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というイラン映画を観た。舞台は戦後の荒廃しきったカブール。兄妹の子供2人が、ゴミの山を漁ってお金に変えられる物をせっせと袋に詰めている。その背後に白い毛の長い犬が横切り、その後ろから大勢の子供達が火のついた薪を振り上げて追いかけ回している。穴の中に逃げ込んだ犬。子供達は、
「タリバン狩りをするイギリスの犬だ!」
「核弾頭を捜すロシアの犬だ!」
と罵り、
「焼き殺してしまえ!」
と次々と薪を放り込む。犬は焼け死んでしまうのかと思われた時、兄妹がやってきて助けようとする。体の小さい妹が脇の穴から潜り込んでいって無事に犬を抱えて出てくる。
命拾いした子供達と犬のストーリーだ。
両親はアメリカ人の刑務所に収監され、家のない兄妹と犬は夜になると刑務所に入れてもらい母親の元で過ごしていたが、やがて規則が変わり、中に入れてもらえなくなる。嘘をついたり、盗みをはたらいたりしてなんとか刑務所に入ろうと試みるがなかなかうまくいかない。
お涙ちょうだい的状況ではあるが、「運動靴と赤い金魚」を彷彿させるような少し滑稽な子供の一途さに苦笑してしまったりする。
しかし嘘をつこうと、盗みを働こうと子供というのはその存在だけで荒野にふんわり咲いた花のような希望がある。妹がやっと手に入れたパン(涎がでてしまいそうないい焼き色のナンだった)を軽く火で炙り、自分が噛み付くのかと思いきや、犬に差し出して優しく語りかける。
「ほら、お食べ。何も食べないと死んでしまうのよ。」
あまりにもの貧しさ故にこんなたくましく温かい気持ちばかりにしっかりハイライトが当たり、胸を突かれるのでした。