One And Only
DiaryINDEX|past|will
今、隆さんは彼女さんとデートの最中。
きっと二人で美味しい食事をしながら楽しい会話をしているのだろう。 多趣味の二人だから話題は絶えないだろうし、共通の趣味の話で盛り上がっているだろう。
出かける直前まで私は自分の気持ちを正直に話した。
「二人でいる時間が満ち足りて幸せな分、 ひとりの時間はものすごく孤独な感じがして寂しい。」
私の髪を撫でながら聞いていた隆さんからは、私の発した言葉に対する返事は出てこなかった。
『どうしようもないんだよ。』
声にならない隆さんの言葉が聞こえた気がした。
無言のまま外出する支度を始めるから、私の感情も高ぶり始める。
触れようとする隆さんの手を払い、「触らないで」と言ってしまった。 もう居なくなってしまうのだから温もりなんて残して欲しくなかったから。
すごく悲しそうな隆さんを尻目に私は自分の殻に閉じこもった。
間もなく隆さんは部屋の扉を抜けて玄関を開け行ってしまった。
これが現実なんだ、と。 どうにもならないし、この先どうにもならない。
携帯に映る二人は幸せな表情をしているのに。
心の余裕を取り戻したい。
幸せになりたい、のだ。
のぞみ
|