。

「あー、まあそう言われちゃそーだけどな」

腕を組んで妙に納得する彼。
うん、そのままどうか成仏していただければ嬉しいんだけど。

「バカ、復讐もしてねえのに成仏できるかっ」

いえ、あの、思考を読まないでください。

「じゃあキゼツしろよ、そしたら一発だ」

名案を思いついたとでもいわんばかりに、掌をぽんと打つ。そんな動作、今時漫画でも見ないような。意外と古風だなこいつ。
というか。

「気絶ってそっちのほうが難しいと思うんだけど」

自慢じゃないけど、生まれてこのかた、気絶なんて一回もしたことないし。随分無茶言う幽霊だ。

「殴れば一発だろ、すぐ済むぜ、じっとして…」

あっさりと腕を振り上げる彼。

「…ちょ、ちょっとタンマ!!」
「なんだよ」

残念そうな顔をするな!

「い、痛いのは嫌だもん」

もうこの際、憑くやら憑かないやらはおいといて、暴力は反対。断固反対。痛い思いするなら、絶対憑かせないと豪語したあたしの剣幕に驚いたのか、幽霊はしばらく腕組み――また古風だ――して、考えたあと「あ、そーだ」とこっちを向いた。

「キゼツできるイイ方法があった、あった、忘れてた」

死んでおいて思い出すやら忘れるやらややこしいな、ユーレイって。
にやり、と不敵に笑う。それに何故か背筋が寒くなるあたし。

「な、なに。痛いのはヤダから…っ」
「痛くねーって。それどころかマジ最高って言わせてやっから」

…ものすごく、不安な台詞。

「…え、いや遠慮したいんですけど…」
「遠慮すんな」

します。思い切りします。
世界最高の思い付きをした、とでも言いたげに近付き、彼はあたしを組み敷き。

「ちょっと待って!」

なんというか、もはや目的変わってませんか、コレ。

「待てねえな」
「ありえない!」

不穏な空気を払拭するために、どうやらあたしは今宵、死ぬほどの抵抗をしなければならないらしい。

ああ、あたしが何をしたっていうんだろう。ついてない。いっそ、あのバカ担任呪ってやろうか。


【END】

2007年12月17日(月)
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