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オトメな気持ち - 2006年01月25日(水) 予定より少し早く到着してしまったので、メールで待合わせの場所を駅から近い喫茶店に変更してもらって、そこで待つことにする。 ウィークデーの夕方から夜に変わる時間。 一日を終えて帰宅前に一杯とくつろぐ人と、夜はこれからと街へ繰り出す前に一杯の人々で喫茶店はほぼ満席状態。 仕方なく中央の大きい円形テーブルに相席しようと、マフラーをはずし、コートを脱いでいると、ちょうど目の前の二人掛けの席がぽこりと空いた。ラッキー。 淹れたてのカフェオレに息を吹きかけて、温度調節しながらひとくちすする。ふぅ、やっとくつろげる体勢になったと小さなため息ひとつ。いつも持ち歩いている大きめの肩掛け鞄から、最近友人に借りたハードカバーの短編集を取り出す。 気づくとテーブルの上に置いた携帯がずるずると微妙に位置を変えている。メールの着信バイブ。 「今でた」という彼の会社からここまでは約20分。短編ひとつくらい読めるかな。そう思いながら、背表紙から繋がっているしおり用のクリーム色の紐をたぐり、ページを開く。 開いた。 開いたはいいけれど、困ったことにちっとも内容が頭に入ってこない。字面を目で次々と追うだけで、内容は理解できても集中できない。 デートの前にこんなに緊張するのは久しぶりだ。 緊張している自分を認めたくないから本を開いたのに、かえって逆効果だった気がしてきた。 官能表現の多いこの作家の文章は、視線を落とすだけで活字に印刷された性を彷彿させる単語が次々と視界に飛び込んでくる。 ……愛撫…… ……サディスト…… ……尖った乳首…… ……唾液の跡…… ……欲情の気配…… ……絶頂…… ……痙攣…… ああ、だめだだめだ。もうやめよう。 眉間のあたりにもやもやと溜まってきたものを振り払うように、パタンと顔に風がかかるくらい大きく本を閉じた。ところに、待ち人登場。 姿を見た瞬間、心臓がきゅっとなったけれど、目線が合った時には、にっこりと片手をあげる余裕もあった。 よしよし、自分。いい感じ。 高揚する気持ちの半分を本と一緒に鞄にしまいこんで、ほどよく冷めてきたカフェオレを立ち上がりながら一気に飲み干して、彼の元へ小走りに駆け寄った。
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