高くたかく月が天にあがるころ電気を消した暗闇に現れる一匹のオオカミワタシの布団の足元で長くながく伸びをする旅を終え黒い海原に横たわる孤独なクジラチカチカ夜光虫が縁取る山のような波のうねりに身をまかせうねりの数を数えながら目を閉じる月は天からすべてを照らす街も海もすべての夜を照らしているオオカミは足をたたんで昔ばなしの夢見て眠りクジラは罪滅ぼしの旅へと再び出掛ける夢を見る