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| 2016年04月08日(金) |
hate or walk away |
″hate"という言葉は自分に関係のないことに向けられたものでも、聞けば強く心に突き刺さる。冗談めいた会話の中でリズム的に選んで使うことはあるけれど、例えば自己紹介などでhateなものなどを語る人を見ると、それだけで非常に尖っていて憎悪の感情の強い人という印象を与え近寄りがたくなってしまう。
映画″Le Grand Bleu"の中で一面雪に覆われたペルーの奥地でジャックと出会い恋に落ちたジョアンナはニューヨークに戻る。空港からのHWYは騒々しく、タクシードライバーは怒声をあげている。自宅に戻ればルームメイトはだらしない姿で3リットルくらいはありそうなアイスクリームのボックスを抱えて直接スプーンを突っ込んで食べている。
″I hate New York"
ジョアンナが呟いたこのセリフには日常と非日常の格差に対する大きな絶望があらわされていた。
日本人の悪いところは好き嫌いをはっきり表現しないところだという人もいるけれど、わたしはそれでいいのではないかと思う。嫌いとはっきりと口にしたところで、気が変わってそれを好きになる可能性を失ってしまうように思える。人は嫌いなものには捕らわれがちだ。そして好きなものにかける時間や労力を嫌いなものへの執着に消耗してしまう。社会に一歩でれば苦手な人や物、嫌いな人や物に出くわす。そういう感じ方をした時にはなるべく黙って通り過ぎる。時間を置いて改めて再会すると、違う感じ方をする時もあり、またまったく好き嫌い以前に興味を感じないこともある。臭いものにただ蓋をするという意味ではない。嫌いなものについて突き詰めて考えることだって時に必要だ。ただ憎悪の感情で満たされてしまって、正しい判断力を失ってしまうようなことなら忘れたほうがいいのではないか。限られた人生の時間、hateよりloveに執着して生きてくほうが余程有意義だものね。
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親戚の営む寿司屋を通りかかったら、イカをくれた。問題なく食べられるけど、見栄えの問題で客には出せない切れ端らしい。冷凍庫でご健在の昨夏収穫のバジルのペースト、甘い新じゃがに摘んだばかりのミックスリーフで絶品ランチに変身した。