ヒルカニヤの虎



 この景色のなかをずっと

■ライス単独ライブ‘己的好選 2008〜2010’ 2010/09/12/Sun_19:30-@京橋花月

お笑いって何だろう?
昨日の問いに簡単な答えが返ってきました。
それはたとえばバナナマンでラーメンズで、そしてライスだ。
ライス単独、すばらしかった!心のなかでスタンディングオーベーション。

シュール5やageageやシチサンで見てきたライスはたしかに実力派だったけど、それでも私はライスを見くびっていました。ライスは単独こそ見るべきだった。バナナマンやラーメンズのように。バナナマンと同じ高さで拍手したのはヨシモト芸人ではおそらくライスが初めて。ライスファンにはとても失礼な言い方になってしまうけど、私なりの最大級の賛辞です。カリカや犬の心は「違う」。ライスはいずれ、このままいけば「並ぶ」。
ライスをKOC2回戦落ちにした日本のお笑いは相変わらず絶望的に見る目がないけど、バナナマンや東京03くらい待ったら、希望の花が咲きそうです。これは楽しみ。

タイトルはちょっと曖昧。
・OP:銃撃戦ダンス
・ピンク
・生物の不思議な求愛行動
・よいお日柄で
・エロイ
・ショップ
・イメージ
・攻めまして日米
・それいけ!しろっぺ
・僕ら

ブリッジはこれまでの単独のOP。お得!
どれもよかったけど、鳥獣戯画がとくに凝っててセンスよくて唸った。
関町登場で「キャー!」と叫ぶ客がだれもおらず、ただただ笑いだけが起きていたのでよかったです。きのうの不安は杞憂に終わった。ライスはファンに恵まれている。彼らのような東京らしい笑いは大阪では生まれえないので、またぜひ来てほしいです。だいすきだ!
来年の単独は何としても行く。


