水切りカゴの上の包丁を片付けようとして、手に取ったときに、ふと、それが調理道具ではなくて、自分を傷つける道具に思えた。その一瞬の感覚に、自分で驚いて、そして、笑った。あなたには見せない。絶対に見せない。こんなわたしの表情は、月の裏側。包丁を、そっといつもの場所に、しまいながら。