ヒルカニヤの虎



 自分の限界をそこに見るから

なんばグランドキュートン本公演見てきたー。
聖バレンタインの夜、聖地・なんばグランド花月に単身突入。
NGK2階席を含めてほぼ満席だった気がする。男女比は1:1ぐらい。そしてなんだかすさまじい客席の一体感(特にキュートン演舞のとき)。歓声がすごくて、あらびき団流れのキュートンファンって多いんだなと実感する。みんな!せめてアホマイルドを覚えて帰るんだ!
席が中央4列目の通路横だったため(絶好のしんじ乱入スポット)、とても無傷では帰れまいと覚悟を決めていました。なのにしんじは前日リハで足首骨折、ギプスで登場。なんということだ!野獣待ちだったのに!
でもBコース・ハブ先生とどりあんずとふくろとじ(ともうひと組知らない若手)が東京から来てくれましたありがとう。総じて非常にハイレベルだったと思う。延々2時間半、笑い過ぎて疲労困憊。

あらすじ
1)開始5分:キートンさんのふさふさのケツ毛を至近距離で凝視
2)漫才とコントのブリッジネタ:Bコース・ハブ大先生の新ネタ(脳に寄生するキノコに知性を吸い取られ「兄弟舟」がど下ネタになっていってしまう鳥羽一郎)に女客ドン引き
  ※泣くほど笑ってたのは一部の男と私
3)中盤:ただやりたいだけのゲロネタに連続ビンタされたきもち
4)終盤:おりものシート「さらりえ」を額に貼って客全員がビームと叫ぶカオス
  ※メンバーの口で溶かされたキットカットを口うつし&髪や顔面になすりつけられないための護符(入場時に全員にくばられた)
5)大団円:NGKのホールいっぱいにさらりえが舞い、客と芸人がさらりえを投げつけあう醜態
6)そんな殺伐とした舞台の最後にバレンタインチョコを投げ込んだ女性客にときめいた

その他
・ブリッジのショートフィルム:本当にすばらしかった。どれもこれも全部よかった。なかでも「ハトモネア」と「溶接」が強く心に残っています。これは断固見るべき。
・漫才とコントはあんまり覚えてない。あ、キートンさんのエアーデーモン小暮には絶句しました。エアーあややを凌ぐ完コピ。聖飢魔鵺のMCのあたたかさに惚れた。
・ゲロネタ:おいしくいただきました。ふくろとじのパンツを上にあげるハンドパワーは馬鹿でよい。鬼奴のエヴァは「みんなよく待つなあ」と私も思った。くまだまさしは細マッチョを舞台の隅っこで。どりあんず平井は陶酔しながら納豆巻きを食う。最後の一言が余計だった残念!その相方はサーフボードを言葉攻めしながら亀甲縛り、自分で笑っちゃいかんよ。温かい目で見守った。ハブ先生は「熊野古道」で、ひとつ目の妖怪が卵をひとつ産み落として去っていきました。わっと湧く会場。ここで確信する、客席9.5割があらびき族だ(別にいいんですけどね)(敵ではないが仲間でもない)(鳥羽一郎のきのこで笑え!←根に持ってる)
・キュートンルーレットの前に「天国に行きたい」ネタだったのかな?これも非常によかった。こういう抽象的で絵的なネタはアホマイルドさん発信なのだろうか。天国と地獄に振り分けられるまえの笑顔が秀逸。
・キートンさんの蟻の門渡りはどこで見えちゃったんだっけなあ...
・キュートンルーレットの演舞で終わったらきれいだったのに(しんじ動けてないけど)、と途中思いましたが、キュートンニュースの後のさらりえ騒動がクソくだらなすぎてどうでもよくなりました。デコにさらりえ貼ったの初めて。

公演後、会場中に散乱するおりものシートを見た清掃のおばちゃんの顔面がこれ以上ないほどひきつってたので、もう二度とNGKでキュートンを見ることはないでしょう。これはもう聖地NGKに対する冒涜である。陵辱の限りを尽くしてくれたので、私は全然いいと思います。貴重な機会に参加できてよかった。しかしこれを快く思わない大阪人も実はけっこういる(例:センパイKさん夫妻)。NGKは一部「お笑い好き」のためでなく、休日のおじいちゃんおばあちゃんと孫、あるいは地方の団体客のための、普遍的な笑いのハコであるべきとの謂いも一理あります。まだおじいちゃんや孫を笑わせられない若手が上がっていい舞台ではないし、アングラサブカルの有象無象が侵食していい場所でもない。だってわれわれにはルミネやうめだ花月(現・京橋花月)以下があるから。
でもキュートンは、あれはあれで最大の敬意を払ったんじゃないかと思うんですがどうでしょう。

また全然違う話で、なぜ大阪という土地からキュートンが生まれなかったのか?笑いの聖地で私はそのことを残念に思い、悲しいとも思った。今の日本のお笑いのどんづまりは東京なんではないか。だって東京にはどこにも逃げ場がないから。どんづまりは何かを生む。東京への風通しがよすぎる今の大阪では、ああいう芸はもう育ちようがないと思う。東京に行くのがダメなんじゃなくて、東京に行ってソフィスティケイトされて馬鹿が馬鹿でなくなるのが悲しい。私たちはもう諦めることに慣れてしまって、でもいつか帰ってきてくれたらと願ってたりする。万が一ダウンタウンがNGKで漫才やったら、そんときはさらりえ投げてやる。


あ、元気です。

2010年02月14日(日)
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