以下、どうしても覚えておきたい備忘録。
※ライスの基本はエロとグロです

・OP:絶叫して許しを乞うのにピストルで撃たれまくる関町。なぜか右肩だけを集中的に。撃たれるたびに笑う客もなかなかですね。撃たれても撃たれても死なず、そのうち銃撃音がリズムと化し、音楽が流れ、キレのあるダンスを踊りくるう関町。そこに素肌に白ジャケットと蛇皮のパンツといういでたちの田所も登場、踊りくるう。なにこれ斬新(笑)
・ピンク:ピンクの小道具しか用意できなかった、というライスお得意の縛りコント。美術館の壷を窃盗した2人組の強盗が逃亡のための策を練る。壷もピンク、鞄もピンク、血のりまでピンク。ラストはピンクの照明のなかで撃たれた関町のシャツを田所がひきちぎり、瀕死の身体をかきいだき頭を寄せるというホモピンクなサービス展開だったのですが、会場からは歓声どころか若干ひいた失笑が起きていました。うん、微塵も萌えないね。お笑いはこうであってほしい。途中でピンクのワインを強引に飲まされそうになった田所「はしゃぐねえ」関町「大阪やさかい!」でた地方サービス。
・生物の不思議な求愛行動:自然界の求愛行動を人間が模しておこなうコント。田所が男で関町が女。フウチョウやガガンボモドキ、ブルーギル、シロナガスクジラなど。田所さん動きがゲスい。
・よいお日柄で:これちょっと書き起こしとこう(これから見たい人は読まないほうがいいです)。
時期はお盆。ひぐらしが鳴く夕暮れに関町さんちにやってくる田所さん、でも関町は不在。後から入ってきて驚かせる関町、「お前はいっつもそうなんだよ!」とキレる田所。1年ぶりに会う2人は遊ぼうぜ!と子どものようにふざけて戯れる(寝転がったのを飛び越したり、電気按摩したり)。次は目隠し鬼をしようという関町。鬼が田所。「探しはじめるときはこれ叩いて合図な」という関町。田所は箱机に向かって正座して目をつぶる。隠れようとする関町に何度も「どっかいくとかナシだからな!」と念を押します。「行かねえよ!」という関町、あんまり何度も振り返って念を押すので、洗濯機に隠れかけたのがバレる。他のところに隠れようとして関町はソデにはけ、鬼の田所は合図の何かを叩く。「チーン」とひびく鐘の音。でも田所はいっこうに関町を探さない。正座したまましばらく合掌。そして関町のいない舞台でだれかとしんみり話しはじめます。「ありがとうございました」「なんだかあいつと遊んでいたような気がします」そう、お盆なんだ。「どこにも行かねえって言ったくせに」独白して、暗転。
あそびの部分で笑えば笑うほど、オチがきれいにオチる。いいコントだー。これはバナナマンが演じたのもぜひ見てみたいなと...。
・エロイ:エロがパニックホラーになる、発想のすごさ。8年ぶりに生まれ故郷に帰ってきた関町は、親友の田所に「街に変わりはないか?」と聞きます。「変わらないよ」という田所。関「○○子は?」田「何にも変わんねえよ、おっぱいが大きくなったくらいかな」×2。関「...お前、変わったな...」街をぶらぶら歩く関町。すると駄菓子屋がアダルトショップに、床屋が大人のおもちゃ屋に、本屋の本がすべて官能小説に。「どうなってるんだ!?」なじみの八百屋のおばあさんは黒光りするナスや極太のズッキーニを推してくるし、「これは僕の生まれた街じゃない... !!」パニックになる関町。ホテルに飛び込むと部屋の照明はどピンク。フロントに電話をかけるとホテルマンは真っ最中で、「ちくしょうよろしくやりやがって!」←これいいセリフ。そこにやってくる田所。怯えて泣いている関町に「俺たち親友じゃないか」とハンカチを差し出す。警戒して広げたハンカチは、パンティではなく正しくハンカチだった。よかった!関「そうだよな、パンティだなんてこと、あるわけないよな!」田「そうだよ、パンティは拭くものじゃなくて...かぶるもんだよ!」帽子をとった田所さんの頭部にはパンティが!関「キャアアアア!」のっぺらぼうの構成。うまい。
・ショップ:携帯電話=時限爆弾な世界観。「かける」ではなく「しかける」。水に濡れてしまった時限爆弾をショップに替えに行き、新規契約をお薦めされる田所。関町のショップ店員の演技が絶好調すぎて始終笑いが起こっていました。なんかむかつく(笑)
・イメージ:監禁されている関町。アジトを吐くためにさまざまな拷問を受けるのですが、肝心の拷問シーンは暗転でイメージ映像のみ流れます。睾丸をつぶす→水風船を割る、爪をはがす→オセロの白が黒にひっくりかえってゆく、眼球をえぐる→アイスクリーム屋でディッシャーがアイスを丸くくりぬく、顔面を硫酸につける→パーシャルデントに入れ歯を入れる。ついにアジトを吐く関町。でも最後に得体のしれない拷問マシーンにかけられてしまう※ベルトコンベアーでちくわが作られたり卵が割られたりする映像。笑ってる客もなんだかすごい。
・攻めまして日米:舞台の上手が高校生サッカーの日米親善試合、おそらく東京。下手が太平洋戦争の特攻隊、おそらく北九州(ものすごいエセ訛り)。ライスの2人は右から左へ、左から右へとめまぐるしく移動し、2つのまったく違う物語がアイテムによって触発されて展開していく。赤紙、レッドカード、日の丸弁当、うさぎとび、酒、零戦など。ちょっと昔のラーメンズが得意としていたような、構成勝ちのコントです。これもすごい。
・それいけ!しろっぺ:シュール5の本公演でやってたので、あらすじは書いた気がする。なので略。しかし2回みてもひどい(笑)
・僕ら:東京からやってきた野球少年(田所)と、地元の野球少年(関町)が広場で出会い、反発からやがて仲良くなり、バッテリーを組んで熱い友情をはぐくむ。ある日ピッチャーの関町が来なくなり、1人で練習している田所。そこに久しぶりに関町がやってくる。無邪気に「練習しようよ!」と誘う田所。でも関町はもうここには来られないという。先天性の病気で、もう立っているのがやっと。それから僕らは二度と会うことはなかった――。で、暗転から明転すると、大人になった田所が息子とキャッチボールをしている。遠い思い出にすこし涙ぐむ父。キャッチボールの間隔がだんだん短くなっていき、補球音がリズムと化し、音楽が流れ、また踊りだす田所。これはOPと対になってるんですね。シルクハットに正装で出てきた関町も踊りくるい、さらにジューシーズ3人が登場。ここで本日最大の歓声があがっていました。児玉はKABUTOの衣裳、赤羽はOPで田所が着ていた白ジャケに蛇革パンツ、松橋はきのうのかつーんの衣裳。きわだって児玉のキレがよい(笑)それぞれが踊りくるって、キメておわり。

1時間半と短かったのですが、非常に充実したライブでした。
客席から「ひえええ」や「おお!」と恐怖と感嘆の声が上がるライスのコント。グダグダのEDでも言ってましたが、なんでこれがKOC2回戦落ちになるのかしらね。
終演後、大阪初上陸だというmythmさんと合流して京橋のホルモン屋で総括。いつもお世話になります。今浅草花月が熱い、ということを教えてもらった。また東京にも行かねば!

2010年09月12日(日)
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