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 お婿にいった四+カカのお話
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  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
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2018年10月22日(月)
テキーラ・サンライズ 14)


 よくわからない敗北感に打ちのめされそうになりつつ、その夜は帰宅した。

 カカシさんの恋人探し、それはまぁ、いい。いやよくはないが、まぁ、いいとしよう。昔から、あれこれの噂の絶えないひとなのだ、今さらだろう、とも言える。

 相手が下忍だと言ったのは、ガイさんだ。前から噂としては流れてはいたが、確定したのはその発言がきっかけだ。
 だが、裏付けはない。そんな状態で、相手らしき下忍に該当する者がいない、ということになれば、ある程度、騒ぎにはなるだろう。
 そこまでは、百歩譲って、よしとしよう。

 ただ、カカシさんに近づいて情報を得ようとした他里の隠密ではないか、などという話、これはまずい。
 もしそんな噂が広まったら、ほんとうに他里から隠密だか暗部だかが、便乗して乗り込んでくる可能性もある。

 こうなっては、上司である三代目に事情を説明したほうがいい、と決心するまでに半日かかった。
 もっと早くそうすれば良かった。だが、まさかあの悪ふざけが、こんなことになるとは思ってもいなかったのも事実だ。

 里内警備を終えた足で、ボクは火影執務室に向かった。
 叱責はもちろん、謹慎も減俸も覚悟のうえだ。ただ、巻き込んでしまったゲンマさんやガイさんのことだけは、なんとか考慮してもらおう、そう決心して火影執務室の扉をノックした。

「入れ」
 言葉に応じて扉を開くと、三代目がデスクから顔をあげた。
「ああ、やっときおったか」
 笑顔を向けられて、言葉につまる。
「まあ、よい。テンコの正体を公表するつもりかの?」

 とんでもない、とボクは思わず首を振った。

「すみません。こんな騒動になるとは思っていなかったもので」
「今回のことは、そもそもカカシの発案なんじゃよ。事前に打診があった。ちょっと炙り出したい相手があるから、とな」

 ボクは言葉を失った。ゲンマさんは言ったではないか、別動隊が動いていると。
 ボクは暗部が動いていなかったことで、あれはカカシさんの独断だと思い込んでいた。が、そもそもカカシさんが個人的に誰かに何かを頼むことがあったとしても、独断で部隊を動かしたりするはずがない。
 最初があの茶番劇で、いろいろ調子が狂っていたとはいえ、そんなこともわかっていなかったのか、ボクは……暗部失格だ。

「あやつは根っからの忍だからの。不穏な空気には人の何倍も敏感なんじゃが」
 はあ、としか言いようがなかった。最初からカカシさんが関わっていたのなら(ゲンマさんもその可能性は指摘してはいたが)、漏れなくボクのことは織り込み済みだろう。
「テンコが出てくるかもしれない、とは、思っていたようじゃが、さすがにこんな騒ぎになるとは思っておらなんだようじゃの。けっこう人気者なのに己については、かなり鈍感での」
 フォフォと笑われて、ボクは返す言葉もない。

「大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫、とは?」
「いえ、カカシさん、いずれ上忍師になるんですよね。噂が影響したりなんてことは」
「それは問題なかろう。いくら下忍と言っても、そこまでバカでも無責任でもない。今回のことは下忍と中忍の一部で噂になっているに過ぎない。もちろん、火消し役も動いておる。そのうち収束するじゃろう」
 それから三代目は、ちょっと気の毒そうな顔をした。
「ただ、テンゾウには、可哀そうなことになるかもしれない、とは言っておった」
 ダメだ決定打だ……ボクはいますぐ暗部をクビになりたい。

「……根……ですか?」

 ゲンマさんからは一応、否定されていたのでためらいはあったが、思い切って口にした言葉に、三代目は口元を引き結んだ。

「……の、可能性もある。が、別の可能性もある」
 別、ということは……ご意見番、か……。
「いや、両方が別々に動いた、という可能性さえある」

 ……そういうことか。結局、そういうことか、とボクは悟った。

 だったら、その標的はカカシさんではなくて、ボクなのかもしれない。いや、カカシさんとボクの結びつきこそが、ターゲットとなっているのだろう。

 ボクとカカシさんに関して、暗部のなかでも、もちろん面白く思っていない者はいただろう。けれど、それは暗部のなかだけの話で、外には出ない。
 今回、カカシさんとボクの噂が、暗部の外にまで広がったのが問題なのだ。いや、外にまでというよりは、積極的に暗部の外に広めようとした、と言ったほうがいいかもしれない。
 
 ボクたちは“暗部”という、謂わば閉鎖された世界に生きてきた。
 が、カカシさんは、上忍師になるべく暗部を抜けた。
 暗部が楽だとは、もちろんいわない。だが、狭く閉ざされた世界ではある。何事も、その狭い世界のなかで始まり終わる。それが暗部だ。
 だが、カカシさんが暗部を抜けて上忍になったことで、ボクたちの歯車はゆっくりゆっくりずれていっている。

 ボクたちの付き合いという個人の問題にとどまっている分には、まだいい。だが、上忍として公の存在になったカカシさんには、きっと様々な方面からの思惑が絡んできているのだろう。
 そして、ある意味、カカシさんとは立場上切れたボクの立ち位置も、また微妙になってきているのだ。唯一の木遁遣いとして、そして唯一、九尾を制御する能力を持つものとして。

 楽しかったなぁ、と今更ながらに思う。あの日のバカ騒ぎ。
 何が可笑しいのか大笑いして、何が楽しいのか肩を組んで、わいわいと騒いだ。
 もう、あんな時間を持つことはないだろう。
 いや、一度あっただけでも、儲けものかもしれない、と前向きに考えることにした。

「いずれ、落ち着くであろうから、あまり気に病むな」
 まるで慰められるような言葉に、ボクは礼をして立ち去ることしかできなかった。

 妙にシンとした気持ちで、数日を過ごした。
 ルーティンとなっている里内警備を淡々とこなす。暗部のあるべき姿だ。

 噂のその後については気になったが、わざわざ探りに行くことはためらわれた。
 いつものカカシさんにまつわる噂同様、あれこれ尾ひれがついたりしつつ広まるにつれ、どんどん原型から離れていっているようだった。
 噂というのがそういうものなのかもしれない。それに何時もの常で、ある程度、拡散すると不思議なことに次第と収束に向かう。
 新しい情報が出てくるのでなければ、結局は飽きるのだ。噂とはそうしたものだ。だから、三代目も「気に病むな」とおっしゃったのだろう。
 
 この日は夜番だったので、申し送りをして帰宅したのは朝だった。
 人がみな、その日の生活を始める朝……ボクはこれから眠るだけ。
 ドアを開け、ため息をついて。

「お帰り〜」
「えっ!! な」
「お帰りって言われたら、ただいまでショ」
 靴を脱ぐ暇もなく、ボクは抱きしめられた。