My life as a cat
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2016年04月27日(水) 旅の終わり

上海の歴史を読み、過去に想像を馳せながら街を歩く。この街は外国人に脅かされ、外国人によって発展を遂げた。いずれも外国人なしには語れない。この街に文化を持ち込んだのはロシア革命を逃れた白系ロシア人やナチスから逃れたユダヤ人、いずれも帰る国のない不遇な人々だった。彼らは音楽やダンス、自国の食文化をこの街にもたらした。既に租界を作り上げていたイギリス人やアメリカ人、フランス人が中国人と交流しなかったのに対し、国を追われてきた白人達は租界に住むような経済力もなく、中国人に紛れて暮らす以外になかった。そのうちに彼らの文化は中国人にも影響を及ぼし、手作りのマヨネーズとポテトを和えるロシア風のポテトサラダなどは中国の家庭料理として定着した。ここを占領して支配下に置いた日本が、その爪痕だけを残し、何の文化ももたらさなかったというのはあまりにも哀しいことだ。

わたしが人生の中で知り合った中国人は主に海外へ出た人々だが、それでも彼らを見て感じたのは″中国人はどこへ居ても中国人であり続ける″ということだ。他国の文化を寄せ付けないとかいうのではなく、良いと思えばすぐに真似する。でも中国人としてのアイデンティティを放棄することは決してない。過去200年、こんなに外国人に揺さぶられ続けた上海の中国人も、頑なに中国人であり続けているように見えた。

まだまだ見たい歴史に刻まれた場所がいっぱいあったが、全部見られずに時間切れとなった。裏通りの長屋暮らしの人々の中にも高層マンションに住みたがっている人が多いのだそうだ。10年後、20年後にここを訪れたなら、まだこのような景色を見ることができるのだろうか、と思う。


Michelina |MAIL