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 お婿にいった四+カカのお話
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2009年02月15日(日)
カカシとテン子のバレンタインデイ 1)


「おまたせ!」
銀色の前髪で左目を隠したカカシさんがボクの前に立つ。
いつもの任務服ではなく、私服。それも「デザイナーズブランドのスーツ」と呼ばれる異国風の姿だ。
細身に仕立てられたシルバーグレーのそれは、光の加減で時々青みがかった光沢を見せる。
かっこいい……思わずため息をつくボクに、差し出された手。
「ホラ。オレたちはカップルなんだから」
睨まれて、ボクは差し出された手に仕方なく自分の手を重ねる。
「さ、テン子。行くよ」
ついでにボクの服装は、チャコールグレーのシルクのドレス。背中が大きくあいているが、前は胸元から喉までレースがあしらわれている。カカシさん曰く、そのレース越しに透けて見える肌が色っぽい、んだそうだ。
そんなこと、知るか、と思う。思うが言えない。

ここは火の国のとある街の、とあるホテルのロビー。
本日、この由緒正しいホテルの宴会場、欅の間において、世界規模で事業展開する「とある大企業」の新社長就任のパーティーが開かれることになっている。
そしてボクたちは、そこに参加する要人の暗殺を依頼された。
いや正確には依頼されたのはカカシさんで、このパーティには夫婦での出席が義務づけられているため、相方に選ばれたのがボク。
絶対、カカシさんが女性役のほうがいいと思うのに、そして依頼主もそれを期待してカカシさんを指名したのだろうに、なにゆえ、ボクがテン子なのだろうか?
ついでに説明すると、以前、任務の必要上、ボクがカカシさんの恋人役の女性に変化したときの名前がテン子だ。もちろん名付け親はカカシさん。
なぜだかテン子を気に入ったカカシさんは、その後、プライベートでもちょくちょくボクをテン子に変化させて遊んでいる。
だからと言って、ボクが喜んでそのお遊びに付き合っているとは思わないでもらいたい。
仕方なく、時には嵌められて、ボクは心ならずもテン子役を務めているのだ。
だが、今日は任務だ。仕方なく、などと言っている場合ではない。

何しろ、おめでたい席での血なまぐさい任務。
そして依頼主こそが、新しく就任する社長なのだ。そしてターゲットは彼の養父にして、この会社の役員でもある。
「その場では、死んだとはわからないようにしてほしい」
つまり、持病かなにかで倒れたふうを装って、会場から外に連れ出せ、と。
彼とターゲットの因縁を聞けば、まあ、無理も無いと思うが、その辺は虐待も絡んだ、相当、えげつない話になるので省略する。

会場はきらびやかに着飾った男女と、接待役に駆り出された社員たちで、かなり混雑していた。
前社長からの挨拶に、新社長の挨拶、そして乾杯。
ボクらもシャンパングラスを掲げて乾杯する。
ひじまであるシルクの手袋をはめているボクは、細いグラスの脚がうまく摘めずひっくり返しそうになったが、まずは滞りなく、会は進行していた。
しばし歓談の時間となり、ボクらも適当に皿にオードブルを取り分ける。食べはしないが。
「やあ、これはこれは」
新社長自らがボクらのところにやってくる。
かれを囲む人の輪も、いっしょについてくる。
「来て下さった、ということは、今回の依頼を受けてくださると?」
カカシさんは、新社長が計画している新社屋建設に際して、デザインを依頼された建築士、ということになっているのだ。
「いえ、まだ検討中です」
これだけを聞けば、カカシさんがデザインを請け負うかどうか、まだ検討していると聞こえるが、これは符丁だ。
まだ、準備は整っていません、つまりターゲットとはまだ直接、接触はしていません、という意味だ。
ターゲットは少し離れたところ、前社長を囲む輪のなかにいるのは確認済み。
ボクらがそちらを見ると、ちょうどこちらを見たターゲットと目があった。
「ああ。専務。専務からもぜひ、お願いしてください」
依頼主はさりげなく、養父を呼ぶ。
年齢の割りに細身で鍛えられた身体をしているのがわかった。若い頃はかなりの剣の遣い手だったと、調査資料にはあった。
「おお。建築士のえっと……」
「ミスター・フィールドですよ、専務」
「そうだそうだ。異国の方のお名前はなかなか覚えられなくて」
で、? とその目がボクを見た。爬虫類に皮膚を舐められたみたいな悪寒が一瞬走る。
あの三忍のひとりと、似通ったタイプなんだ、と思う。
「妻のテッンッ……ゲホ」
ボクは、ヒールでカカシさんの足を踏む。
「ティエン? おお、東洋のお方か?」
勝手に勘違いしてくれて助かった。
「ご主人も、大層、見目麗しいが、奥方も、若き日のジーン・セバーグを彷彿とさせる美しさだ」
どうも、とボクは愛想よく微笑む。
「グラスが空ではないですか」
専務はトレーをかかげているボーイを呼び、ボクらに新しい飲み物を手渡す。
「では、改めてお近づきのしるしに」
和やかにグラスをかかげるボクら。
「あのデザイン画はすばらしかった。引き受けてもらえないのは、何か、金銭的な点で問題が?」
「いえ。そうではなく、建設予定地の地盤が当初、お聞きしていたのと多少、様相が異なっておりまして」
などと、会話しながらボクらはさりげなく彼を誘導して、人の視線から外れる、けれど決して物陰などではない一角で立ち止まった。
「地盤が?」
「地盤の問題は、強度に関わりますので」
いいながら、カカシさんが前髪をかきあげ写輪眼を露にする。
ぎゅんとそれが回り、ターゲットがよろめいた。
「専務? いかがされました?」
グラスを落としガックリ膝を付く彼に、しかし、意外とひとは気づかない。
先ほど飲み物をサーブしてくれたのとは別のボーイが、「大丈夫ですか?」と寄ってきた。
「めまいでも起こしたようです。外のソファーで休ませてもらってよろしいでしょうか?」
ボクらの関係など知らぬ彼は、身内とでも思ったのだろう。
「それはけっこうですが」と言ってから「医者を呼びましょうか?」と言った。
「いえ。妻は医療の心得がありますので」
口からでまかせもいいところだ。いや、嘘は言っていないか。忍はみな、ひととおりの心得はあるのだから。
「ただ、その。社長に一時、退席する旨をお伝えいただけますか?」
「かしこまりました」
ボクらは、宴会で酔っ払った親戚の伯父さんを介抱する親族よろしく、両脇からターゲットを抱えて宴会場を出た。
「大丈夫ですか?」
などと言いながら、カカシさんはターゲットをソファに座らせる。
ほどなくして、専務の側近らしき男性ひとりと、その部下らしいのが数人やってきた。
「もうしわけございません。専務もお年を召して、めっきりお酒に弱くなられたもので」
「楽しくお話されていたのですが」
そこでボクがしかつめらしい顔で付け加える。
「ただの貧血だとは思いますが、念のためかかりつけのお医者様に見ていただいたほうが」
「ありがとうございます」
言って「おい」と部下を振り返る。
倒れた上司を抱えて立ち去る彼らを見送って、カカシ先輩は影分身、ボクは木分身を置いてあとを追った。