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My life as a cat DiaryINDEX|past|will
原題″THE SEARCH″というフランス映画を観た。チェチェン紛争のおはなし。紛争を描きながらも地味で静かに展開される映画なのだが、構成が面白かった。最後まで観たら作り手が描きたかったことがはっきりと伝わってきた。ふたつの場所で展開されるふたつの物語。ひとつは両親を殺害された9歳の少年の物語で、もうひとつは理由をつけて半ば無理やり兵士にされた19歳の少年の物語。一見違うようでこのふたつの話は本当はひとつの物事の表と裏なのだ。残酷な兵士となった19歳の少年は、両親を殺害されて孤児となった9歳の少年が成長したらこんなだろうと思わせる見た目だ。ポケットに両手を入れる癖も同じ。残酷な兵士は元から残酷な人間だったわけではない。入隊する前はどこにでもいる普通の青年だった。入隊して生き延びるには、既にそこにいる残酷な兵士達と同化する以外に道がない。戦争や紛争の加害者と被害者は本当はたった紙一重で、善良な市民はほんの小さなきっかけでどちらにでもなってしまう。悪と正義とか敵と味方とかじゃなくて、人間の心の脆弱さであり、強靭さであり、感情が擦り切れてもなおかつ生きる道は続いていくというところがハイライトされた映画だった。
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