歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年06月23日(月) 違和感がある派手すぎるプレゼンテーション

最近、診療はさほど忙しくないのに外部での講演や講義などの準備に手一杯の歯医者そうさんです。本来なら本業である診療がもっと忙しく、少しでも多くの患者さんに来院して欲しいのですが・・・。

それはともかく、最近は歯の健康や予防について話をする機会がちょくちょくあるのですが、その際必ず用いるのがパソコンです。企業ではプレゼンと称して様々なプロジェクトなどの説明にパソコンとプレゼンテーションソフトを使用することが多いようですが、我々歯医者業界も同様です。
以前であればスライド作りは手間、暇がかかり大変な作業でした。今ではパソコンとプレゼンテーションソフト、プロジェクターがあれば誰でも簡単にプレゼンテーションを行うことができます。我々歯科業界でもノートパソコンを持ち込んでプロジェクターに接続して、症例報告や講習会、学生向け講義や市民向け講演会などに頻繁に使用しています。

このプレゼンテーションですが、最近ではプレゼンテーションソフトの多機能化から様々な趣向を凝らしたものが作られるようになりました。アニメーションや音声、映像などを取り入れ、何か短編映画を見ているかのような演出のものが数多くあります。僕自身、その演出ぶりに思わず感嘆の声をあげてしまうようなプレゼンテーションにしばしば出会います。
その一方、僕は趣向を凝らしたプレゼンテーションに対して違和感を覚えることも多々あります。なぜなら、あまりにも趣向を凝らしすぎたため、何が言いたいのか、何をアピールしたいのか?問題の本質が見えてこないものがあるからです。いろいろと派手な演出のプレゼンテーションを見終わってから結論を見てみると、大した内容ではなかったり、新しい知見がなかったり、何を訴えたかったのか理解に苦しむ場合があるのです。
それよりも、紙一枚に簡単な模式図が書いてあり、それをもとに口頭で説明を受けた方がはるかに理解しやすく、印象に残る場合があるのです。

僕の独断かもしれませんが、プレゼンテーションの演出が派手なものは内容がたいしたことがないものが多いように思えてなりません。あまりにもプレゼンテーションソフトの機能が多様化してしまったため、発表者はついつい演出にこだわり、本来の目的である内容の吟味を充分にせず発表してしまうようなことに陥っている場合があるように思うのです。
かつての学会発表で用いたスライドは非常にシンプルなものでした。濃紺、または黒い背景に白文字や白線で書かれた文字やグラフを見て、真剣に内容を吟味し、発表終了後の意見交換や討議には発表の本質に迫った議論が多かったように思うのです。

ケースバイケースで、適度な演出はいいでしょう。例えば、僕自身、小学校低学年に講義をする際には、電子紙芝居が如く、適度に演出をしています。彼ら、彼女らはまだ幼いわけですから、大人と同じような講義というわけにもいかず、飽きさせずにわかりやすく、論点を伝えるためには適度の演出は仕方がない、むしろ必要不可欠ではないかとは思います。

色とりどりのスライドに関して、見た目は非常に鮮やかで格好が良く、第一印象に訴える意味では効果的だとは思います。しかしながら、見た目だけを考えてプレゼンテーションを作ってしまうと本当に大切な物が見えなくなってしまう。最近のプレゼンテーションを見ていると、どうもプレゼンテーションの本質が失われているものが多いように感じる、歯医者そうさんでした。


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