歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年07月23日(月) 性差がある入れ歯話

入れ歯というと何か中性的なイメージがあるかもしれませんが、入れ歯にも性差というものがあります。入れ歯を装着する人が男性であれば男性風に女性であれば女性風に作る必要があります。

それではどうやって男性風、女性風に入れ歯を作っていくのでしょう?それは人工歯に鍵があります。人工歯の中でも前歯の人工歯にポイントがあります。

前歯の人工歯の形は人の輪郭の形に相似します。入れ歯を装着する人の顔が卵型であれば、人工歯も卵型にちかい形状のものを、角ばった顔の形であれば、人工歯も角ばった形のものを選択する必要があります。そもそも、人工歯にはいくつもの色、形のものが用意してあり、患者さんの輪郭や色によって最適と思われるものを選択することができるのです。
当然のことながら、入れ歯を装着する患者さんが男性であれば、男性風の人工歯を用意します。歯の大きさはおおきめで角ばっているような形の人工歯を選ぶことが多いです。一方、患者さんが女性の場合、人工歯も角がとれた丸みを帯びた人工歯を選びます。
こうした前歯の人工歯を適切に選ぶことにより、入れ歯は男性的にも女性的にも作り上げることが可能なのです。

最近、この入れ歯に関して、僕は患者さんからある指摘を受けました。それは、入れ歯をはずしている時に保管する保管箱についてです。
これまで、うちの歯科医院では下のような入れ歯の保管箱を用意し、患者さんに配布していました。







よく入れ歯をはずして保管する場合、コップの中に水を浸して保管する人がいますが、悪くはないとは思うのですが、入れ歯を使用していない他人からみるとどうもグロテスクに見えるきらいがあります。また、入れ歯を保管しているコップは何かの拍子で倒れてしまったり、割ってしまったりする可能性もあります。
このようなことを防ぐために、入れ歯には専用の保管箱というものがあります。入れ歯の大きさに合わせて作られたプラスチック製のものです。蓋を開け閉めできるようになっています。これであれば、入れ歯は外から見えませんから、他の人が入れ歯に対して違和感を抱くようなこともありません。また、入れ歯を密閉したプラスチック容器の中に保管しますので、保管箱を倒したり、落としたりしても入れ歯に傷がつくようなこともありません。

この入れ歯用保管箱ですが、先日、入れ歯を作った女性患者さんに勧めたところ、ある指摘を受けました。

「先生、入れ歯用保管箱はいいとは思うのですが、他の色のものはあるのですか?主人の入れ歯用保管箱が水色ですから違ったものが欲しいと思いまして。」

鋭い指摘でした。正直なところ、これまでうちの歯科医院では入れ歯用保管箱は水色のものしか用意していなかったのです。水色の入れ歯用保管箱が一種類あれば、男女の患者さんの区別なく事足りると思っておりました。
ところが、入れ歯を装着する人は家庭の中で一人だけとは限りません。複数の人が入れ歯を使用しているケースも多々あります。そのような人たちが同じ入れ歯用保管箱を使っている場合、入れ歯用保管箱に名前を書くだけでは区別しにくいところもあるかもしれません。

また、それよりも、僕が改めて患者さんの指摘で気づかされたことは、入れ歯用保管箱にも性差があってしかるべきではないかということでした。入れ歯に性差があるのなら、保管箱も性差のことを考慮するべきではないか?考えてみれば当たり前のことを今まで僕は気がつきませんでした。そこで、僕は女性用の入れ歯保管箱を手配しました。







実は他にも入れ歯用保管箱にはいくつも色があるにはあったのですが、あまり色を多種そろえると在庫がでてきても困るところがあります。人気のある色はいいのでしょうが、人気の無い色の入れ歯用保管箱がいつまでも残る結果となりかねません。当分の間は男性用入れ歯用保管箱は水色、女性用入れ歯用保管箱はピンク色のもので対応することにしたのです。

これまでうちの歯科医院で販売している歯ブラシ類に関しては性差を考慮していたのですが、入れ歯用保管箱までが気が回りませんでした。反省しております。


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