暗闇で目を閉じる頬にあたる風の色は眠った街の黒い色秋の始まりの夜にそおっと舟を出す見なくても感じる鼻先に湿った草をかき分け 吹いてきた風のニオイ揺れて ささやく水の音やがて葦に覆われた川面に月がひと筋 明かりを落とす長く 続く そちらのほうへと秋のほうへとみんな 何も話さず黒い陰と 揺られて行く秋のほうへと