7畳半

2008年02月11日(月) たしかこんな感じの話をした

月曜日。
16:30起床。
「あ、やべ…今日東京でも行こうと思ってたのに…」

元彼女からの着信履歴。

コール音。

「はい。どしたん?」
「いや、なんか電話あったけど。夜中。どしたん。」
「いや、別になんでもないよ。」
「…そっか。いまどこ?(なんか周りうっさいけど)」
「ん?立川〜。」
「そか。なにしてん?」
「今から映画みようかなと思って。」
「まじ!俺も今日行くとこだったんよ!けど今起きてさ〜…」

…え?うぁ、いや本当だけど、言っちまった。

「え〜、きなよ〜。なにみる?Lか乙一みようと思ってたんやけど。あと、他人のセックスを笑うなとか」

…え?

「え、ちょ、いっていいん…?」
「だめなん?来んのん?」
「いやいや…ほな行くわ。レイトショーになるやろうけど。すぐ準備するな。」

……………
急に張り切る俺。
特急使って早くついた。

「はい。」
「…あ?なんこれ、くれるの?」
「うん、いきなりくるから、あわてて買っちゃった…」
「昔の男になぞやるもんやないやろ。…まぁ、ありがと。」
「手作りじゃないけどね。ま、ゆーちゃんには十分だよね。」
「…うっさいわ。まぁ、ほんとこんなふられた男なんぞにご丁寧に有り難うございました。いやぁやっぱ優しいねぇ。」
これ、嫌味じゃないから。
…文面に書くときついな(−−;

上映まで2時間。
「ご飯、食べよっか。」

蕎麦屋による。
鴨汁蕎麦と焼酎蕎麦湯割りと、天丼蕎麦を頼む。
うまいな。
そして蕎麦湯はやっぱうまい。つゆを溶いて全部飲み干した。
そんな俺は爺くさいと静かに笑われ、いつものような柔らかい空気が流れる。


たった一週間なのに、ずっと会ってない人みたいに、話すことがいっぱいあった。
錯覚かもしれない。
けど、今まで話した女性との会話の中で一番楽しいと思えた。


外に出たら、自然と手をつないでた。
「なんか…」
「まるでつきあってるみたいだね〜」
「だぁ〜も〜、それは〜…うん、まぁそうだね。」
でも、うれしそう。
距離を測りあうかのような、互いの微妙な力加減が初々しい。


映画を観終わってからも、互いの距離が離れない。
たまに、腕にしがみつく彼女。
いつものような、ちっさいこみたいな甘え方。
離れると忘れると思ってた。
もう迷わないと思ってた。
けど、会ってわかった。
迷わない。
でも、考えが反転した。
やっぱり、この人じゃないといけない。
それはふられた側のあまりにも傲慢な我侭だけど。
話してるうちに、この人の人間性が見えてきて、それがあまりにも広くて。
それでいて誰よりも波長が合って。

このままあやふやなままで戻る気はないけど。
話す時間はたっぷりある。

家についてから、しばらくして。
(それまでベッドの上でテレビみてた。付き合っていないとしたらなんて不思議空間なんだろう)
「お風呂はいる?」
「ん?あ、いいの?うん」
「じゃはいろっか」
「え?」
「あかんの?」
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい

あかんて。

「いゃ…、一緒に?ちょ…っと待って。うちら、別れてるけど。」
「…?…あ、ごめんいつもののりでつい…」
「まぁいいや、ユニットやしな。お湯張ったなら二人で入らんとあかんやろ。俺も正直昨日風呂入ってないから…甘えるね。」
まぁ彼女は基本天然なんで、細かいとこはいつもどおりスルーっす。
変なとこ大雑把だから楽ではある。

でもなぁんか、おかしいよね、これ。
なにこの不思議空間。

同じ布団に入ってるし。
二人が言ったのは同じこと。
「今日はほんと楽しかった。ありがと」
でもお互いこれで戻ったとは思ってなかった。
「ごめんな。いつもこんな楽しかったのに、俺が一度怒ったばっかりに。」
「そうだね。あれがなかったらずっと仲良くいれたのにね。
こっちも悪とこはいっぱいあったよ。
でも怖かった。
だからそっちにちゃんとした決意がない限り、やっぱり無理。」
「俺は、やっぱりエリの好きなゆーちゃんでいたい。」


「…けど、戻るならお互いの悪いとこ直さないと変わんないよ。だから、そっちも人見知り直してな。ちょっとでいいから。」
「…むりかも。」
「いや、俺も頑張るんだから。大人になるってのはやっぱ我慢することだと思う。もうお互い二十歳越えてるしな。俺は、エリの理想なら受け止められると思う。そっちがその気なら。」
「難しいけど、がんばる」
「ま〜そのおかげで浮気とかないわけだけどな〜、程々でいいから、まぁ人としての生活に支障をきたさない程度に♪」
「うん。

なんか、ずっと悪いことしたなって思ってた。」
「ふった分際がなにをいうか〜はは」
「忘れたのかなって、思うと怖かった。」
「忘れるわけないやん。そりゃ、忘れようとしたけど、結局、まぁ期間が短かったけど自分なりにずっと考えてたらすごい濃密な一週間だった、結局わかったのはエリが一番いいってことでした。」
「…お互い、一週間が限度ってとこなんかねぇ。」
「残念ながらね。かわいそうに、呪われてんなお前」
「そっちでしょ〜。かわいそうに」
「はいはい、これからもよろしく。もっと大事にします。」


「ねぇ、」
「んん〜?」
「チョコ、リベンジしていい?」


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万田 倫 [MAIL]

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