カゼノトオリミチ
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今朝は、乾いたつめたい風が吹きました。
日が昇り始めた頃、ひゅううう〜と、裏の小さな林を揺らして…
思いもかけない程の、強くて、冷たい風が吹き抜けました。
寝起きの顔には、気持ちよかったです。
こんな秋を知らせる風が吹くと、昔住んだ遠い場所のことを、思い出します。
冷たい春も、短い夏も、洗われるような秋も…氷のような冬も。
美しかったです。 特に秋は…
息を吸い込むと、身体中が透き通ってしまうような、キレイで冷涼な風が吹きました。
背の高い樹は、みんな黄色や赤に紅葉し、その葉がいっせいにカサカサと、風に揺れます。
夏は短くて、空が高くなったな、と思うと、あっという間に秋になりました。
ある日。 乾いた、北からの風の便りが届きます。
そのうちに…オイルヒーターのニオイが部屋に流れ、チン、チン、と音がします。
そして灰色の冬がやってきます。
あの頃は、毎日が必死で…
今にして思えば、もっともっと、色んなモノを、拾い集めるコトが出来たのではないかと…
もったいなかったような、気もします。
でもあの時は、あれで精一杯だったです。きっと。…だから、いいんだと思います。
というか、それしか出来なかったのだけれど、…気取るものも、隠すものも、
…つくろうものも何も無く、ありのままの自分でいたような気がします。
いつの間にか今年の夏も、消えて行ってしまいました…
季節は、夏から秋に、変わっています。
natu

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