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| 2016年05月02日(月) |
鈴木知子さんに会いに行く |
吹きガラス作家の鈴木知子さんが恵比寿の三越で展示会をするというので出かけた。会場では本人が出迎えてくれた。
「今日はこのために来たんです」
たまたま通りかかったわけではないことをアピールするととても喜んでくれた。手作りの作品は、全部大きさも絵柄も色も違う。グラスをひとつ買うのにとても迷う。その間にも色々な話を聞くことが出来た。ガラス作家というのはたいてい窯は自作する。そして点火してそれが安定するのに時間がかかる。だから軌道に乗ったらなかなか止められない。はじめの3、4年は自作の窯に自信が持てず、点火したまま離れるのが怖かった。でも5年、6年となると点火したまま展示会などに出かけられるようになった。
「今も、誰もいないわたしの工房で窯は燃え続けてるんですよ」
大抵は4年に一度くらいの頻度でメンテナンスの為に窯の火を止める。だが、彼女は燃やし続けたまま12年来てしまった。そしてついに今年窯の火を止めてメンテナンスをすることにしたという。
「メンテナンスの間は仕事できませんよね。何かする予定なんですか」
「新たなインスピレーションを得に旅に出ようかと思ってるんです」
「ガラスを吹いて生計立ててるなんて、本当にスゴイと思います。旅に出て気に入った土地があればそこに住み着いてしまっても仕事が続けられるっていうのは作家さんの恩典ですよね」
「・・・・。あんまり考えたことありませんでした。例えばどこに?」
「ギリシャ!」
「え!!!わたし今回の旅先に一番に考えたのがギリシャなんです。どうしてですか!」
「村上春樹さんがギリシャで執筆活動をしてた時のエッセイを読んだんです。観光客もすっかりひいたシーズンオフの静かな孤島でしっかり仕事して生計を立てられるってこういう職業の人しか考えられないじゃないですか」
彼女の作品には大地が必ずモチーフとして描かれる。今まで土や雪の色だったのが、エーゲ海の蒼に変わるのを想像した。
結局、彼女本人が個人的に気に入っているという原っぱで一羽の鶏が遊んでいるイラストの入ったものを選び、グラスの底にわたしとクロエちゃんの名前を入れてもらった。
(写真:恵比寿ガーデンプレイスではピーターラビットの庭をディスプレイしていた。夢に見るような″The English Garden"だね。素敵。)