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【ことのはじまり】最新版 - 2005年12月07日(水) あぁ、少し飲み過ぎてしまった。 気づいたらホテルのベッドの上で服を着たまま体を丸めていた。 ****************************** いつか一度ゆっくり話をしてみたいと思っていた彼から、タイミング良く飲みに行こうよと誘われた。 待ち合わせの駅の構内の喫茶店で、ホットコーヒーの横に携帯電話を置く。ガラス張りのウィンドゥの外は家路を急ぐ人々と、これから夜の街へ繰り出す人々とでごった返している。 ぼーっと眺めていると人の流れに酔ってしまいそう。 ふと視線を落とすと携帯電話のメール受信のマークが点灯している。『あと5分で着きます』と彼から。律義だなと思わず顔がほころぶ。 なんだか楽しい気分になってきた。デートっぽい。ふたりで飲みに行くんだからデートなのかな。ま、どっちでもいいか。楽しく飲めれば。 ほんのちょっと待ち合わせの時間に遅れたことを申し訳なさそうに謝る彼を好ましく思いながら、適当な店を見繕って入る。 こういう時の私の嗅覚は、自分で自分を誉めてあげたいと思うことがある。今夜もきっと正解。落ち着いた照明と静かな店内。個室に区切られたテーブルでメニューを見れば、お酒の品揃えで料理にも期待して良さそうだと確信する。 何より。 この「デートっぽい」雰囲気が楽しい。 初めてふたりきりで話す程良い緊張感が、驚くほど弾む会話でどんどん解きほぐされてゆく快感と、グラスの中に注がれた普段よりワンランク上のアルコールの良い香りが、私の体をふわふわと軽くしていってくれる。 話したり、笑ったり、相づちを打ったりに夢中で、デーブルに運ばれてきた趣向を凝らした料理に箸をつけるヒマがない。 「あんまり食べないんだね」という彼の言葉に「胸がいっぱいで」と軽口もはずむ。 一瞬、彼の瞳の奥に艶っぽい光が宿ったのを、持ち上げたグラス越しに確認したけれど、もちろんそこは気づかないふり。 お手洗いに行って戻ってくると、先にお会計をすませておいてくれた彼が、個室の入り口で私の上着を持って待ってくれている。 少し視界が揺れてる…かな。歩くと酔いがまわるってほんとだね。と照れ隠しの笑顔を浮かべて紅い頬をしたまま彼を見上げると、目を少し細めて微笑みながら、羽根のように軽いキスをひとつ私の唇におろしてくれる。 甘いけれど甘すぎない。私好みのデザート。 ****************************** 目を覚ました私の気配に、小さくなっている私の全身を包み込むように、彼が背後から抱きしめる。 …あったかい。 思わずもれてしまった満足気なため息は、存外に艶を帯びていて、彼は私の顔にかかった髪をひんやりしたしなやかな指先で耳の裏にかけながら、耳たぶに唇をつけて「おはよ」と声をかける。 その熱い息と声の振動が私の体を自然にくねらせて、それに合わせて彼の手がカットソーの下から差し込まれたのは自然の理。 これからどうなるか、この先どうするか、なんて誰にもわからない。なんていう都合の良い言い訳を判断能力の欠如した頭でぼんやり考えながら、体の欲するものを欲しているとき与えられる悦びは何ものにも代え難く、本能のままにカイラクニミヲユダネテみようかな、と。
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