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My life as a cat DiaryINDEX|past|will
「かもめ食堂」は無機質な食堂の雰囲気から食べ物の温かみが伝わらないし、人間もキッチンもストーリーもあまりにも清潔で気に入らなかった。「食堂かたつむり」は(本で読んだ)ひとつ屋根の下、同じ夢を見てこつこつ一緒に貯金していた。。。はずだったインド人のボーイフレンドがお金と共に突然消えるなんていうよく聞くような現実的な設定で面白かったけれど、予約制で打ち合わせしてから訪れるなんていう、食欲も失せるようなシステムとか、食べ物にありつくまでの薀蓄がうっとうしいし、出てくる料理もあまりにも凝っていて味が想像つかないし、大体最後に可愛がっていたペットの豚を解体して食べるなんていうのが気に入らない("食べる"ということはそんな尊いことなんだよ、とでも言いたげな理屈っぽさが嫌だ)。 もう料理を主体にした映画も食傷気味であったが、この映画は良かった。極寒の南極で母国を胸に、しっかり働いて、労働を終えた男達を待っているぽかぽかのごはん。おにぎり、豚汁、焼き鮭にラーメン。。。 男達は美味しいともまずいとも言わない。感想も述べずひたすら食べる。空腹に論理などいらない。伊勢海老と聞けば、「高級な食材だから」刺身で味わおうなどということもなく、「エビフライにしよう!」と声を揃える。ひたすら食欲に忠実である。ランチの時間を知らせるのが「ワルキューレ」なのも食べることに挑む真剣さの顕れのようだ。ストーリーは南極に1年と数ヶ月派遣された南極観測隊(越冬組)の男8人が繰り広げるハートウォーミングな小さな出来事で構成されている。ひたすら涎を垂らしながら、くすくす笑って見られる癒し系映画であった。
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