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せっかちな中国人がじっと1時間も2時間も行列に並んで買う葱油餅のお店があると聞いて見物に行った。小さな路地にあって、地元のおじさんの案内なしには辿り着けなかっただろう。朝の9時。10人くらい並んでる。なんだ、10人か、すぐに買えそうじゃないか、と列に並んだ。ところが、15分経っても行列がぴくりとも動かない。一番前の窓口のところまで様子を窺いに行ってぎょっとした。背骨が90度に曲がったまま固まってしまった(一体、何年葱油餅を焼き続けているのだろうか)おじいさんがひとりで全てをこなしている。しかも行列なんて知らないっといった様子で、ひとつひとつ丁寧に丁寧に作業している。
発酵させた生地を契って丸める → 鉄板で焼いてる葱油餅をひっくりかえしたり焼く位置を変えて均等な焼き具合になるように調整する → 丸めた生地を伸ばし、葱をたっぷり入れて包む → 鉄板で焼いてる葱油餅をひっくりかえしたり焼く位置を変えて均等な焼き具合になるように調整する → 鉄板で焼けたものをその下にある窯の中に入れ最後の焼きを入れる → 窯の淵を布でぬぐって掃除する → 手を洗い、客をサーブする
これをひたすら繰り返しているのだが、5つ焼きあがるのに10分くらいかかる。購入個数の制限もないから、おばちゃんが″15個頂戴!″と言ったらそれで30分列は動かないわけだ。1時間半待ってようやく前に3人となった。若い男の子の3人組で家族分10個とかは買いそうに見えなかったが、念のためいくつ買うつもりかと聞いてみた。すると彼らはひとつしか買わないなら先にどうぞと快く譲ってくれた。こうしてようやくほかほかの葱油餅を手に入れた。
歩きながら頬張る。ひとくち。うん、フツウに美味しい。ふたくち食べて、ガ〜ン! 真ん中に少しだけだが、豚肉入ってる。
1時間半待って食べた葱油餅は豚肉の件を差し引いても″フツウ″という感想だったが、作る過程を見学できたので良しとしよう。しかし、このおじいさんもそうだが、なぜか葱油餅を焼く人々というのは、みんな寡黙な職人気質で信頼できそうな雰囲気である。無駄口ひとつ叩かず、愛想笑いもせず、それでも客がせっせと通ってくるのは実力の証明だね。