My life as a cat
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2018年09月15日(土) 天使の時間




イタリアのリグーリア州サヴォーナ県にある海辺の小さな町アラッシオ(Alassio)を訪れた。車を停めて辺りを散策する。ビーチに石が敷き詰められているフレンチ・リビエラとは違ってこちらは砂浜。歩きやすいのはいいが、水が濁っている。まだ海水浴をする人々で賑わっている。イタリア在住の友人とここでおちあって海沿いのシーフードレストランでランチにした。わたしはフリットゥーラ(frittura)をとった。

友人がいつも連れてくる6歳と3歳の娘ちゃんふたりは真のエンジェル。バービー人形のような細くて柔らかな髪の毛と青い目。おねえちゃんのエルマは人懐っこくて、イタリア語ができないわたしには学校でちょっと習った英語で話してくれる。いもうとのセレーナは独立心が強くてなんでもひとりでやりたがって、手助けすると機嫌を損ねる。男の子ふたりのお父さんのアントニーはこのエンジェルにめろめろ。

「女の子も欲しかったんじゃない?」

「とんでもない。いつかオレのようなイタリア男なんか連れて帰ってきたら嫉妬で狂うに違いないもん。男ふたりで良かった」

と、そのうち嬉しそうに息子のガール・フレンドの写真を出してきた。

食後に車でチェルヴォ(Chervo)という小さな村に移動して散策した。細い細い中世の路地を歩いて教会に抜けたとことで、ちょうど結婚式を終えたカップルが拍手喝采の中外へ出てきた。目に映る純白のドレスとその向こうの青い海に見惚れているとエンジェルに手を引かれた。

「ねぇ、ジェラート食べようよぉ」

すぐそこのカフェに入りジェラートを食べる。セレーナの髪を結い直して"Bella Bella"と言うと満面の笑みを返してくれる。大人達は教会の中を見学に行き、わたしはエルマと夢中で結婚式で投げられたハートの形の紙吹雪を拾い集めた。縁起も良さそうだし、何かのペーパークラフトに使おう。

夢中で泳ぐ犬達、純白ドレスの花嫁、エンジェルのような子供達、空の青と溶け合ってしまうような水平線、目に映るもの全てに心が溶かされてしまうひたすら甘い時間だった。

Michelina |MAIL