My life as a cat
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2016年07月21日(木) 成田空港にて

夏休み。成田空港にいる。パリ経由でマルセイユまで行く。昨年マルセイユまで行った時、時間がなくて足を運べなかったカシ(Cassis)が旅のハイライト。あとは地中海を東へ東へ戻りジェノアから出る予定。″今日生きていられることが奇跡″と思いながら日々を過ごしていると、昨年の夏に既に予定していた旅へ出られることを心底ありがたく思う。

昨日40歳になった。″若造り″や″アンチエイジング″という言葉は年をとることを否定しているような空気を感じて自分の思いと違うのだが、体内から健康で若々しい″女の人″でい続けることなどにとても気を使っている今日この頃だ。

″おばちゃん″はいつからおばちゃんになったのかと思うことがある。楽しいキャラクターとして親しみをこめて呼ばれる″おばちゃん″ではなく、若い娘に煙たがられるほうの″おばちゃん″の話だ。若い頃の美しい姿は30年を経て跡形もなく消えてしまうものなのか。でも″おばちゃん″というのは見た目だけでは決まらないようにも思う。同僚に10歳年上の″女の人″がいる。彼女はおばちゃんではないし、この先もおばちゃんにはならないように思う。何が彼女をそう見せているのか、と考えた。まずは見た目。中肉よりややスリムで姿勢が良い。長い黒髪はくせ毛なので毎日コテで延ばしているそうだ。髪は女の人の印象を決める一番大きなキーだと気付いたのは30代になって白髪がでて艶が落ちてきたころだった。それから髪にはとても気を使っている(といってもゴテゴテをあらゆるお手入れをしているわけではないのだが、シャンプーに気を遣ったりとかそんなところだ)。そして彼女をおばさんでなく″おねえさん″と思わせるその気質は、自分よりあらゆる知識が豊富でありながらも決して上から目線で決めつけをしないことなのだろう。″こうしてみたら?″とか″このほうがいいかも″と言われれば、年上の彼女が自分より豊富な経験からアドバイスしてくれるのだという安心感と押しつけがましくない親近感がある。自分より若い人間と同目線で会話をするから結果若く見えるのだろう。しかし、″健康的に食べてて偉いね″とか″ゴミを出さないように気を遣ってるなんて偉いね″とか、目のつけどころはやっぱり大人なのだ。そう、おばちゃんじゃなくて″おとな″ね。

個人の醸し出す雰囲気というのは長い年月のうちに培われた思考や経験によって養われていくものだ。目つきの鋭い野良猫が今日良い人に拾われていったからって数週間で優しい目つきの″家猫″の顔に変わることはできないように、こうなりたいと決めたらすぐになれるものではない。頑張らなくたってもう自分次第でいつでも″おばちゃん″になれる歳。でも運よくお手本を見せてくれる人が近くにいたりするのだから、気をつけていくだけでもこの先違ってくるのだろう。

40才の誕生日、特になにごともなく普通に会社に行ったのだが、夕飯時に突然むくむくとおなかが空いてきて最近めっきり食べられなくなった揚げ物が食べたくなった。久々に揚げ物を好きなだけ食べた。空腹は正直だ。そういう時に食べたもので胸焼けしたり気持ち悪くなることはなく、喜々とした満足感だけが残る。


Michelina |MAIL